DOMANI - 1992.10


DOMANI
DOMANI
 

TECHNICAL NOTES




TRANSMISSION
それぞれのエンジン特性をフルに引き出す、
トランスミッション・ラインアップ。

トランスミッションは、エンジン出力を駆動力としてロスなく伝達する一方、ドライバーの意思を反映させるメカニズムでもあり、「きもちよさ」を体感させる重要な役割をもっています。ドマーニでは、すべてのエンジンに4速オートマチックと5速マニュアルを用意。しかもオートマチックは、各エンジンの性格に対応したきめ細かな設定を行ないました。

Si、Si-Gの1.8L DOHCエンジンには、プレリュード、インスパイア、ビガーに採用しているPROSMATECに、一部ファジー理論を導入した新開発のPROSMATEC(Type II)を採用する、7ポジション電子制御4速オートマチックを設定。より人間の感覚に近いシフトフィーリングを実現しています。

Viの1.6L VTECエンジンには、エンジン特性を生かした扱いやすくスムーズな変速のために、ローホールド機構を加えたロックアップ機構付7ポジション4速オートマチックを設定。

Riの1.6Lハイパー16バルブエンジンには、なめらかでダイレクトな応答性と低燃費を発揮する、ロックアップ機構付4速オートマチックを。

4WD車Ri-Fの1.6Lハイパー16バルブエンジンには、一般走行と、より高回転域での走行の2通りの変速特性が選べる、ローホールド機構付2WAY4速オートマチックを設定しています。
また、5速マニュアルのミッションには、新開発の高歯ギアを採用し、低騒音と高い耐久性を獲得。ショートストローク化も行ない、歯切れの良いシフトフィーリングを実現しています。

*PROSMATEC:

PROGRESSIVE SHIFT
SCHEDULE MANAGEMENT
TECHNOLOGY
(プログレッシブ・シフト・スケジュール・マネジメント・テクノロジー)

PROSMATEC(Type II)


ドライバーの意思にさらに近づいた
AT変速スケジューリングシステム、新世代PROSMATEC(Type II)。
オートマチック車のドライバビリティ向上をめざした、ホンダ独創の知能的な変速スケジューリングシステム、PROSMATEC(Type II)。D4レンジにおける3速、4速間の変速タイミングを的確に制御する、従来からのPROSMATECにファジー理論を応用し、さらに人間の感覚に近いシフト制御を実現しました。
PROSMATECでは、スロットル開度、エンジン回転数、実車速、シフトポジションから、コンピュータが平地での予想加速度および実加速度を算出。これを比較演算し、実加速度が予想加速度よりも小さいとき、つまり走行抵抗が大きいときは登坂路、走行抵抗が小さいときは降坂路とし、平地を含めた3モードの走行条件を判断。さらにブレーキ信号などにより加速/減速の意思判断を行ない、状況に応じた最適なシフトに制御します。新開発のType IIでは、この変速スケジューリングシステムをベースとしながら、登坂路においてはスロットル開度、実加速度、走行抵抗から、ファジー理論に従って瞬時にファジー係数を算出。実車速をきめ細かく補正したうえでシフトアップのポイントを検索します。その結果、ドライバーの意思に反したシフトアップを減少させ、より人間のシフト感覚に近い走行を可能にしています。

UP HILLモード
一般のオートマチック車でD4レンジの状態で登坂路を走行した場合、スロットルを開けると3速にキックダウンして上っていき、勾配がゆるくなりアクセルをゆるめると4速にシフトアップ。さらに加速するためにアクセルを踏むと再び3速にシフトダウンして加速する、ということを繰り返します。この頻繁に行なわれていたシフトチェンジを、従来のPROSMATECでは、登坂路の勾配や走行状況に対して2段階のシフトスケジュール切り換えによって制御していました。PROSMATEC(Type II)では、よりきめ細かく対応するために8つのルールをもとにファジー理論に従って無段階に制御。ゆるやかな上り坂、急な上り坂といったあらゆる勾配をきめ細かく判断し、3速にキックダウンするとその走行領域を増加して維持するために、パワフルでよりなめらかな登坂走行を発揮します。ドライバーによるわずらわしいD4←→D3の切り換え操作も大幅に減少させます。

DOWN HILLモード
D4レンジの状態で、降坂路において3速走行でスロットルOFFにした場合、一般のオートマチック車が3速から4速へシフトアップしてしまう状況でも、PROSMATEC(Type II)では、PROSMATEC同様にコンピュータが降坂路と判断すると、3速から4速へシフトする車速設定を平地走行より高い値に切り換え、3速の走行領域を増加させます。また、4速で走行中の場合は、ブレーキ操作の際に3速にシフトダウンし、減速ロックアップとの組み合わせにより、軽いエンジンブレーキ効果を発揮。再加速の場合は4速にシフトアップします。
勾配の度合いやブレーキ操作によってシフトスケジュールを2段階に制御し、スムーズでより安心感のある降坂走行を可能にします。

CITYモード
D4レンジで走行中、減速→再加速を行なった場合、一般のオートマチック車は、(3速走行の状態であれば減速時に4速へシフトアップし、)再加速時にアクセルを踏んだのち、4速から3速にシフトダウンしてから加速します。PROSMATEC(Type II)ではPROSMATEC同様、50km/h以上からの減速時にはコンピュータが減速判断を行ない、4速から3速へ早めにシフト。軽いエンジンブレーキ効果が得られるとともに、ストレスのない再加速を可能にします。コーナーや市街地走行で減速/再加速する際に、特に有効です。

全域で得られるスムーズな加速感
さらにPROSMATEC(Type II)には、変速時に点火タイミングを遅らせることでエンジン出力を下げ、変速ショックを低減するリタード制御や、滑りが少なく、よりダイレクト感のある大容量のトルクコンバータを採用。また、ギア比を適正化させるなど、全域でスムーズな加速感を得ています。


新設計「高歯ギア」を開発。
ギア音を低減させ、確実なパワーを伝える、5速マニュアルミッション。

ドマーニの「きもちよさ」の追求は、5速マニュアルのトランスミッションにも貫かれました。ミッションから発生するギア音を低減させ、確実なパワー伝達を行なうために、高歯ギアを新設計。低騒音と耐久性を高い次元で達成しています。


高歯ギア   図のように高歯ギアは、1番歯車が噛み合い始めてから終わるまでの回転角度が大きくとれ、しかもその間に2番ギア、3番ギアも噛み合い始めます。そのため、噛み合い伝達をスムーズに行なうことができ、ギア音の低減などにも効果を発揮します。従来までは耐久面で若干不利になり、兼ね合いが難しいとされていましたが、潤滑性能改良およびギア諸元の適切化を図ることで、耐久性に優れた高歯ギアを完成しています。


歯切れのよいシフトフィーリングを実現
5速マニュアルミッションの心地よい操作感を得るために、シフトレバーのシフトストロークを短めに設定するとともに、ロッドチェンジを採用(4WD車を除く)。カチッとした歯切れの良いシフトフィーリングを獲得しています。



← 前のページへ --- 目次へ --- 次のページへ →