DOMANI - 1992.10


DOMANI
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TECHNICAL NOTES




PACKAGE
“ちょうどいい”という気持ち良さを求めた、
ジャストサイズパッケージ。

日本の道や交通事情に最適な、運転しやすく取り回しの良いサイズであること。セダンに必要な、ゆったり乗れるだけの居住スペースと使い勝手の良い収納スペースがあること。すなわち、コンパクトボディとジャストサイズキャビン。この二つの考え方をまとめて、ジャストサイズパッケージという方向性を打ち出しました。


誰もが気持ち良く運転できる性能の向上。
市街地で運転しやすいボディサイズを追求。さらに、低いベルトラインと高めに設定したルーフとの間に面積の広いグラスエリアを設け、良好な視界と開放感を実現。ドライバーからボンネットがあるていど見えるようにアイポイントを設定し、操作性も高めています。そして、ショートオーバーハング化とともにボディの4隅を大胆にカットすることで、狭い曲がり角でも通過しやすい取り回しの良さを身につけました。どこまでも運転がしやすく、実用性の高いパッケージに仕上げています。

取り回しの良さ


人の気持ちにやさしい、キャビンスペース。
ゼイニクは省いて、必要なところには惜しみなく技術を注ぐ。この考え方を徹底したのが、ジャストサイズキャビンです。一般に、居住空間は1ミリでも大きい方が豊かであるという、考え方が多いようです。しかし、ドマーニは、快適性と爽快感を最大限に感じられるようなジャストな空間づくりをめざしました。充分なヘッドクリアランスと足元の広さを保ちながら、広すぎず狭すぎない適度な広さを確保。包まれるような安心感がありながら窮屈さを感じない、ドマーニのめざす気持ち良いジャストサイズキャビンが完成しました。

人と人との気持ち良い距離感を追求。
運転しやすい。使いやすい。疲れにくく、ストレスを感じない。そういった、スペックに表れない感覚的なものを具現化するために、ドマーニでは、これまでのホンダのクルマづくりをベースに、より快適に、より実用性にも配慮し、徹底的にパッケージング・レイアウトの検討を行ないました。加えて、人間工学的な視点から、人と人との気持ち良い距離感を追求。人間の感性領域を検証することにより、人と人とが不快なほど近づきすぎない、不安になるほど離れすぎない、ちょうど会話がはずむ快適な距離感を割り出しました。その結果、前後・左右の人と人とが気持ち良い距離感を保つことができる、ジャストサイズキャビンを実現しています。
ボディサイズ

ジャストサイズキャビン


4ドアセダンに求められる機能性を向上。

広く使いやすいトランクルーム。
トランクルームは、実用性の高い418L(FF車/VDA方式・ホンダ測定値)の大容量。ゴルフバッグで4人分、海外旅行用のスーツケースなら大・中2個ずつ収納できるスペースを確保しました。開口部は、重い荷物も出し入れしやすい、バンパーのすぐ上から開く構造に。トランク内はシンプルな形状とし、さらにトランクヒンジをフレーム内に収めるなど、広く使いやすいトランクルームに仕上げています。

トランクルーム

トランクヒンジ構造図
トランクヒンジ構造図



後席に乗る方への数々の配慮。
ドマーニは4ドアセダンとして、後席に乗る方を大切に考えた数々の工夫をしています。まず、充分なヘッドクリアランスとレッグスペースを確保。リアピラーを立て、大きく開くリアドアと高いヒップポイントにより、不自然な姿勢をとらずに乗り降りできる快適な乗降性を実現しています。また、後席に座った人の頭上までしっかりと覆うルーフとしています。


前席と後席の快適に差をつけない、4座席同格シート。
シートのヒップポイントは、クルマの操作性や乗り心地に関わる大切な要素です。ドマーニは、ドライバーにもゲストにも快適であることをテーマに、フロント、リアのシートを設定。4ドアセダンとして前席も後席も快適な、4座席同格シートを実現しています。

まずフロントシートは、ヒップポイントを高めに設定しました。このため、アイポイントが高められ、良好な視界とゆったりとしたドライビングポジションを確保しています。

一方リアシートは、フロントシートよりもさらに20ミリ高い位置に設定。後席からも爽快な前方視界を確保するとともに、リアドアの窓もセンターサッシュのないデザインとしたことで、サイドにも良好な視界を獲得。前方からサイドまで大きく開けた視界を実現しています。

さらに、リアシートのシートバック角度は、通常のセダンでは28°が一般的ですが、ドマーニは26°に設定。このわずかな差によって、後席の人が自然と背筋を伸ばした姿勢がとれる、座りやすく疲れにくいシートに仕上げています。しかもフロントシート下には足の甲まですっぽり入るスペースを確保し、ニースペースにもゆとりをもたせることで、後席の居住性をも高めています。

4座席同格シート



人間工学のSD法を導入。

SD法とは、人間の感覚を数値化し、統計処理を施す因子分析の手法で、色彩、音色、手ざわりといった感覚的刺激が与える心理学的効果の研究に活用されてきました。ドマーニでは、開発の初期段階からこの手法を駆使し、たとえば視界の設定をはじめ、前後のシート高のバランス、シート開発、さらにはドアの開閉音にいたるまで、このSD法に基づき「きもちよさ」を具現化しました。



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