CIVIC - 1992.07

CIVIC
シビック20年の歩み
 
シビックの変遷

1983●昭和58年 ワンダー・シビック


〈ワンダー・シビック〉誕生
3つの個性がシビックの歴史を変えた

この年9月、シビックはフルモデルチェンジを行い、新たにシビックシリーズとして発売されました。
通称〈ワンダー・シビック〉。
ボンネットラインから後方へ、ゆるやかに流れるロングルーフと、テールエンドでそれをカットした斬新なビュレットフォルム。小型車のFF2ボックスという、国内では初のカテゴリーを創造。従来の同クラスの車からは考えられないほどの広さ、そして快適さ。きびきびとした走りと、時代をリードする低燃費。
そのすべてに世界が注目し、絶賛したFF2ボックス〈3ドアハッチバック〉をはじめ、ゆったりした居住スペースと大きなトランクルームをもつ格調高い〈4ドアセダン〉、新感覚の創造空間が魅力の〈シャトル5ドア〉の3種が誕生しました。
来たるべき新しい時代のF・F小型車として、それぞれ目的やライフスタイルに合わせたワンダー・シビックの個性的な仕様は、当然のことながら時代に敏感なヤング層を中心に爆発的な人気を集め、シビックの歴史に新たな1ページが加わりました。


人間のためのスペースを最大限に生かして

ワンダー・シビックの特長として、全車種に
 人間のためのスペースを最大限に
 メカニズム・スペースを最小限に
〔マン・マキシマム メカ・ミニマム〕
という「M・M思想」が生かされています。
エンジンやサスにまで立ち帰ってスペース効率を追求するホンダ独自の設計哲学が貫かれ、エンジンにはハイパワーと低燃費を引き出す「12バルブ・クロスフローエンジン」が、またサスペンションにも「フロント/リアスポルテックサスペンション」が採り入れられています。
このシリーズとともに、従来のシビックバンは〈シビックプロ〉として、さらにシビックの兄弟車種で1983年に発売されたバラードも〈バラードスポーツCR-X〉としてフルモデルチェンジしました。

  スポーティな走りと低燃費を生かした
画期的なFF2ボックスカー
〈3ドアハッチバック〉
キビキビとしたスポーティな走りと低燃費などの基本性能の高さに加え、新しい時代のFF2ボックスという国産車初の試みが取り入れられた車です。それが時代の寵児となった3ドアハッチバックです。
ボディは空力フォルムと居住性の追求により、空力性能の優れた斬新なロングルーフデザインを採用。居住性スペースの大幅な拡大を可能にし、ハッチバックとして類を見ない広々とした空間をつくりだしています。また3ドア本来のスポーティな走りを追求するために高性能の「スポルテック・サス」を取り入れるなど、ホンダテクノロジーの結晶をここにみることができます。

〈主な特長〉シビック3ドアハッチバック
 
CVCC・水冷直列4気筒横置OHC・EW型エンジン(25i)
排気量:1,488cc
最高出力:100PS/5,800rpm
最大トルク:13.2kgm/4,000rpm
1シリンダー・3バルブ方式の12バルブ・クロスフローエンジン採用。
スペース効率を追求したフロント/リアスポルテックサスペンション採用。
(以上4ドアセダン、シャトル5ドア)
100mmのスライド量をもつスプリット・共通リクライニングシート採用。
フルラップラウンド・インストルメントパネルなどで室内スペースの有効活用を追求。

シビック 3ドア ハッチバック 25i
シビック 3ドア ハッチバック 25i

  広々した室内空間、大きなトランク
ゆとりと快適を追求した大人の
〈4ドアセダン〉
従来の3ボックスセダンの伝統を生かしながら、ワンランク上のセダンを開発したのがこの4ドアセダン。
エンジンルーム、キャビン、トランクルームそれぞれのスペース効率と同時に、空力フォルムを重視し、空力性能の優れた広々とした室内空間をつくりだしました。
さらに420Lという大容量トランクをも実現した斬新な3ボックスデザインとなっています。
実用的なゆとりと広さが幅広い世代に愛された、新時代のFF・3ボックスセダンです。

〈主な特長〉
 
CVCC・水冷直列4気筒横置OHC・EV型エンジン(35G)
排気量:1,488cc
最高出力:90PS/6,000rpm
最大トルク:12.8kgm/3,500rpm
優れた空力性能。
420Lの大容量トランク。
大型フロントシート採用。
ハイバックのリアシート採用。

シビック 4ドア セダン 35G
シビック 4ドア セダン 35G

  アイデア次第で使いこなせる
フレックスシート。
新感覚セダンの〈5ドア・シャトル〉
車をもっとフレキシブルな室内空間に…。
そんな狙いで開発された、セダンが登場。
従来のセダンの概念にとらわれない楽しい創造空間を持つ、FFニューコンセプトセダンです。
フロントシートとリアシートは、リクライニングとスプリット方式を利用した様々な組み合わせで幅広い使い勝手が楽しめるフレックスシートを採用。さらにガラス面積を十分にとり、広々とした開放感を生み出すことに成功しました。

シビックシャトル 5ドア 55i
シビックシャトル 5ドア 55i

〈主な特長〉
 
CVCC・水冷直列4気筒横置OHC・EW型エンジン(55i)
排気量:1,488cc
最高出力:90PS/6,000rpm
最大トルク:12.8kgm/3,500rpm
ラゲッジルームやフルリクライニングに組み替え自由なフレックスシート。
ホップアップ機構付ワイドベンチレーションの採用。

〈価格/発売タイプ〉

昭和58年 9月23日(3ドア)
10月20日(4ドア・5ドア)発売
(単位:千円)
機種 ドア 排気量 タイプ 東京 名古屋 大阪 福岡 仙台 札幌
シビック 3 1.3 23U 798 800 804 819 814 832
23E 880 882 886 901 896 914
23L 910 912 916 931 926 944
1.5 25M 998 1,000 1,004 1,019 1,014 1,032
25R 1,028 1,030 1,034 1,049 1,044 1,062
25i 1,189 1,191 1,195 1,210 1,205 1,223
4 1.3 33U 875 877 881 896 891 909
33L 975 977 981 996 991 1,009
1.5 35M 1,048 1,050 1,054 1,069 1,064 1,082
35G 1,160 1,162 1,166 1,181 1,176 1,194
35i 1,260 1,262 1,266 1,281 1,276 1,294
5 1.3 53U 957 959 963 978 973 991
1.5 55M 1,078 1,080 1,084 1,099 1,094 1,112
55J 1,162 1,164 1,168 1,183 1,178 1,196
55G 1,200 1,202 1,206 1,221 1,216 1,234
55i 1,300 1,302 1,306 1,321 1,316 1,334
※注 1. 価格表はマニュアルミッション車
2. ロックアップ機構付ホンダマチックは4速車に6万円高で、5速車に4万円高で、以下のタイプに設定。(23L、25R、33L、35M、35G、55M、55J、55G)
3. ロックアップ機構付ホンダマチック3速フルオートは、5万円高で以下のタイプに設定。(25i、35i、55i、CR-i)
4. スモークドガラスサンルーフは、電動式を8万円高で55iに、4ウェイ式を4万円高で25R、25i、35i、CR-iに設定。
5. カラード液晶デジタルメータは3万円高で25i、35iに設定。
6. 60タイヤ+アルミホイールは8万円高で25R、25i、35iに設定。
7. フェンダーミラー仕様車は上記価格表より△5千円。

  FF小型商用車
〈シビック・プロ〉を発売。

優れた機動性と経済性で好評のFF小型商用車、〈シビック・バン〉が新たにフルモデルチェンジ。〈シビック・プロ〉として発売されました。
M・M思想をもとに、12バルブ・クロスフローエンジンを搭載し、商用車として開発したもので高性能、低燃費を実現。さらに大容量荷室デッキや大型テールゲートの採用などビジネスシーンを充実させる設計がなされています。

〈価格/発売タイプ〉

昭和58年10月25日発売 (単位:千円)
タイプ 東京 名古屋 大阪 福岡 仙台 札幌
T 713 715 719 734 729 747
F 765 767 771 786 781 799
価格表は、フェンダーミラー車の価格。
ドアミラー仕様車は上記価格表より5千円高。
電熱線入りリアウインドは6千円高。

シビックプロ T
シビックプロ T

  身体障害者用運転補助装置
「テックマチック」を開発。
昭和51年、自動車メーカーとしていち早く身障者用の補助装置を開発し、多くの身障者の社会参加に協力してきたホンダ。
新型シビックの発売とともに、専用の補助装置テックマチックを開発しました。
手元でスピード調整できるコントロールアームやワンタッチ式ブレーキロックなど、操作しやすい機能を揃えさらに用途に合わせたオプションが選べるシステムも、一段と充実させました。

1気筒あたり3バルブのユニークなレイアウト。
4気筒・12バルブ・クロスフローエンジン
新エンジンは高い吸・排気効率を得るために、ボア径φ74mmの中に吸気バルブφ27mm×2、排気バルブφ32mm×1を設置しました。1気筒あたり3バルブという、ホンダならではのユニークな設計です。この吸気系の2バルブ、排気系1バルブの秘密は、流速効果を最大に利用していることにあります。
つまり、吸気ガスに比べ、排気ガスは温度が高く、ガスの流速が速いため、バルブ1個で吸気能力に見合う4バルブ並みの性能を引き出せるからです。4バルブ並みの性能を、2バルブ並みのコンパクトさで実現しました。ホンダならではの成果です。
■クロスフロー方式
バルブ面積が大きくとれ、燃料室内の流れもスムーズな、吸・排気効果の高い方式です。
 
●クロスフロー図
●クロスフロー図
 
クロスフローエンジン
 




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