CIVIC - 1991.9


CIVIC

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シャシー




さまざまな走行状況のなかで、「走る」「曲がる」を高精度コントロール。クラス初のTCS。(トラクション・コントロール・システム)
 
雪上路、凍結路など滑りやすい路面状況下において、発進時や加速時に生じやすい駆動輪の余分な空転を自動制御により防止するトラクション・コントロール。ホンダのTCSは、発進加速をスムーズにする駆動制御を行なうだけでなく、コーナリング中のクルマの挙動を安定させようとする操安制御、さらには、悪路での走破性を高める悪路対応制御を採用。走行中、タイヤにかかる駆動力と横力を最適コントロールするためにスリップ率を可変制御し、加速時には駆動力を、曲がるときには横力を優先することによって、さまざまな走行状況に対応するトラクションのコントロールを実現しています。人間の能力が及ばない領域をクルマ自らがコントロールし、ドライバーをフォローする。走りを多角的に追求するホンダならではの知能化技術が、信頼性の高い走りを実現させています。
 
複雑な制御メカを持たない信頼性の高いシンプルな構造。
 
TCSは、4輪に配した車輪速度センサーとステアリングコラムに取り付けられた舵角センサー、TCS-ECUから構成されています。制御方法は2種類のセンサー信号をTCS-ECUが受け制御演算を行ない、その結果に従ってPGM-FIが燃料噴射量と点火時期を決定。刻々と変わる走行状況に対応して、最適なエンジン出力制御をするシステム。駆動輪の速度、従動輪の速度、ハンドル舵角から、総合的に制御演算することによって、駆動制御、操安制御、悪路対応制御を実現させています。

■駆動制御の効果
一般に雪道などの低μ路では、ドライバーはタイヤを空転させないように慎重なアクセル操作を要求されます。TCSは、この微妙なアクセル操作を人間に代わりコンピュータで制御。変化する路面状況に応じて自動的にエンジン出力を低減させることにより余分な空転を極力おさえ、効率よく、駆動力を路面に伝えます。

■操安制御の効果
低μ路の加速コーナリングでは、ドライバーの意志に反して唐突にクルマが外側に膨らんでしまうことがあります。これが駆動輪の空転により生じた場合、TCSは、コーナリング中の駆動力を最適にコントロール。車体が曲がろうとする実際のヨーレートと、ステアリング舵角からのドライバーが期待する規範ヨーレートを比較して、その差が最小限になるよう制御することで安定したコーナリングを実現させています。

■悪路対応制御の効果
砂利道等の悪路で加速しようとするときには、駆動輪は多少空転ぎみの方が加速力が強くなるという傾向があります。そこでTCSは、車体のバネ下の振動を車輪の回転変動から検知。制御を緩めることで効率のよい加速を実現させました。

 

TCS+ABSシステム図(輸出仕様車)

TCS+ABSシステム図(輸出仕様車)


●TCSは、本田技研工業株式会社の登録商標です。     
●PGM-FIは、本田技研工業株式会社の登録商標です。

 

ブレーキ・ロックを制御し、制動時の信頼を高める3チャンネル・デジタル制御ABS。 (4輪アンチロックブレーキシステム)
 
4輪アンチロックブレーキは、濡れた路面や雪道などの滑りやすい路面での急制動時に、コンピュータ制御によってポンピングブレーキを素早く精密に行ない、ブレーキロックを制御。路面状況に応じた最適なブレーキ・コントロールを行なうとともに、ハンドリングによる回避能力を確保する高度なシステムです。
前輪を左右独立制御した3チャンネル方式により、路面状況が左右で異なる場合でも安定感の高い制動性能を発揮します。シビックのABSは、新たに、軽量・コンパクト化を図り、配線や配管を1ヵ所にまとめた1ユニットとするとともに、診断システムの充実を図りました。
また、ABSと主ブレーキは、それぞれの油圧系を独立。万一ABS系統に異常が発生しても、主ブレーキは通常の制動力を発揮する信頼のシステムです。

 

全車にさらに耐久性を高めたベンチレーテッド・前輪ディスクブレーキ。
 
全車に、放熱効果に優れた前輪ベンチレーテッドディスクを採用し、安定感のある確かな制動力を発揮。パッドは、社会環境のためにノンアスベストとしています。
シビックSiR・II、SiR、シビックフェリオSiR、及びABS装着車は、4輪ともにディスクブレーキ
13インチホイール用のブレーキは一部をのぞき、フロントのロータ板厚を21mmにアップ。容量を大きくし、耐フェード性も高めています。
またABS搭載車には、コンパクトで信頼性の高いタンデム式ブレーキマスターパワーを採用。さらに軽い踏力で、剛性感のあるブレーキフィーリングをもたらしています。

*4WD車をのぞく

 

フロント

リア
上:フロント 下:リア


 

ホンダ独創の4WDテクノロジー、革新のイントラック*1&リアルタイム4WD*2
 
雨、風、雪などのさまざまな状況下でも、力強く駆けぬけたい。そんな要求から生まれ、際だった走破性と頼もしい制動性能を身につけたのが、革新的4WDシステム、イントラック(INNOVATIVE TRACTION CONTROL SYSTEM)です。
左・右トルクスプリット型V.C.(ビスカス・カップリング)がトラクションを自動的にコントロールして高度な走破性を発揮し、3チャンネル・デジタル制御ABS(4輪アンチロックブレーキ)により、優れた制動性能を獲得。この高次元融合が、「走る」「曲がる」「止まる」の基本性能を高めています。
また、センターV.C.方式のリアルタイム4WDも用意。どちらも高性能な4WDです。たとえば、発進・加速時に滑りやすい路面で前輪が駆動力を伝えきれなくなると、瞬時に後輪にも駆動力を伝達。スムーズな発進・加速が行なえます。通常走行時は、高速まで、ほぼFFの状態で優れた直進性を発揮。突然の路面変化にも後輪がすみやかに対応し、安定感の高い走りをもたらします。
また、減速制動時にはエンジンブレーキが4輪に効率よく働き、バランスのとれた制動性能を発揮します。

*1シビックフェリオRTSiにメーカーオプション
*2シビックフェリオRTSi、RTX

 

4WDの領域を広げるイントラックならではの機能特性。
 
●左右で異なる路面状況での走行
後左/右輪へ独立して駆動力を伝達し、後左/右輪の回転差を最小化しようとする左・右トルクスプリット型V.C.の働きによってスリップをおさえ、安定感の高い走りをもたらします。たとえ前2輪と後1輪が滑りやすい状態にあっても、残りの後1輪が駆動力を確保し、すみやかな発進を可能にします。

●ABS作動時
前輪左右独立、後輪左右同時に制御する3チャンネル方式で、急ブレーキ時でも、いわゆるポンピングブレーキを精密に行ない、車輪のロックを制御。ステアリング操作による方向修正を可能にします。

 機能特性





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