useful useful お役立ち情報 お役立ち情報 July.7.2023

愛犬が食べない原因と対処法

フードや病気など原因別に紹介

犬にとって「ごはん」は毎日の楽しみのひとつです。ところが急に食べなくなった、大好きなはずのフードでもなかなか食べてくれない、残してしまうなど、愛犬の食に関する悩みを抱える飼い主さんは少なくありません。犬の食欲がない時に、どのような原因が考えられるのでしょうか。また飼い主さんはどのように対処すべきかご紹介します。

犬の食欲がない原因は様々

犬の食欲がない主な原因

  • ●フードが原因
  • ●気温が原因
  • ●ストレスが原因
  • ●老化が原因
  • ●病気が原因
  • ●成長が原因

このように様々です。そのため、犬の食欲が一時的にないのか、数日間続いているのか、また食欲がないだけではなく、他にも愛犬がいつもと違う行動をとっていないか、気になる症状が出ていないかを確認しましょう。原因によっては、飼い主さんで対処できることから、動物病院に行かなければならないこともあります。

それでは、原因別に見られる愛犬の行動や症状と、その対処法を見ていきましょう。

フードが原因の場合

最近、フードの種類を変えませんでしたか?また、フードの保管方法などを誤っている可能性も考えられます。

  • 原因:フードを変えた
  • フードを切り替えた際に、犬は好みの違いや警戒心からフードを食べないことがあります。
  • 対処法:フードは徐々に切り替える
  • 一気にフードを切り替えるのではなく、これまで食べていたフードに新しいフードを少しずつ混ぜていきましょう。これまでのフードと新しいフードの割合を少しずつ変え、数日かけて切り替えることが大切です。これは新しいフードが愛犬の体に合っているのかを確認する期間にもなります。切り替えている途中に、愛犬が体調を崩すようなことがあれば、これまで食べていたフードに戻してあげると良いでしょう。
  • 原因:フードの劣化
  • ドッグフードの保管方法を誤ると、ドッグフードに含まれる油脂や脂肪分が酸化しやすくなります。酸化が進み脂質が「過酸化脂質」に変化したフードは、風味を低下させ、食欲を減退させます。また、過酸化脂質に変化したフードを食べ続けると、犬の体内に悪玉コレステロールが溜まり、心筋梗塞、動脈硬化、がん、アレルギーを発症するリスクが高まります。他にも、湿度が高い場所での保管は、カビや雑菌が増殖しやすくなります。
  • 対処法:消費期限の期間内に食べきれる量を購入し、正しく保管する
  • ドッグフードのパッケージには、消費期限が記載されていますので、愛犬に毎日食べさせる量を考え、期間内に食べきれる量を購入しましょう。特に初めて与えるフードや小型犬の場合には、小さな袋を選んで購入するようにしましょう。保管場所は湿度の低い冷暗所をおすすめします。
    ただし、冷蔵庫は結露を起すことがありますので、保管場所には向いていません。
    また、ウエットフードは開封後の酸化が早いので、冷蔵庫で保管しつつ、開封当日に食べきるように与えましょう。

気温の暑さが原因の場合

犬は一般的に暑い季節に食欲が低下し、寒い季節になると食欲が増します。

  • 原因:夏バテをしている
  • 普段は完食するフードを残したり、愛犬が散歩を拒んだり、ずっと寝転んだりしていませんか。特に、寒い地域原産の犬種(ダブルコートの犬、など)、短頭種、肥満気味の犬、筋肉質な犬、老犬は暑さが苦手です。
  • 対処法:室温や湿度を調整し、水分を多めにとる
  • 室内飼いの犬は、散歩やおでかけ以外、ほとんどの時間を室内で過しています。愛犬が快適に過ごせるように室温や湿度を調整して、できるだけ水分を多くとらせましょう。水をあまり飲んでくれない場合は、夏場はウエットフードに切り替えることもおすすめです。また、散歩に行く時間は、気温が高くない早朝や夕方以降を選び、上手に冷却グッズなども利用しましょう。

ストレスが原因の場合

ストレスによりフードへの興味が下がる、食欲が低下するということがあります。

  • 原因:愛犬の身の回りで起きた変化など
  • ストレスの原因は、恐怖や不安を感じる出来事、生活環境の変化など、様々なことが考えられます。
  • 対処法:愛犬のストレスの原因を見つけ、取り除いてあげる
  • 食欲が落ちる前に、愛犬が怖がるような出来事や生活環境に変化が起きませんでしたか。大きな音がした、地震があった、引っ越しをした、散歩コースを変えた、家族の増減などです。
  • 環境の変化については、できるだけ愛犬がストレスを感じないために、事前にやれることや対策がたくさんあります。すでに愛犬が食欲を低下させている場合は、何にストレスを感じているのか原因を見つけ、取り除いてあげましょう。強い恐怖や不安症状が見られ、それが続く場合には、かかりつけ医や専門家に相談してください。
  • 犬のストレスについて詳しくは「知っておこう!犬のストレス原因とストレスサイン、対策のコツ」をご覧ください。
    犬との引っ越しについては「犬にとって引っ越しはストレス?移動方法や新しい環境の慣れさせ方」を参考にしてください。

老化が原因の場合

犬も老化により食事量や必要な栄養のバランスが変わります。また、関節に痛みが出たり、目や耳などが不自由になったりしますので、飼い主さんのサポートが大切になります。

  • 原因:首や足腰の筋力低下
  • 加齢により筋力が低下しますので、立った姿勢の維持がつらくなります。また、首の筋力も低下するため、床に置かれたフードが食べづらくなります。
  • 対処法:ごはん台を用意する
  • フードが食べやすいようにフードボウルを置くごはん台を用意してあげましょう。また、肢が滑ると立った姿勢を維持しづらいので、滑らない素材のマットを敷くなどすると良いでしょう。体を横にしたままの食事は、誤嚥(ごえん)を起すことがありますので、体を飼い主さんが支えたり、姿勢を維持できるクッションを敷いたりしてみましょう。他にも立っている姿勢を長時間維持することがつらい場合は、食事の回数を3~4回と増やし、1回の食事の時間を短くしてあげると良いでしょう。
  • 原因:フードが分かりづらい
  • 老化により目や耳が不自由になると、フードが出されていることに気づかない場合があります。
  • 対処法:フードに気づきやすくする
  • 飼い主さんがフードのある所まで誘導してあげましょう。また、ぬるめのお湯を入れるとフードのニオイがたつので、フードに気づきやすくなります。また、老化により飲み込む力やあごの筋力も低下しますので、水分を含ませてあげると食べやすくなります。

病気が原因の場合

フードを食べないということ以外に、下痢、嘔吐、元気がない、水を飲まないといった症状が見られる場合は、何かしらの病気の可能性があります。

  • 原因:病気により食欲が低下している、食べづらくなっている
  • 原因となっている病気は、胃腸炎、腎不全、肝不全、腫瘍(がん)、口内トラブル、寄生虫、感染症など様々考えられます。また、病気ではありませんが、何かしらを誤飲していることも考えられます。
  • 対処法:動物病院へ連れて行く
  • 食欲低下以外にも、何かしらの症状が見られる場合には、数日間様子を見るのではなく、できるだけ早く動物病院に連れて行きましょう。

成長期が終わった

子犬のうちは、なんでも喜んで沢山食べていたはずが、成長期を過ぎると急に好みにうるさくなったり、食べることを以前よりも楽しみにする様子ではなくなったりことがあります。

  • 原因:成長期が終わった
  • まだまだ愛犬は若いのに、急に食べる量が減ると、体調が悪いのかなと心配になりますよね。子犬は体を大きくするために、多くの栄養を必要としますが、成長期が終わると食事量が減ります。つまりこれは成長期が終わったお知らせと言えます。
  • 対処法:成長に合わせ、適切なフードに切り替える
  • 成長期が終わり、食欲が落ち着くのは当たり前のことなので、何か対処をしなければいけないということはありません。ただ、成長期に食べさせていたカロリーが高いフードをそのまま与え続けると肥満に繋がりますので、適切なフードへの切り替えを行いましょう。

わがままが原因の場合

ドッグフードは食べないけれど、おやつは食べるし、遊ぶ元気があるなんていう犬もいますよね。

  • 原因:好みの食べ物でない
  • 愛犬に沢山のおやつを与えていませんか。犬は頭の良い動物ですので、ドックフードを食べなくてもおやつがもらえると学んでいる可能性があります。
  • 対処法:おやつをむやみに与えない
  • おやつは、ご褒美としてのみ与えるようにし、理由なく「おやつの時間」を作り、おやつを与えることは避けましょう。その代わり、指示にしたがった時、正しい行動をした時などは、ご褒美としておやつをあげるようにしましょう。愛犬が欲しいと欲求吠えした場合や、フードを食べない様子を見ても、おやつを与えてはいけません。

胃液を吐く場合

お腹が減れば、そのうち食べるよと言われたけれど、食べずに愛犬が胃液を吐いてしまう、と頭を悩ませる飼い主さんもいます。まずは、動物病院で見てもらい、それでも異常が見当たらない場合には、フードを温める、ミルクを混ぜる、トッピングをする、一口でも食べたらほめるなど、食べる楽しさを感じられるようにしてみましょう。

子犬の頃から食が細い犬の場合

子犬の時から食が細くて、食べない日もある、食べていないので胃液を吐いてしまうなんていう犬もいますよね。しかし、動物病院で見てもらっても何ら異常が見当たらないということも。

  • 原因:これまでに紹介をした原因から疑ってみよう
  • 犬も人と同じように体の大きさに関係なく、たくさん食べる犬と少しだけで十分に感じる犬がいます。しかし、がりがりに痩せている、食べずに吐いてしまうという場合には、対処をする必要があります。
  • 対処法:カロリーの高いフードへの切り替え、食事回数を増やす
  • フードにはそれぞれ、犬の体重に応じて一日の必要量が決められています。量を食べることが苦手な犬の場合、この必要量を食べきることができません。その場合は今のフードよりカロリーの高いフードを選んでみましょう。また、一回の食事量が多く、食べきれないという場合には、1日の食事回数を増やし、こまめに食べさせるなど、愛犬がどうしたら食べきることができるのか、色々試してみるのも大切です。

水も飲まない場合には、
必ず動物病院へ

フードを食べる、水を飲むということは生きていくうえで欠かせないことです。フードを残したり、食べなかったりしても元気はあるので大丈夫ということはありません。もし丸1日~2日何も口にしない、水も飲まないという場合には、脱水症状を起こしやすくなります。特に子犬や高齢の犬は、暑い季節には注意しましょう。

監修:フリッツ 吉川 綾

ヤマザキ動物看護大学 動物臨床行動学研究室 准教授
獣医師 博士(獣医学)
獣医行動診療科認定医

国内外で犬と猫の行動について学び、問題行動の予防、診断、治療(行動診療)を行ってきた。人と同じ言葉を話さない犬猫の心は行動を通じて予測することができる。それぞれの動物の心に寄り添い、動物とその飼い主様の両者がより幸せに快適に過ごせる方法を日々模索している。
大学院時代に柴&甲斐のミックス犬とふたり暮らしをし、彼と共に様々な活動に参加した。この経験が、犬の行動を理解することが必要な行動診療医の仕事をする上で基盤になっている。現在はテリア犬系ミックス、日本犬系ミックスの2頭の元保護犬と生活している。

※このコンテンツは、2023年7月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。