愛犬の運動不足とストレスの解消、社会性を養うために絶好の場所であるドッグラン。しかし、リードなしで自由に動き回れるドッグランだからこそ、起きてしまう事故も少なくありません。本記事では、ドッグランで起こることの多い事故とその原因、事故を防ぐための対策について解説します。
まずは、ドッグランで起きやすい事故について見ていきましょう。ドッグランに愛犬を連れて行かれる飼い主さんは、以下の事故に注意してください。
ドッグランで起こる、もっとも多い事故は「噛みつき」による怪我です。ほかの犬に噛まれる、愛犬がほかの犬を噛んでしまう、どちらのパターンもあります。具体的な状況としては、ドッグランに来た興奮で、ほかの犬を噛んでしまったり、走っていて追い抜かれた際に噛みついたり(噛みつかれたり)、犬同士で喧嘩になり、噛みつき合うなどです。
激しい噛みつき合いでは、双方が出血するケースも少なくありません。特に愛犬よりも体が大きい犬との争いでは、一方的にダメージを負ってしまうことがあり、傷が深い場合には、病院で手術をしなければならないことすらあるため、注意が必要です。
ドッグランでは、飼い主さんが怪我をすることもあります。例えば、興奮した犬に衝突され、転倒したことにより怪我を負ったり、犬同士の喧嘩の仲裁に入り、噛まれてしまったりなどです。
さらに、小さな子どもになると「子どもが犬に追いかけられて転ぶ」「突然、触ってきた子どもに犬が驚いて手を噛んでしまう」「急に動き出した子どもと犬がぶつかり合って、互いに怪我をする」などの事故も起こります。小さな子どもをドッグランに連れて行く場合には、急に大きな声を出したり、触ったりしないといったルールを教え、愛犬と子どもの双方から目を離さないようにしましょう。
では、なぜこのような事故が起きてしまうのでしょうか。ここからは事故の主な原因について解説します。
原因として多いのは、おもちゃやおやつの取り合いです。多くのドッグランでは、おもちゃやおやつの持ち込みが禁止されています。
しかし、飼い主さんの中にはルールを守らず、それらを持ち込んでしまう方も少なからずいます。犬同士でおもちゃやおやつの取り合いから、喧嘩に発展してしまうことがあります。このほかにも、発情期のオス犬同士でメス犬の取り合いをして、激しく争ってしまうこともあるようです。
ドッグランで楽しく遊ぶためには、愛犬に基本的なしつけや社会性の学習が必要です。ドッグランに遊びにくる犬の中には、飼い主さんが呼んでも来ない、人に飛びつく、ほかの犬や人にマウンティングをしてしまうといった犬もいます。また、不特定多数の人やほかの犬が多く集まる場所に慣れていない若い犬の場合、不安や興奮からマナー違反の行動をとったり、攻撃的になってしまったりということがあります。
犬同士のコミュニケーションをいきなりドッグランで覚えさせるのは難しいため、日々の散歩で外の世界に慣れさせ、基本的なしつけを覚えさせてから、ドッグランデビューさせることが大切です。
ドッグランでの事故は、一瞬のうちに起きてしまうことが多く、愛犬が被害者にも加害者にもなる可能性があります。愛犬が加害者になった際には、飼い主さんの責任も問われます。ここからは、ドッグランでの事故を防ぐために、どのような対策をするべきか紹介します。
ドッグランに愛犬を連れてきた飼い主さんの中には、スマートフォンをずっと見ていたり、ほかの飼い主さんとのおしゃべりに夢中になってしまったりといった方がいます。ドッグランでは、愛犬が安全な状態にあるか、ほかの犬を威嚇していないかなど、常に愛犬の様子を確認しましょう。
また、なるべく愛犬の近くにいるように心がけることが大切です。近くにいることで、ほかの犬に威嚇やマウンティングを始めても、すぐに引き離して落ち着かせることができ、大きな問題に発展させずに済みます。さらに、常に視界に愛犬を入れておくことで、おもちゃを持っている犬やほかの飼い主さんへの接近も回避できます。
ドッグランに到着直後の犬は興奮状態の場合が多いです。そのため、愛犬が落ち着くまでリードを外さないようにしましょう。また、ドッグランで先に遊んでいる犬がいる場合には、しばらく外から様子を観察し、「愛犬を中に入れても大丈夫そうか」「リードを外しても安全か」などをよく確認してください。そしてドッグランでリードを外す際は、一度ほかの犬から離れた場所で外し、何かあったときには、すぐにリードをつけられるよう、ハーネスや首輪はつけたままにしましょう。
犬の性格は様々です。知らない人にもフレンドリーな犬もいれば、恐怖から攻撃的になる犬もいます。トラブルを避けるためにも、飼い主さんの許可なく、安易に犬同士を交流させないことが大切です。
ドッグランを利用する際は、そこのルールを知り、守ることが大原則です。以下のことに注意しましょう。
おもちゃやおやつは、取り合いや喧嘩の原因となる場合があります。
大型犬・中型犬・小型犬などサイズごとにエリアが分けられているドッグランがあります。愛犬は大人しい、どんな犬とも仲良くできると飼い主さんが思っていても、ほかの犬が同じとは限りません。
ほかにも、発情期のメスは連れていかないなど、ドッグランごとに定められたルールがありますので、利用するドッグランについて事前に確認しましょう。
ドッグランのマナーについて詳しくは「わんこのためにもかならず守りたい!ドッグランのマナー」を参考にしてみてください。
また、ドッグランによってはワクチン接種証明書の提示を求められることがあります。犬のワクチン接種について詳しくは「犬のワクチン接種はなぜ必要?種類や時期、費用をご紹介」をご覧ください。
ドッグランでの事故を防ぐためにも、愛犬の犬種や性格などを踏まえて、ドッグランに連れていくべきかを決めましょう。例えば、日本犬や狩猟犬をルーツとする犬種は、小さい犬を獲物として追いかけてしまう傾向があるとされています。
また、愛犬が臆病だったり、パニックを起こしやすい・攻撃的になりやすい性格だったりする場合、ドッグランへのおでかけ自体がストレスになるかもしれません。そのため、愛犬の犬種や性格を見極めることが重要です。「まだドッグランデビューには早い」と判断した場合は、普段の散歩やしつけトレーニングなどの経験を通じて社会性を身につけさせてから、焦らず検討していきましょう。
飼い主さん一人ひとりの心がけによって、ドッグランの事故は減らすことができます。ただ、どんなに注意をしていても事故は起こります。そのため、万が一に備えて、ドッグラン内でのトラブルに対して保険金が支払われるペット保険の賠償責任特約などに加入しておくのもよいでしょう。
ぜひ、本記事を参考にドッグランでのルール・マナーを守って、愛犬と楽しく遊びましょう。
文・監修:PECO
※このコンテンツは、2021年9月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。