Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える Me and Honda, Career Hondaの人=原動力を伝える

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クルマを変えるアイデアを現場から──パワートレインの進化を支える開発者たち

パワートレインとは、エンジンで発生した回転エネルギーを、駆動系に効率よく伝達する装置類のことで、電気自動車ではモーターやバッテリーが該当し、自動車の推進力に関係する装置類の総称です。クルマの電動化に伴い、このパワートレインを制御するソフトウェアも高度化の一途を辿っています。開発現場の最前線に立つ2名の社員に仕事のやりがいを聞きました。

由井 直基Naoki Yui

電動事業開発本部 BEV開発センター ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 パワートレイン制御開発部 パワーユニット制御開発課

大学院で電気電子工学を専攻。2012年新卒入社。ハイブリッド自動車のパワートレイン制御システムの開発を担当し、インサイトやCR-Vなどの量産に携わる。現在は、EVを担当。

安部 創Hajime Abe

電動事業開発本部 BEV開発センター ソフトウェアデファインドモビリティ開発統括部 パワートレイン制御開発部 Eドライブ制御開発課

2013年にHondaにキャリア入社。バッテリー本体の開発を経験した後、現在は、FCV(燃料電池自動車)のバッテリー制御システムの開発グループでリーダーを務める。

クルマの進化はパワートレインの進化

環境負荷を低減しようとする近年のクルマの進化は、パワートレインの進化ともいえます。Hondaは、世界的に環境意識が高まりはじめた70年代から、環境負荷を軽減するパワートレインの開発に乗り出し、「インサイト」でハイブリッドカーを世に普及させるなど、クルマの当たり前を変えてきました。EV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)などエコカーの社会的ニーズが高まるなか、パワートレインの進化はいまだ留まることを知りません。

由井

「私が担当するのはバッテリーやモーターなど複数のデバイスを協調させるためのソフトウェア開発です。現在は、新型EVのパワートレイン制御システムの開発に取り組んでいます」

5年以上先を見据えた開発テーマを掲げるのが、パワートレイン制御開発部の常です。大学院でパワーエレクトロニクスを研究し、新卒でHondaに入社した由井は、長らくハイブリッド自動車のパワートレイン制御システムを担当し、経験を積んできました。

一方、EVに欠かせない高圧バッテリーの制御システム開発に携わる安部は、キャリア入社です。

安部

「前職は完成車メーカーから仕事を受けるエンジニアでした。当時からエンジン制御システムや燃費のシミュレーションを作っていたので、Hondaでも活きるような知識・経験を得ることができました。一方で、取引先の需要をトリガーとした開発しかできないことに物足りなさを感じていたんです。

自らの考えで新しいものをつくりたい。クルマをつくるという実感をさらに強く感じたい。そんな想いがHondaへ転職するきっかけとなりました」

安部はHondaへ入社後、バッテリー本体の開発に携わるなど、ソフトウェアの領域に留まらない経験を積み、その知見を持ってあらためてソフトウェア開発を任されることになりました。

成功体験が仕事へのモチベーションを育む

由井が、この仕事の本当のおもしろさに気づいたのは、先輩から独り立ちしたときでした。2018年に「インサイト」、「CR-V」というハイブリッド自動車を出したときのことです。

由井

「それまでは先輩についていたので、先輩がつくったものを調整・修正するような仕事がほとんどでした。しかし、2018年の『インサイト』、『CR-V』では、『長い坂道を走るときの電力消費やバッテリ満充電による、エンジン回転数の急上昇を抑制する』という課題を直接与えてもらい、自らの裁量で課題に対する対処法を考えることができたんです。

漠然としたミッションに対して、技術的かつ論理的に原因を探っていきました。時には、日本よりも長い坂道があるというアメリカに試験車両を持っていってテストをしましたね(笑)」

与えられた課題に対し、由井が導き出したのは坂道を走るときだけエンジンの発電量を増やすというアイデアでした。発電量を増やすとエンジン音が大きくなってしまいます。しかし、由井には自信がありました。

由井

「ハイブリッド車ですから、バッテリー残量が減れば当然エンジンを回します。坂道を走っていていきなりバッテリーが切れてエンジン音が大きく鳴りはじめるよりも、徐々にエンジン音を大きくしていったほうが、バッテリーの電力消耗が激しい坂道を走っていても自然なドライビングフィールをドライバーに提供でき、突然エンジン音が大きくなるといったこともありません。ユーザー体験はむしろ高まるだろうと考えたのです。

周囲もそのアイデアを否定的に見ることなく、むしろ応援してくれて、無事に商品化にこぎつけることができました」

キャリア入社の安部は、Hondaに来たことで自分の世界が広がっていると話します。そのなかでも、自分なりの立ち回りができていると自信が持てたのはバッテリー本体を開発していた時のことでした。

安部

「前職では、直接サプライヤーや部品メーカーと交渉することがなかったのですが、Hondaでは、開発担当者としてサプライヤーや部品メーカーと直接整合する必要がありました。互いの専門性や知識量、ニーズが異なるなかで、すり合わせを進めるやりとりは、当初とても難しく感じましたね」

安部は、サプライヤーとのコミュニケーションの質を高めるために、社内の有識者から知識を求め勉強をはじめました。そうした過程で、供給されている部品のある問題に気がついたと語ります。

安部

「サプライヤーは、供給される部品がクルマのなかでどう使われているか、なかなか理解しにくい部分があると思います。そのあたりを丁寧に説明しながら、いただいている部品の仕様の問題点に対して理解を求めていったんです。

サプライヤーは他のメーカーにも部品を卸していますから、通常Hondaの要望だけで仕様を変えてくれることはないのですが、地道なコミュニケーションの先に仕様変更を決めていただけました。振り返れば、いまでも一番頑張ったエピソードだと思いますね(笑)」

成長の秘訣は“任せる文化”にある

成功体験を得るなかで、ふたりはHondaで人材が育つ仕組みについて自分たちなりの答えを見出しています。

安部

「ある意味でシャイな人が多い会社なのかもしれません。自分から聞きに行けば何でも教えてくれるのですが、率先して『教えてあげるよ!』というタイプの人は多くはないですね(笑)。

だからなのか、経験のない仕事でも説明なしに振られるんです。そこから自分がどう動くか、周りの人にどう助けを求めていくかで得られるスキルや経験は大きく異なってくると思います」

由井

「私の場合は、まず自分なりにやってみて、そのあと検証会で厳しめなフィードバックをもらって……といった感じで経験を積んでいきました(笑)」

こうした雰囲気は、社員のスキルアップのために仕事を任せるというHondaの文化に起因するものです。

安部

「私もプロジェクトのメンバーに対しては、とくに若手にこそ、まずはトライさせてみるという仕事の振り方をしています。そうすることで、自分で考えて動くという癖が身につくんです」

由井

「会社としてもどんどん新しいことに挑戦する機運がありますから、やはり若手にこそ積極的にアイデアを発表してもらえると嬉しいですよね。一方で私たち世代は、そうやって出てきたアイデアの可能性を、探索できる環境をつくっていかなくてはいけないと考えています」

自由な発想と「やりたい」という意思から新しい価値を生み出す

若手育成の重要性を語る一方で、ふたりにも10年先、20年先を見据えた個人的な目標があります。

安部

「クルマに搭載するアプリプラットフォームのようなものを作りたいんです。いろんな人が車内での体験を向上するためのアイデアを形にして、プラットフォームに置くことができたらおもしろいですよね。私自身、そうした領域の勉強をすることに強い関心があるんです」

由井

「私も、今いる課のなかからクルマとしての新しい価値を探索していくような動きをしたいと思っています。ハイブリッド自動車の担当からEVの担当となり、いろいろと市場を研究するなかで、やはり中国やアメリカの方が一歩先んじていると感じる場面に出くわすことがあるんです。

現場の一社員であってもこうした状況に危機感を覚えて、動いていくべきだと思っています。結局のところ、そうして生まれたおもしろいテーマが自分たちのモチベーションになるし、将来の"飯のタネ"になっていくと思うんです」

ふたりが描く道筋は、現在の職務や所属部署といった範疇に収まりません。彼らに自由な発想をもたらしているのもまた、Hondaの文化によるものかもしれません。

安部

「Hondaでは、テーマがあっても、それをどのように進めていくかは個々人の自由になる部分が大きいんです。ある意味でみんな好き勝手に働いているのがHondaという会社なのかもしれません。だからこそ、『自分はこうしたい』という意志を持った人こそ活躍できる風土だと思いますね」

由井

「求められるのは知識ではなく、まさにそうした想いですね。新しいことに挑戦するときは、当然逆風が吹くものです。そこを粘りきれるかどうかは、自分がやりたいと思っていることかどうかに直結します。自分も入社以来、自分の考えを持ち続けることを大切にしてきました」

Hondaは、常に新しいアイデアでクルマの進化に貢献してきました。その発想は、現場で働く社員の熱い想いによって生み出されています。

※ 記載内容は2023年12月時点のものです

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