NSX-Rトップページへ
NSXトップ
Concept
Rへの期待 サーキットベストへの挑戦 ギャラリー
 
 
第4回サーキットベストへの挑戦
   
空力操安を支えたカーボンパーツ。比類なき耐久性への挑戦。

NSX-Rに乗られた方に話を伺うと、マイナスリフトの実現により研ぎ澄まされた操縦性のよさだけでなく、「エンジンが実に気持ちよく吹け上がる」というインプレッションに出会う。その理由は、NSX-Rのエンジンがレーシングエンジン同等以上とも言える精密さで組み上げられているからだ。
  HONDA VTECエンジン
     
スムーズな回転のために、クランク系の重量のバラツキを徹底的に取り去っていく。
 

NSXのエンジンは、ひとりの技術者が丹精を込めて組み上げている。Hondaの栃木研究所の近くにあるホンダエンジニアリング栃木技術センターでおよそ1日に1台。まさにハンドメイド感覚でつくり上げられるのだ。
この工場は、量産システムの研究などを中心的に行っている工場で、エンジンの組み立てはNSXやS2000、インサイトなど限られたクルマのみ。いわば、生産技術の研究所的役割を担う拠点である。ちなみに、人気のロボット、ASIMOもここでつくられる。

NSX-Rのエンジンは、その栃木技術センターでレーシングエンジン同等以上のこだわりで組み上げられている。そのこだわりとは、クランクシャフトまわりの回転重量の精密なバランス取りである。
通常、重量バランス取りは、ピストン、コンロッド、クランクシャフトなど単体で行われる。しかし、NSX-Rの場合、クランクシャフトにピストンとコンロッドを想定したウエイトを取り付け、フライホイールを組み込んだクラッチカバー、ベルトを回すプーリーまでを組み上げて行う。

すべてを一度組み上げ、バランス計測マシンにのせてクランクまわりのウエイトの偏りを測定。フライホイールの内側をハンドドリルでわずかに削り、重量を調整して再測定。さらに、ハンドドリルで削る・・・という作業を何度も繰り返す。こうした作業は、一般的なレーシングエンジンでも行っていないかもしれない。作業には1台のバランスを取るのに1〜2時間もかかる。量産エンジンでは想像もできないほどの時間だ。担当するのは、社歴23年のベテラン技術者で、「F1エンジンに勝る回転バランスに挑む」という意気込みで作業を行っている。

この重量バランス取りは、タイヤを装着したホイールを回転させてバランスウイエトを装着する“ホイールバランス”と同じ考え方。だたこちらは、ウエイトを装着するのではなく、ドリルでフライホイールなどを削ってマイナス方向でバランスを取っていく。
一度に削るのはわずか数グラムか1グラム以下。ドリルは、ほんの一瞬回すだけだ。そして再びクレーンで吊り上げバランス計測マシンに移し、プーリーにベルトを掛け回転させて測定する。とにかく手間のかかる作業だ。

 
   
各気筒間の相互重量バランス取りと実測によるメタルクリアランス管理。
  まず製造段階で、ピストン&コンロッドの気筒間の重量差をベースのNSX対比で約半分に抑えている。しかも、ピストンとコンロッドの組み合わせを指定し、気筒相互の重量のばらつきをほとんど無くしている。さらにクランクシャフトをミクロン単位で実測し、メインベアルングメタルの厚みまでバランスをとって組み上げるのだ。

1日1台つくるエンジンだからできると言ってしまえばそれまでだが、たとえ可能だとしてもここまで組み上げにこだわる量産スポーツカーがこれまでにあっただろうか?
使う部品は変わらなくても、組み上げ手法を研ぎ澄ますことでパフォーマンスを高められる。最高出力は変わらなくても、エンジンの味が進化する。これこそHondaの「R」のテイストなのだ。まさに、フリクションが皆無であるかのごとく、気持ちよく回る。NSX-Rを走らせるよろこびはこんなところにもあるのだ。
   
  NSX-Rのエンジン高精度重量バランス取り
  ※ミニ画像の上にマウスポインタをもっていくと 拡大画像がご覧いただけます
01 12 03 04 05 06 07
08 09 10 11 12 13 14

Photo
   
   
 

第3回

サーキットベストへの挑戦 Topへ
   
 
Rへの期待ギャラリー
NSX Top Page