ドイツのシュツットガルトから東へ30kmほどいったキルヒハイムの本拠地をはじめ、世界各地に製造・組立工場を持つカイパー・レカロ社からレカロシートは生まれる。その母体は、1906年に創業したロイター・カロッセリー社である。カロッセリーとは車体のこと。当時の主流だった馬車の車体製造工場だったのだ。
時代の流れとともに自動車の車体を製作するようになり、'49年、フェルディナント・ポルシェの息子フェリーから命を受け、ポルシェ初の量産スポーツカー「356」のボディを製作開始。その後、シートなどボディ以外の製作を行うようになり、'63年にはシュツットガルトのボディ部門をポルシェに売却しシート製作に集中することになった。余談だが、売却した工場がのちのポルシェ・シュツットガルト工場となる。その後もポルシェにシートを納入し続けるロイター・カロッセリー社は、REutter
CAROsserieの頭文字を取り、RECARO社に社名変更。レカロという名称の誕生である。
一方、1902年に創業し、馬車の幌やドアヒンジなどの金属部品を製作していたフリッツ・カイパー社は、'38年にシートのリクライニング機構の特許を取り大躍進。そして、特許の効力がなくなる頃、独自のコンプリートシートを製作するため、技術力の高さで名を馳せていたレカロ社を'69年に吸収。ここでやっとカイパー・レカロ社の誕生となる(現在は、再びリクライナーとシートをカイパー社とレカロ社に分けて製作している)。
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