正式名称は、「タルガ・タスマニア・ザ・アルティメイト・ターマック・ラリー」。ミッレ・ミリアを身近に再現したいという島民の思いで、'92年からはじめられたスポーツカーラリーである。ターマックとは舗装路の意味であるから、ラリーといえどもダートを走るわけではない。総走行距離は、5日間で2,000キロにおよぶ。毎日、時速100kmの制限速度が設定された移動区間とタイムを競うスペシャル・ステージ(SS)を走る。SSでの最高速度は時速200kmを超えるという。
ロードブックを手にしたコ・ドライバーの情報をもとに瞬時にドライビングを判断し、滑りやすいカマボコ状の路面をねじ伏せながら走り抜けなければならない。SSは緊張の連続だが、サーキットとは違う変化に富んだ一般道を走破する気分は最高だという。そして移動区間は、海、牧草地、渓谷に囲まれたオーストラリア地方の壮大な自然を楽しむことができる。藤原氏曰く「タスマニアを走れば、日本で1年間スピードを出さなくても我慢できる」とのこと。とにかく快感。そして「1日目と5日目では走りが全然違う」ほど、スキルアップもできるのだ。
参加車両は約250台におよび、製造年ごとにクラス分けがなされる。
Vintage:1900〜'30、Post Vintage:'31〜'46
Historic:'47〜'61、Post Historic:'62〜'65
Early Classic:'66〜'71、Late Classic:'72〜'76
Post Classic:'77〜'81、Early Modern:'82〜'90
Contemporary:'91〜'98
ヒストリックカーがゆっくりと走ると思うのは大間違い。どんなに古いクルマも全開を楽しむ。そして、島民の存在がこのレースをさらに素晴らしいものにしてくれる。プロローグと呼ばれるスタート前のイベントに大勢のスペクテイターが詰めかけ、1台1台紹介されるクルマに大歓声を贈ってくれるのだ。移動区間のスタートでは、「腕を振る機械が必要(藤原氏)」なほど声援を受け、サインのせがまれ方もスター並。見事完走を果たすと、島のオールドレディから熱烈なキスとともに記念メダルが贈られるのだ。何とも言えない感動。子供の頃から夢の存在であったスポーツカーに乗っていることが、社会全体に受け入れられ、祝福される歓びを味わえる日となる。過去、'92年と'93年にNSXはこの大会で2年連続のクラス優勝を果たしている。それ故にスペクテイターの注目度は高いのである。'98年は、4月28日〜5月3日が開催予定日である。
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