鈴木賢司氏。昭和38年生まれ。薬品メーカーで抗ガン剤の研究を行う。学生時代にモーターショーで見たNSXに衝撃を受け、将来の購入を決意。社会人となってから、寮と会社を自転車で往復する生活を約4年間続け、貯めに貯めた資金でシルバーのNSXクーペ、MTを手に入れた。これがはじめて購入したクルマというから驚きである。その大胆不敵なオーナーは、即、走りに没頭。購入後1カ月もたたないうちに8,000キロを走破。オーナーズ・ミーティングも20回以上参加し、年に一度の北海道ツーリングを行う。今年の7月で丸3年になるが、もう8万キロに迫る勢いだ。そしてある日、NSXの走りを満喫する鈴木氏の眼前に、オーストラリア大陸の南にある北海道ほどの大きさのタスマニア島の一般道を使い、5日間にわたって走りまくることのできるタルガ・タスマニアというイベントがあらわれたのである。鈴木氏が籍を置く、NSXオーナーズクラブYOKOHAMAの藤原弘之会長が'96年にタイプRで参加したビデオを見たのがきっかけだった。藤原氏は、レース経験を活かしてクラス3位を獲得した。その貴重な経験と人柄により、藤原氏は今年からタルガ・タスマニアの日本事務局を任されている。そして'98年は、日本からNSX1台のみの参加となる鈴木氏にさまざまなアドバイスを行っているのである。
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