
今年はいかなるものか…。この時点では不安が大きかった。それも、エンジンの調子が上がらなかったからだ。7,500回転からの吹けが悪く、はじめはエキゾーストパイプの排気漏れと思われた。そこで予選中のピットではエキゾーストを外し、きちんと組み直す作業が行われた。しかし事態は改善せず。テレビでも伝えられたとおり、コンピューター系の不具合ということがわかった。燃料を多く吹いてしまうため、正常なパワーが得られないのである。しかし、エンジンのチューニングを担当したニールブラウンからは、コンピュータソフトをメンテナンスできる技術者は派遣されていなかった。手の下しようがないのだ。
タイムも伸びようがなかった。エキゾースト交換後、初日に土屋選手がマークした4分18秒23がベスト。このタイムは、昨年の予選が4分15秒台だったことから考えても不本意なものであることがわかる。
しかし、マシンのフィーリングは昨年よりかなり良くなっていると土屋選手がコメントしてくれた。彼のことばを借りよう。
「ルマンは右回りだから、重量配分的に安定するイン側に乗る右ハンドル仕様にして、さらに去年手の皮がむけるぐらいつらかったからパワステにしました。シャシーセッティングではオーバーステアをできるだけ消してもらい運転しやすさを狙ってます。あと、ブレーキの感触やギアボックスのマッチング、油温などに関するトラブルシューティングもやっているから大きな問題は抱えてないですね。ただ、運転席への風の入りと抜けが良くないって再三いってるんですが、そのあたりがまだですね」とのこと。これは、サイドウインドウを通してダクトを設ける応急処置がなされ、どうにか解決した。
GT2では、NSXの2倍以上の排気量を持つキャラウェイ・コルベットやマーコスが速かった。そのことを土屋選手にぶつけると、「速いのはわかる。じゃあその速さで最後まで走ってみれば…と思うね。ルマンのチェッカーは24時間後なんですよ。そのときどこを走っているかが勝負。まあ、見ててくださいよ」と豪語し、不敵な笑みを浮かべた。
|