この結果、レギュレーションで定められた径のエアリストリクター2個で吸気量を制限されながらも、最高出力600PSまで引き上げることに成功している。なお、このターボ仕様とは別に、NSX本来のポテンシャルをアピールすべく、今回はNA仕様も同時に開発されており、こちらは8500rpmで410PSを発揮するように躾けられた。エンジン形式名は、ターボ仕様がRX-306
E5 IT、そしてNA仕様はRX-306 E51となる。
ところで、昨年のルマン・スペックNSXで最大のアキレス腱といわれたドライブシャフトは、エンジンがブッシュを介してフレキシ ブルにマウントされていたため、スロットルのオン/オフや振動などによって不自然なストレスが発生。これが原因で予想外のトラブルを引き起こしたことが、その後の解析で明らかになった。フレキシブル・マウントの採用は、生産型の補機類を使用する制約上、やむをえないものだったが、今回はこれらにも対策を施し、エンジンはリジッド・マウントされることになった。さらにエンジンの搭載方法は、重量配分の改善を目指して縦置き型としたうえ、低重心化を図るべく、搭載位置も昨年に比べて約30mm下げられた。実際にこのルマン仕様NSXリアセクションを見ると、これほどまでエンジンが下げられるのか…と思うほど低いマウントに驚く。
ギアボックスは、昨年に引き続いて英国のヒューランドがその設計と製作を担当するが、'95年モデルはエンジンが縦置きとなった関係で、従来と同じ縦置き型ギアボックスを採用すると前後方向のスペースが厳しくなるため、新開発の横置き型を搭載することになった。シフトはシーケンシャル式で、生産型より1速多い6段式が投入されている。
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NSX Press vol.16は1995年8月発行です。
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