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大きな話題を伴って登場したメルセデスベンツ300SLR 3リットル直列8気筒マシン。ご覧のように、コーナーリングの際にテールのエア・スポイラーを大きく開き、減速させるシステムを採用しているのがその理由だ。他のチームやドライバーは、視界を妨げられて危険だとアピールしたという。その抗議は認められなかったようだが、自車のバックミラーの視覚確保の点では怠りなく、一部スポイラーを透明にするという配慮を施してある。他社がディスクブレーキを採用する中、ドラムブレーキしか採用することができなかったための苦肉の作であろうか。しかし、ルマンの悪夢と呼ばれたあのアクシデントを引き起こしたことは忘れがたい。1955年、第23回大会。
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