2001年12月発表 2005年12月終了モデル
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  NSX  
メカニズム(エアロダイナミクス)
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NSX
Aerodynamics
NSX ボディカラーはカスタムオーダーのロングビーチブルー・パール ボディ同色ルーフはカスタムオーダー 写真は空力性能説明のためのイメージです。
Photo:NSX ボディカラーはカスタムオーダーのロングビーチブルー・パール ボディ同色ルーフはカスタムオーダー 写真は空力性能説明のためのイメージです。
フロントバンパーコーナ サイドシルガーニッシュ サブスポイラー ヘッドライト
フロントバンパーコーナーの張り出しは、 フロントホイール周辺からドア面にかけての気流を整流。理想的な流速バランスも達成し、空気抵抗の原因となる乱流の発生を抑える。 ボディサイドのフラット化を推進するサイドシルガーニッシュとドアガーニッシュ。サイド面の流速アップに寄与するとともに、タイヤ前後の乱流発生をより効果的に抑える。 車体後部の乱流発生を最小限に抑えるために。ボディとスポイラー間の流速を高めるサブスポイラーをトランク上に装備。リアバンパーには、後部下面流の流速を高めるスカートを採用。 エアロダイナミクスの追求から生まれたヘッドライトは、 4灯式のプロジェクタータイプを採用。内側にハイビーム、外側にはディスチャージヘッドライト採用のロービームを備え、すぐれた配光性能を発揮する。
NSX Approach
スポーツカーにとって空力とは、その運動性能を左右する重要な要素である。どんなにハイパワーを達成していても、空気の流れを最適にマネージメントできる能力がなければ、持てるチカラをフルに発揮することはできない。世界第一級の運動性能をめざすNSXにとっても、空力への取り組みは開発当初からの重要な課題であった。NSXは設計段階から、CD値(空気抗力係数)やCL値(揚力係数)をはじめ、CDA値(空気抗力係数×前面投影面積)、CYM値(ヨーイングモーメント係数)など、すべての空力要素をボディデザインに織り込んだ。徹底した空力解析を繰り返し行い、ショートラウンドノーズ、フォワードキャノピー、リアスポイラーを備えるロングテールなど、独創性に溢れるエアロフォルムを完成させたのである。そしてNSXのポテンシャルをさらに引き出すべく、そのエアロフォルムを出発点に、空力チューンを敢行。オリジナルボディの長所を引き伸ばす方法で、あくまでもNSXらしさを大切にしながら、空力の磨き上げに取り組んだ。
CD値(空気抗力係数):0.30
CL値(揚力係数):0.055(フロント)、0.020(リア)
いずれもNSX Honda測定値
テスト車両による風洞実験テスト
テスト車両による風洞実験テスト

Aero Tune
空気の壁を突き破るのではない。空気という抵抗を、できるだけ綺麗に受け流し、できるだけ走りに貢献させる。レーシングカーの開発にも通ずる空力理論を傾注し、NSXならではの美意識をもってそのボディを磨き上げた。目標としたのは、CD値の低減。そして前後CLバランスのさらなる追求。チューニングにあたっては、クレイモデルによる風洞実験室での基礎研究に加え、高速テストコースに試作車を持ち込んでの実走テストに多大な時間を費やした。なかでもハイスピード領域における実走テストデータを重視し、前後バンパー、ボディサイド、ヘッドライトの形状、トランク・サブスポイラーの採用などを決定。その結果、高速加速性能のアップとともに、高速コーナリング時の安定性が向上。NSXの運動性能にいっそうのアドバンテージをもたらした。ヘッドライトに関していえば、点灯/消灯にかかわらずつねに安定した空力性能が得られるという見地から、固定式を選択。ボディと同様、風洞実験及び実走テストを重ね生まれた3次曲面形状のレンズカバーによって、従来のリトラクタブル格納時をも上回るすぐれたCD値を達成する。さらに、従来比で約10.4kg減という軽量設計も、ピュアスポーツを極めるNSXにとっては、歓迎すべき要素のひとつ。フロントオーバーハング部の重量軽減は、回頭性の向上に貢献する。
※NSX標準タイプ
NSX-R
エアアウトレットダクト付カーボンフード
ボディカラーはチャンピオンシップホワイト
  マイナスリフトの実現

これまで以上の速さを求めたとき、エアロダイナミクスへの着手は必然になった。
公道仕様では困難とされているマイナスリフト。Rは見事に手に入れた。
[ R's Aero ] マイナスリフトとは、高速走行時にボディが沈みこむチカラを発生させる状態のこと。つまりそれは、タイヤの接地力を高めるダウンフォースの発生を意味する。理論上、レーシングカーのように最低地上高を限界まで低めていけば、マイナスリフトの実現はさほど困難なことではない。だが一般道も走るRの場合は、ある程度の最低地上高の確保は必須となり、その実現は非常に難しいものとなる。しかし開発チームは、ベースとなるNSXの空力ポテンシャルを信じ、さまざまな可能性を探求。高速テストコースでの実走テストおよび実車風洞での空力解析を数限りなく繰り返し、ついに前後マイナスリフト化を達成。とくに難しいとされるフロントリフトの低減は、ミッドシップの特長を最大限に活用することではじめて達成できた。具体的には、ノーズ部の内部空間まで空力メンバーとして活用するエアアウトレットダクト付カーボンフード、そしてそのラジエーター排風上方排出化によって可能になったフィン付フロントアンダーカバーの採用など。さらにリアのカーボンスポイラー、ディフューザーによって、前後のリフトバランスを整えるなど、その性能は目にみえるカタチとなって達成された。
NSX-R底面
CD値
(空気抗力係数)
: 0.32
CL値
(揚力係数/全体)
:−0.100
CLf値
(揚力係数/フロント)
:−0.040
CLr値
(揚力係数/リア)
:−0.060
NSX標準タイプに対して、タイヤ接地荷重に換算すると前:25.8kgf、後:21.8kgfの荷重増に相当(いずれも180km/hでのテスト値)
■揚力低減達成手法(単体効果測定値)
  効果 達成値
エアアウトレットダクト付
カーボンフード
気流上方向
整流
CLf値:−0.025
フード内ラジエーター
排気ダクト
気流上方向
整流
CLf値:−0.010
フィン付
フロントアンダーカバー
前方・下面流の
整流
CLf値:−0.040
フロントコンデンサー
開口面積縮小
正面流の整流 CLf値:−0.025
カーボンリアスポイラー 後方・上面流の
整流
CLr値:−0.100
リアディフューザー 後方・下面流の
整流
CLr値:−0.002
(CD値:−0.003)
数値はすべてHonda測定値
[ R's Force ] マイナスリフトの達成は空力操安というアプローチによって実現された。空力操安とは、空力的見地から高速時の安定性と操縦性の向上を追求し、限界領域の拡大とコントロールクォリティのレベルアップを狙おうというもの。上記のようなエアロダイナミクスを極める手法によって、最高速を低下させることなくマイナスリフトを達成、そして得られるダウンフォースを無駄なく速さに直結させるべく、きめ細かなセッティングを敢行。具体的には、ハイスピード領域での挙動変化を最小限に抑えるよう前後のリフトバランスを巧妙にセットアップ。これにより、高速域での旋回限界と挙動安定性を大幅に引き上げることができた。さらに、空力操安による高速安定性の向上は、タイトコーナーでの旋回性を重視したサスセッティングを可能にし、結果、高速コーナーから低速コーナーまで、自在にこなせる懐の深いハンドリングが完成。空力操安の投入が新たな速さをRに与えた。


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