2001年12月発表 2005年12月終了モデル
この情報は2005年12月現在のものです。

  NSX  
メカニズム/ボディワーク
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NSX
Bodywork
NSXボディ
写真は合成によるものです。
NSXボディ構造図
(1) 高強度・高剛性押し出し成形サイドシル
(2) フロントの衝突エネルギーを効率よく吸収するフロントサイドフレーム
(3) メインフレームに強力に固定された高剛性センターピラー
(4) リア衝突時にはフューエルタンクを守る大断面高強度リアフレーム
(5) アーク溶接を使った高剛性極細ピラー
(6) ボディ強度・剛性の向上とエンジンルームからの断熱・遮音に効果的な2重パーテーションガラス
(7) フロント及びリアフェンダーを組み付け部品化することにより軽衝突時のリペアを簡素化
NSXボディ構造図
コントローラブルな操縦性と高品位な乗り心地をもたらす、強靱かつしなやかな脚。インホイール型のダブルウイッシュボーン・サスペンションは、主要部品の80%にアルミを使用する軽量設計。タイプTにおいては、前後17インチタイヤの採用に合わせ、ロール剛性とヨーダンピング、そしてロールダンピングの最適化を図ることで、いっそうの高Gに耐えうるよう限界性能を向上。とりわけドライ路面での、中・高速コーナリング時の安定性を向上させている。また、ステアバランスの最適化を図り、定評あるハンドリングもいちだんとキレよく仕上げている。 ダブルウイッシュボーン・フロントサスペンション
ダブルウイッシュボーン・
フロントサスペンション
ダブルウイッシュボーン・リアサスペンション
ダブルウイッシュボーン・
リアサスペンション
操縦安定性と乗り心地を両立させるために、ピボットを介してホイールの動きに自由度を与えるコンプライアンスピボットを採用。コンプライアンスとは、突起を乗り越える場合など、タイヤに前後方向の外力がかかった際、タイヤ及びサスペンションが移動し、ショックをいなす能力のこと。ピボットはアッパーアームとロアアームを結ぶ形でセット。上下アームと一体となって動くようボールジョイントで接続されている。入力があるとピボットが回転し、コンプライアンスを確保しながらアライメント変化をほぼゼロにコントロールする。 コンプライアンスピボット作動図
鷹栖をはじめとするHondaの過酷なテストコースでの実走テストによって、性能を高めていく方法は、タイヤの開発においても当てはまる。フロント215/40R17、リア255/40R17。高速性能の向上に合わせ、ハイスピード域でのスタビリティとハンドリングの向上をめざし、幾度にもわたるテストを実施。その結果、前後17インチ、そして前後バランスは幅の違いで最適化するという結論が導き出された。また、ホイールは、全タイプ軽量かつ高剛性、BBS(ワシマイヤー)と共同開発のアルミ鍛造ホイールを採用。NSXの厳しい基準を満たしながら、鍛造ならではの強さと軽さをデザインした。 タイヤ
Midship Package
ピュアスポーツはもとよりレーシングカーの定石にもなっているミッドシップレイアウト。その高い資質を核として構築されたのが、NSXのパッケージだ。NSXでは、V6エンジンとトランスミッションをリアアクスルの直前に横置き配置。さらにヨー慣性モーメントを極力小さく抑えるために、人や燃料タンクなどの慣性マスをできる限りボディ中心部へ集めることで、前後の重量配分をより理想的なものに近づけている。一方、そのスタイリングにも注目して頂きたい。スポーツカーの概念を塗りかえた全方位好視界のフォワードキャノピーデザイン。低く長い独特のシルエット。「高性能小型ジェット機のグラスキャノピー」をモチーフとした造形は、すぐれた空力特性と視界性をも実現する。NSXの走り、NSXのカタチ、それらはすべて、ミッドシップの利点を最大限に活用し昇華することによって、もたらされたものなのだ。
All Aluminum Body
ミッドシップはボディ構造上隔壁が多く、高い剛性が得られる反面、重量がかさむというハンデを持つ。そこでNSXはピュアスポーツとしてのパフォーマンスを最大限に引き出すために、オールアルミボディを採用。ホワイトボディで208kgという驚異的な軽さを達成し、NSXの性格を決定付ける抜群の運動性能を手に入れた。ボディ剛性面においては、大断面フレームなどの採用によって高強度を確保。サイドシルにはきわめて高剛性の成形材を、サスペンションの取り付けには、2本のビームで構成されたサブフレームを採用。さらにパネルスキンには、ベークハード性(焼付け時に硬度を増す性質)の高いアルミ材を採用、ボディ全体の軽量化にも貢献している。また、タイプTにおいてはオープントップモデルでありながらも、高剛性を確保するために標準タイプ同様ニュルブルクリンクサーキットを走り込み徹底的に錬磨。サイドシルの板厚アップなど、50カ所を超えるボディ強化を施している。エンジンルーム内にはストラットタワーバーも装備する。
Suspension
4つのタイヤを介して、エンジンパワー及びミッドシップの優位性を余すことなく路面に伝えてくれるのが、軽量、高剛性インホイール型ダブルウイッシュボーン・サスペンション。ダブルウイッシュボーン本来のすぐれた基本特性に加え、アッパーアームとロアアームをホイールの内側に包み込む構成によってフェンダー高を低く抑えることができるという特長を持つ。これをベースに、路面追従性や操縦安定性、そしてハンドリングの応答性などを人間の感性にフィットするまでにチューンアップ。NSXの第二の故郷、ドイツ・ニュルブルクリンクサーキットでの数限りないテストを経て、俊敏かつ正確なフットワークが生み出されたのである。さらにタイプSでは、いちだんと高度な走り味を追求し、前後スプリングレート及びダンピングレートのアップ、ダンパーマウントのブッシュ強化、10mmの車高ダウンなど、ハーダーサスセッティングを敢行。まさにワインディングベストと称するにふさわしい専用チューンで、走りの歓びをひときわスポーティに高めている。
Brakes
エンジンやサスペンション同様、自在にできるストッピングパワー、すべてを託せるブレーキシステムがなければ、ピュアスポーツは成立しない。NSXが採用するのは、大径ベンチレーテッドディスクブレーキ(ローター外径:フロント298mm/リア303mm)。キャリパーピストンをフロントとリアで異径とするなど前後バランスの最適化を図っている。ブレーキパッドは、耐フェード性、耐摩耗性など総合性能にすぐれるノンアスベスト材。ABSは、ECU一体型の小型、軽量タイプを採用。高精度な車体速度推定を行い、きめ細かな制御を可能にしている。
NSX-R
リアスポイラー
ボディカラーはチャンピオンシップホワイト
  軽さと強さの融合

走りを高める軽さがほしい。しかし、スポーツカーとしての寿命を縮めるような軽さはいらない。だからこそRは、軽さの中身にこだわった。
[ R's Carbon ] まず、超軽量なレーシングスペックであること。そして、長年の使用を前提とした耐久性と、衝突安全性もみすえた強度を持つこと。そんな厳しい要件を満たしてくれたのが、このCFRPオートクレーブ成形カーボンフード。表面6層、フレーム4層という強固な構成を基本とし、各々の中央2層には耐衝撃性にすぐれるカーボンアラミドファイバーを積層。強度、耐久性、そして耐衝撃性を高いレベルで確保しながら、大幅な軽量化(-2.2kg)を達成。さらに、カーボンリアスポイラー(-1.3kg)とともに、劣悪な環境下での劣化試験を何度となく経験し、他の長期保証パーツ同様、十二分な耐久性を実現。そのリアスポイラーにおいては、軽量かつ仕上がりが高精度という点からワンピース構造にこだわった。空力が求めた複雑な形状を持つゆえ、その実現は困難を極めたが、大型中空成形という量産車初の特殊な工法を用いることで目的は遂げられた。Rのカーボン。そこには少量生産だけに許される職人達の技と英知が、幾重にも幾重にも織り込まれている。
オールアルミボディ
Photo:ホワイトボディ
カーボンリアスポイラー
中空ワンピース構造の
カーボンリアスポイラー
[ R's Approach ] もともと驚異的な軽さを誇るオールアルミボディを採用し、徹底した軽量化対策を施しているNSX。幾度にもおよぶ進化の過程においても軽量化への取り組みは必須項目であり、その時代その時代で徹底的なウェイトダウンをやり遂げてきた。そうしたプロセスを推し進め、さらなる軽量化を達成しようとしたとき、次のステップとして超軽量カーボン素材へのチャレンジは必然であった。その他の部位においても、NSX本来のボディ剛性と衝突安全性能を損ねることなく、各種快適装備の廃止など走りに直接関わらないものを削ぎ落とすという初代Rが敢行した軽量化手法に加え、軽量アルミ鍛造ホイールのさらなる軽量化(-1.0kg)、リアパーテーションガラスの薄板化(-0.2kg)、そしてスペアタイヤ廃止(-14.4kg)など、細部にわたり新たな軽量化に取り組んでいる。(軽量化対応項目は「NSX-R装備一覧」にて紹介)

■( )内の数値はすべてNSX標準タイプ比  ※タイヤパンク修理剤対応
ホイール
ボディカラーはチャンピオンシップホワイト
  限界領域の拡大

強烈なGを手なずけながら、コーナーというコーナーを思いのままに征服する。
マイナスリフトの恩恵は、この脚があってこそ生かされた。
[ R's Suspension ] 空力操安による高速安定性の向上に呼応して、その脚まわりも旋回性向上など限界性能を大幅にアップ。鷹栖テストコースや鈴鹿サーキットなどでの走り込みを重ねたうえで、ドイツ・ニュルブルクリンクサーキットにて最終仕上げを行い、Rベストといえる専用セッティングを導き出している。具体的には、車高を下げ低重心化を図ったうえで、バネレートおよびブッシュ類のレートアップ、高精度・高応答の分離加圧式ダンパーの減衰力特性最適化、そしてスタビライザーの強化やボディの補強などを実施。セッティング的には、初代Rに比べリアのロール剛性をより高めに設定し、さらにリアロアアームのブッシュを固めることで、リアの剛性感と安定性を高め、タイトコーナーでの舵の効きと旋回性を向上。また、ダウンフォースと専用開発タイヤとの相乗効果で、高速域における確かな操舵感とスタビリティも高いレベルで確保している。
■主なサスペンション諸元
    NSX標準タイプ NSX-R
スプリングレート フロント 34.3N/mm 102.0N/mm
リア 39.2N/mm 81.4N/mm
ダンパー減衰力
(0.3m/sec時)
フロント
(伸び)1128 N
(縮み)1069
(伸び)3148 N
(縮み)2040
リア
(伸び)1795 N
(縮み)1226
(伸び)3315 N
(縮み)2393
スタビライザーサイズ フロント φ 18.0mm×t3.0mm(中空) φ22.2mm×t4.0mm(中空)
リア φ17.5mm×t2.3mm(中空) φ17.5mm×t2.3mm(中空)
ダブルウイッシュボーン・フロントサスペンション
ダブルウイッシュボーン・フロントサスペンション
ダブルウイッシュボーン・リアサスペンション
ダブルウイッシュボーン・リアサスペンション
[ R's Brakes ] 強力な制動力&絶妙な前後バランスを実現したブレーキシステム。Rでは、サーキットでの連続走行などハードなドライビングにも余裕をもって対応できるよう耐フェード性を向上。前後の大径ベンチレーテッドディスクプレートには、パッド摺動面のクリーニング化&摩耗粉排出用のスリットを設け熱対策を強化。パッドには、熱ダレしにくくローター攻撃性も少ない新GPパッドを採用。また、専用ブレーキマスターパワーによって制動応答性を高め、コントローラビリティをいちだんと向上させている。ABSについては、通常走行領域はもちろんハイスピード走行領域での走行も考慮した専用セッティングを施している。

■ABS(4輪アンチロックブレーキシステム)は、あくまでもドライバーのブレーキ操作を補助するシステムです。したがって、ABSがない車両と同様に、コーナー等の手前では充分な減速が必要であり、ムリな運転までは制御できません。安全運転をお願いします。
ブレーキシステム
2ポットピストンキャリパーに装着される、高強度カーボンメタリック素材採用・新開発GPパッドには、パッドの摩耗粉がホイールに固着しにくいという特長もある。
[ R's Grip ] 公道仕様でありながら、サーキットでの最速性能をめざすRコンセプトのもとに開発されたタイヤが、R専用ブリヂストン・ポテンザRE070。Rの限界性能を引き上げるに十分なドライ&ウエットグリップ性能を発揮する一方、熱ダレにも強く、耐摩耗性にすぐれる高性能スペックとなっている。また、BBS(ワシマイヤー)と共同開発の鍛造アルミホイールは、強度を確保しながら、徹底した軽量化を施しバネ下重量の軽減に貢献している。
専用開発ポテンザRE070
非対称パターン採用、専用開発ポテンザRE070


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