2008年7月発表 2016年3月終了モデル
この情報は2016年3月現在のものです。
2004年箱根駅伝 レースレポート
2004年1月2日7時45分、東京・大手町の読売新聞社前には例年通り人で溢れ返っていた。待っているのは箱根駅伝の往路スタート。今年から、参加チームがさらに増え、学連選抜も含め20チームで競うこととなった。沿道の応援者達がいつもよりも多く見えるのはその為だったのか、それとも年々高まる箱根駅伝人気を表しているのか。沿道に溢れんばかりの人が集まる中、箱根駅伝は定刻どおりスタートした。
そして、選手達が一斉に箱根路へと向かうそのすぐ後を、今大会で大会本部車をつとめる「燃料電池車FCX」が出発。酸素と水素の反応で走るFCX。排気ガスは出ない、出すのは水だけ。加えてHondaならではのキビキビとした走りをあわせ持つ。さらに、新開発した次世代型燃料電池スタック"Honda FC STACK"は、-20℃の環境下でも始動が可能だ。正月に行われる箱根駅伝は、時に雪が降り、氷点下を切ることもあるのでその性能は重要。そして、排気ガスを排出しないので、自分の力を出し切り走りつづけるランナー達には非常に優しい。だから、今回の箱根駅伝の大会本部車という役目は、FCXにとって適役と言えるだろう。
こうして、F1よりも何よりも先駆けて、2004年のHondaの初レースが始まった。
大会本部車というものは、常に決まった位置を走っているという車ではない。時に先頭集団の近くを走り、時に後方集団の近くを走る。別の道を使いショートカットしてまた先頭近くに戻ってきたりもする。選手達の走る速度にあわせてゆっくり走るだけではなく、機動力も要求される。この日のFCXも、そのコンパクトなボディで目まぐるしく走りまわっていた。
箱根駅伝はスタート直後、先頭が次々と入れ替わり激しいレースとなったが、箱根に近づくにつれて昨年総合優勝を決めている駒澤大学が頭ひとつ飛び出した形となった。しかし、2位以下は箱根の登坂に差し掛かるあたりで激動した。東海大学が5人抜きを果たし2位へ浮上。一方で大東文化大は調子を崩し8つも順位を下げる。公式記録には載らないものの、学連選抜の選手が「卒論を投げ打って」出場した最後の箱根の登りにおいて区間賞を取るなど、ニュースはたくさんあった。
そしてそんな中、先頭のランナーの後、審判車、報道車に続き、FCXが、箱根の坂道をものともせずに軽快な走りを見せ、往路ゴールの芦ノ湖へゴールイン。その優れた走行性能を証明したのだ。
レースは往路優勝の駒澤大学がそのまま1位を守りきった。FCXは、選手達とともに箱根路から東京に戻り、第一京浜を抜け、そして、選手達のゴールを見守るように、手前の日本橋交差点で曲がり、レースを終えた。その走りは、今大会の駒澤大学の独走を写し取ったかのような軽快な走りとパフォーマンスであったと言えよう。全てのランナーたちが完走した今年の箱根路のレースの裏で、FCXもまた完走。そして実力を余す事無く発揮し、大きな存在感を印象付け、大会本部車としての役目を果たすことが出来たのである。