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WTCC 開発プロジェクトリーダーレポート

新レギュレーションで挑む、2014年シーズン ―ダブルタイトル獲得を目指して―

大幅なパワーアップと軽量化を実現したエンジン

では、レギュレーションの変更によって、私たちのHonda Civic WTCCはどのような進化を遂げたのか、ご説明しましょう。

まず、エンジンについてお話しします。

一番大きな変化点は、「大幅な軽量化」が図れたことです。昨年までのレギュレーションでは、シリンダーブロックやサンプなどは最低重量が定められていましたが、今年からその規定が削除されたため、これら大型鋳造部品をダイエットしました。

また、昨年は開発期間の短さと経験不足のため、各部品の振動に対する信頼性に不安があり、振動を和らげる目的で2次バランサーシャフトを設置していたのですが、昨季の戦いで得られたデータをもとに、信頼性の確認ができたため、2014年型ではこれを廃止。キャスティング軽量化と合わせて、約8kgの軽量化を実現しました。

回転部重量が軽くなったため、回転イナーシア低減による加速性能の向上にも貢献しています。

さらに、「燃焼系の改善」も図りました。昨年は、運転条件によっては燃料の不完全燃焼を起こすこともあったのですが、今季に向けて吸気側バルブトレインのレイアウトを見直し、燃焼改善による効率のいいエンジンを目指しています。ほかにも、冷却系や吸・排気系を全面的に見直し、加速性能の向上を行いました。

このあとでお話ししますが、車体のレギュレーション変更によって、今季は性能がアップしたシャシーを使うことができます。これによって、「エンジンコントロールのセッティング」も進化しました。昨年のマシンは滑りやすかったため、ドライバビリティーを重視した扱いやすいエンジンを目指してセッティングしていました。今季のマシンはグリップが増加したことで、よりアグレッシブな設定が可能になり、コーナーからの立ち上がりなど、ターボ作動時におけるレスポンスの向上を狙って、アンチラグシステム(ALS)のコントロール改善などの開発を行いました。

新たなスペックのエンジンの仕上がりは順調で、出力は380馬力以上にアップ。
モンテイロ選手も「380馬力以上を誇り、空力特性にも優れたマシンは、全く新しい走りを体感できる」と、高く評価しています。

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