WTCC 開発プロジェクトリーダーレポート

Round 6 - Round 8 開発への飽くなきチャレンジ

攻めのセッティングに挑戦。今後に向けて大きな成果を実感した戦い―ポルトガルラウンド ボアヴィスタ・サーキット

ポルトガルはモンテイロ選手の母国です。さまざまなイベントが行われ、その中心はほとんどモンテイロ選手でした。また、このレースにはヨーロッパ中のHondaの関係者が大勢応援に集まり、我々にとっても力の入る戦いとなりました。

このレースに向けて、我々はターボとALS(アンチラグシステム)のセッティングを、かなりアグレッシブにして臨みました。これまで、比較的マージンを取ったセッティングにしてきましたが、パワーをより引き出すために、ギリギリまで攻め込んだのです。30℃を超える気候条件も加わり、結果的に排気温度は、ギリギリを超えて1100℃近くまで上昇。ターボチャージャーを壊してしまいました。フリープラクティスで、モンテイロ選手のマシンにこのトラブルが発生。予選までになんとか修復しましたが、これが完全ではなく、モンテイロ選手は予選でアタックができませんでした。これを受けて、セッティングを少し戻したのですが、決勝レースではさらに気温が上がったこともあり、タルクィーニ選手はレース1でターボがブロー。この修復でレース2は最後尾スタートとなってしまいました。ミケリス選手は予選4番手と好ポジションでしたが、レース中に他車と接触しウオールに激突。ダメージが激しく、レース2に出走できない結果となったのです。これらによって、連続表彰台獲得は途切れてしまいました。

結果として、モンテイロ選手やHondaを応援してくれた多くの人たちの期待に応えることはできませんでした。そのことについては申し訳ない気持ちです。しかし、エンジニアとしては、アグレッシブなセッティングの限界を確認できたという点で、非常に大きな成果を得ることができました。今回試したギリギリのポイントと、これまでの安全なポイントの間に、より有効にパワーを引き出せるポイントがあることを確認できたからです。これによるパワーアップとドライバビリティの向上は、各ドライバーからかなりの高評価を受けました。レースの結果は残念なものでしたが、シリーズ後半に向けて、大きなステップとなる戦いになったのです。

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