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もうひとつの夢に向かって着実に前進 青山博一 マレーシアテスト・レポート

バレンシアテスト
バレンシアテスト
バレンシアテスト
青山博一(右)、青山周平(左)

250ccクラスで世界チャンピオンに輝き、念願の最高峰クラスMotoGPにチャレンジを開始した青山博一の走行テストが、昨年12月下旬、マレーシア・セパンサーキットで行われた。最終戦バレンシアGP後に行われたバレンシアテストに続き、これが2回目のMotoGPテストとなった。バレンシアテストでは、青山が所属していた「Scott Racing Team」からMotoGPクラスに参戦していたガボール・タルマクシのHonda RC212Vを使用した。今回もマシンは同じだが、2010年シーズン、青山が所属する新チーム「インテルウイッテン・ホンダ」の事実上のスタートとなった。

マレーシアテストは3日間で行われた。本来、12月1日から1月31日まではテスト禁止期間となっているが、2010年に向けて、MotoGPクラスに参加するルーキーに限って、3日間のテストを認める新ルールが採用された。そのため、MotoGPクラスに参戦するHonda勢のルーキーである、250ccクラスチャンピオンの青山と、昨シーズンその青山と最終戦までし烈なタイトル争いを繰り広げ、2010年からホンダ・グレッシーニからMotoGPクラスに参戦するマルコ・シモンチェリの2人が、このテストに参加。さらに、2010年型RC212Vの開発テストのために、岡田忠之と秋吉耕佑が参加した。

今回のテストに向けて青山は、「バレンシアでは、RC212Vに乗るのが初めてだったので、MotoGPマシンがどういうバイクなのか、フィーリングをつかむことが最大の目的だった。今回はバレンシアテストから一歩進めて、少しでもMotoGPマシンに慣れること。少しでも攻める走りができるようにしたい」と、セパン初テストの目標を語った。

バレンシアテストでは、3日間を通じて、いかに正確にマシンを止めるかというブレーキングの課題に取り組んだ。MotoGPマシンは、絶対的にスピードが高く、加えて、250ccクラスより車重が重く、よりブレーキングの正確さが要求される。速く走るための3原則。止める、曲げる、加速するという課題の中で、250ccクラスからMotoGPクラスにスイッチして、最も難しいと言われるブレーキングに多くの時間を割いた。

「僕は石橋を叩いて渡る性格。叩きすぎて割っちゃうこともある」と青山は笑う。RC212V初ライドとなったバレンシアでは、250ccクラスでタイトルを争い、2010年からMotoGPクラスにスイッチするライバルたちに後れを取った。最終戦までタイトルを争ったシモンチェリ、アプリリアからスズキに移籍のアルバロ・バウティスタ、アプリリアからドゥカティに乗り換えるエクトル・バルベラ。しかし、ラップを刻むごとに着実に前進する青山は、3日間のテストで約3秒タイムを短縮。ルーキー勢の中では最下位のまま初テストを終えることになったが、テストメニューをきっちりと消化、確実にマシンを乗りこなしていく青山の堅実な走りに、タイトルを獲得した250ccクラスの戦いぶり同様、関係者の間で評価を高めた。

そのテストを終えて1カ月、帰国した青山は、2001年の加藤大治郎選手以来、日本人としては8年ぶりに世界チャンピオンに輝いたことで、多忙な日々を過ごすことになった。さまざまな祝賀会に出席。「チャンピオンになって、こういう忙しさを経験してみたかった」という青山は、イベントの合間には、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌のインタビューをこなした。その多忙なスケジュールの中でも、12月下旬のマレーシアテストに向けてのトレーニングを欠かさなかった。

「セパンは、暑いだけじゃなくて、体力的に相当きついと思う。バレンシアに比べてスピードも高いし、ブレーキングもハード。イベント続きでいつもよりトレーニングが不足しているし、不安だが、MotoGPマシンを乗りこなすために体力がどのくらい必要なのか知るには、すごくいいテストになると思う。今回の3日間の走行を終えたときには、来年に向けて目標や豊富を少しでも語れるようになっていたい」と、マレーシアテストを開始した。マレーシアのセパンサーキットは、青山が得意とするサーキットの1つ。今回のテストでMotoGPマシンの攻略を目標にする青山にとっては、絶好のサーキットとなった。

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