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MotoGP学科

ファクトリー資格の話

19限目

CRTの登場と課題

2013年シーズンのMotoGPクラスには、24選手がフル参戦をしている。彼らの駆るマシンのうち、Honda RC213Vの4台を含む12台は、MSMA(Motorcycle Sports Manufacturers' Association:モーターサイクルスポーツ製造者協会)に参加するメーカー、いわゆるファクトリーの製造するプロトタイプマシン。残る12台が、CRT(Claiming Rule Teams:クレーミング・ルール・チーム)が独自に製作するオリジナルフレームに、量産車ベースのエンジンを搭載した「CRTマシン」となっている。

CRTとは、ルールブックの定める定義と車輌規則に応じた参戦形態として、2012年シーズンからMotoGPクラスに新たに導入された制度だ[13限目 クラスの話(1)]。CRTの導入により、MotoGPクラスの参戦障壁を下げて参加台数の増加を促すという、当初の目的は一応の達成をみた。その一方で、既存プロトタイプ勢とのマシン性能差を埋めることは難しく、事実上2つのカテゴリーが一つのクラスを混走しているような状態は、現在も解消されるに至っていない。そのため、競技の安全性を確保しつつ、レースの興趣をさらに盛り上げる方法について、グランプリコミッション(DORNA、FIM、IRTA、MSMAの代表者からなる組織。MotoGPの運営やルール改正などを話し合う)で何度も協議が行われてきた。

そしてその結果、2014年シーズンからはCRTという概念は廃止され、MotoGPクラスに参戦する車輌は、新たなルールの策定と技術的手法により定義・管理されることが決定した。

2013年にCRTマシンで参戦しているブライアン・スターリング(GO & FUN Honda Gresini)

2014年からの新たな規格

来年からの制度改正にともない、第7戦オランダGPのレースウイーク中の6月28日(金)に、以下の決定がなされ、週明けの7月2日(火)にFIMから正式発表が行われた。

直ちに施行
マニェッティ・マレリ社の公式ハードウエア及びソフトウエア(訳註:CRT用にDORNAが配布する公式ECU)を使用し参戦するCRTは、いずれもエンジンクレーミングルールを無効とする。

Effective Immediately
The engine claiming rule is cancelled for any CRT entry using the official Magneti Marelli hardware and software.

2014年より施行
エンジンクレーミングルールはすべて無効とする。

Effective 2014
The engine claiming rule is cancelled completely.

今季のルールでは、CRT勢に対して、DORNAはマニェッティ・マレリ社のECU(Engine Control Unit:マシンの電子制御システム)を供給している。上記の文言では、その公式ECUを使用するCRTに対して、この文書発表後、ただちにクレーミングルール(買い取り請求規則)が適用されなくなること、そして来年にはこのルールが完全に廃止されることを明言している[エンジンクレーミングルールの詳細については「クラスの話(1)」]。

2014年からのマシン規定に関しては、さらにグランプリコミッションが第8戦ドイツGPのレースウイーク中の7月13日(土)に議決を行い、7月26日(金)にFIMから公式発表が行われた。

電子制御(EUC)の規則
仕様の詳細と追加オプションに関しては追って通知する。
MotoGP公式ECUの使用(内蔵データロガーを含む)とMotoGP公式ソフトウエアパッケージの使用を必須とする。
最大燃料容量は24リットルとする。
選手一名あたりの年間エンジン使用数は最大12基とする。

ファクトリー資格について
各マニュファクチャラー(モーターサイクルのマニュファクチャラーと車体のマニュファクチャラーを含む)は、「ファクトリー」資格で年間に参戦する選手を4名まで選択することができる。
MotoGP公式ECUの使用を必須とする。ただし、マニュファクチャラーは独自ソフトウエアの開発と使用をしてもよい。
最大燃料容量は20リットルとする。
選手一名あたりの年間エンジン使用数は最大5基とする(新たにマニュファクチャラーとして参戦する初年度は9基まで)。
エンジンは、エンジン設計と内部部品の仕様変更不可を定めるエンジンホモロゲーション規則に従っていなければならない(新規マニュファクチャラーの参戦初年度に関しては、エンジン設計と内部部品の仕様変更不可を義務としない)。

Electronics (ECU) Regulations
A detailed specification and permitted options were confirmed.
The use of the official MotoGP ECU, including an internal datalogger, and the official MotoGP software package is compulsory.
Maximum fuel capacity is 24 litres.
Maximum number of engines per rider, per season, is 12.

Factory Status
Each Manufacturer, (including motorcycle manufacturers and chassis manufacturers), can choose to enter up to 4 riders for the season who will participate with “Factory” status.
The use of the official MotoGP ECU is compulsory. However manufacturers are permitted to develop and use their own software.
Maximum fuel capacity is 20 litres.
Maximum number of engines per rider, per season, is five. (Nine Engines for the first year of participation by a new manufacturer).
Engines are subject to the engine homologation regulations which mandate frozen engine design and internal parts. (New Manufacturers are not subject to frozen engine design and internal parts in their first season of participation).

この公式文書を一読すれば分かる通り、2014年以降のMotoGPクラスの参戦形態は、ファクトリーマシンであるか否かで分類されることになる。独自のECUソフトウエアを開発して使用する場合はファクトリーマシン、共通の公式ECUを搭載する場合はノンファクトリーマシン、という視点から区分することもできるだろう(ECUのハードウエアに関しては、ファクトリー、ノンファクトリーにかかわらず、マニェッティ・マレリ社のものを統一して使用する)。

ファクトリーマシンとノンファクトリーマシンは、年間に許容されるエンジン使用基数(ファクトリー5基、ノンファクトリー12基)、燃料タンクの容量(ファクトリー20リットル、ノンファクトリー24リットル)といった点にも差別化が設けられている。来季はファクトリーに対して、燃料容量を1リットル減らすというさらに厳しい制約が設けられるが、ノンファクトリーマシンに対する燃料やエンジン使用数の制限は、基本的に今季までと同様といえる。つまり、CRTという呼称こそ用いられなくなるものの、公式ECUソフトウエアを使用するノンファクトリーは、今季と同様のマシン体制で参戦できると考えていいだろう。

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