チェコGPからの連戦となった第11戦オーストリアGPは、不安定な天候となり、今季7回目のポールポジション(PP)を獲得したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が2位でフィニッシュしました。朝のウォームアップはウエット。決勝レースはドライとなりましたが、フリー走行や予選に比べて、気温も路面温度も低く、タイヤの選択が難しいレースとなりました。マルケスは、フロント、リアともにミディアムを選択し、予選3番手のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)と一騎打ちを繰り広げましたが、わずかの差で2位に終わりました。
オーピニングラップはブレーキングをミスして5番手まで後退しました。しかし、周回を重ねるごとにポジションを上げて、6周目に2番手に浮上すると、それからはドヴィツィオーゾとの一騎打ちとなりました。
マルケスは8周目から18周目まで首位を走行。19周目から25周目まではドヴィツィオーゾが先行。ラスト3周は首位を争う2人が何度もポジションを入れ替えるし烈な戦いとなりました。そして、マルケスが先行するかたちで最終ラップに入りましたが、最終コーナーのブレーキングでマルケスのインを差したドヴィツィオーゾが先行、今年も悔し涙を呑みました。
今大会、フリー走行、予選と圧倒的な速さをみせたマルケスですが、朝方まで降った雨の影響とフリー走行、予選より10℃近く低い気温と路面温度がタイヤの選択を難しいものにしました。オーストリアGP初制覇は来年へと持ち越しとなりましたが、チェコGP、オーストリアGPの2連戦で、優勝と2位を獲得。ランキング総合2位のドヴィツィオーゾに58ポイント差をキープして、タイトル獲得に一歩前進しました。
中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)もタイヤ選択に迷いましたが、フリー走行、予選でよかったコンビネーション(フロントにハード、リアにソフト)を選択してグリッドにつきました。しかし、低い気温と路面温度の影響で、フロントのハードが十分に機能せず、中上が今大会アドバンテージを築いた高速コーナーでタイムをロス、11位がやっとでした。ベストグリッドの6番手からベストリザルトを目指した中上ですが、今大会の悔しさを次戦イギリスGPにぶつけます。
ケガで欠場しているホルヘ・ロレンソの代役として出場のステファン・ブラドル(Repsol Honda Team)は、21番グリッドから追い上げて、13位でフィニッシュしました。今大会は、3年ぶりに走行するレッドブル・リンクをうまく攻略できませんでしたが、ドイツGP、チェコGPに続いて3戦連続でポイントを獲得し、代役としての仕事を見事に果たしました。
予選9番手から決勝に挑んだカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)は、オープニングラップ12番手につけましたが、2周目の2コーナーで、スロー走行となったポル・エスパルガロ(KTM)を避けたティト・ラバト(ドゥカティ)に接触して転倒しました。残念な結果に終わったクラッチローですが、ホームグランプリとなる次戦イギリスGPは、気持ちを切り換えて挑みます。
マルク・マルケス(MotoGP 2位)
「今日はリアタイヤの選択でミスをしてしまいました。ソフトタイヤの方がグリップがいいことがすぐに分かりました。安定性もミディアムを選択した僕たちよりもよく、厳しい戦いとなりましたが、最後までがんばりました。なぜなら僕は、トライしなければ気が済まないマルクという人間だからです。2位を獲得できてよかったです。最終コーナーはかなりスライドして、うまく走ることができませんでした。ドヴィツィオーゾはすばらしい仕事をしました。58ポイントのリードで、このサーキットをあとにできるのはいいことです。この調子でがんばっていきたいです。ベストな状況でなくても、このような結果を出すことができたのは、とてもポジティブなことです」
中上貴晶(MotoGP 11位)
「オーストリアGPは、レースウイークを通じていい走りができました。決勝に向けてセットアップもタイヤ選択も決まっていましたが、決勝レースはコンディションが変わり、フリー走行、予選のような走りができませんでした。特にフロントのハードタイヤがうまく機能せず、ペースもつかめませんでした。ブレーキングはよかったのですが、セクター3、4の高速コーナーでサイドグリップをうまく引き出せず、自分の速い区間でアドバンテージを活かせませんでした。気温、路面温度が低かっただけでなく、朝方まで降った雨も影響したと思います。11位という非常に残念な結果に終わりましたが、この悔しさを次のシルバーストーンにぶつけたいです」
ステファン・ブラドル(MotoGP 13位)
「難しいレースウイークでした。目標はポイント圏内でフィニッシュすることでした。午前中の天気は悪く、決勝は後方グリッドからのスタートだったことを考えれば、13位という結果はとてもよかったと思います。雨のためにウォームアップでは思ったようなテストができませんでしたが、こうしてポイントを獲得することができてうれしいです。Repsol Honda TeamとHRCのサポートに感謝しています。いろいろな目標を達成できました」
カル・クラッチロー(MotoGP リタイア)
「今日はとても残念です。ポル・エスパルガロのマシンが止まり、僕の前にいたライダー(ティト・ラバト)がポルの後ろに当たり、そして、僕がラバトに追突するという事故でした。当たったときはとても遅いスピードでしたが、僕のハンドルバーが彼のマシンに当たり、転倒してしまいました。今日はレースに向けてかなりポジティブなフィーリングがありました。そしていい結果を残せると思っていました。このようなかたちでレースが終わり、インフォメーションも集めることができず残念です。今日のレースはいい勉強になると思っていました。でも、これがレースというものです。次戦シルバーストーンのホームグランプリに向けて気持ちを切り替えます」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 39'34.771 |
2 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | +0.213 |
3 | 20 | F.クアルタラロ | ヤマハ | +6.117 |
4 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +7.719 |
5 | 12 | M.ビニャーレス | ヤマハ | +8.674 |
6 | 42 | A.リンス | スズキ | +8.695 |
7 | 63 | F.バニャイア | ドゥカティ | +16.021 |
8 | 88 | M.オリベイラ | KTM | +16.206 |
9 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | +17.350 |
10 | 21 | F.モルビデリ | ヤマハ | +20.510 |
11 | 30 | 中上貴晶 | ![]() | +22.273 |
12 | 5 | J.ザルコ | KTM | +25.503 |
13 | 6 | ステファン・ブラドル | ![]() | +31.962 |
14 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア | +34.741 |
15 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +48.109 |
16 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | +1Lap |
RT | 53 | T.ラバト | ドゥカティ | +8Laps |
RT | 43 | J.ミラー | ドゥカティ | +21Laps |
RT | 55 | H.シャーリン | KTM | +26Laps |
RT | 44 | P.エスパルガロ | KTM | +27Laps |
RT | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | +27Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | 230 |
2 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 172 |
3 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | 136 |
4 | 42 | A.リンス | スズキ | 124 |
5 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 103 |
6 | 12 | M.ビニャーレス | ヤマハ | 102 |
7 | 20 | F.クアルタラロ | ヤマハ | 92 |
8 | 43 | J.ミラー | ドゥカティ | 86 |
9 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 78 |
10 | 30 | 中上貴晶 | ![]() | 62 |
11 | 44 | P.エスパルガロ | KTM | 61 |
12 | 21 | F.モルビデリ | ヤマハ | 58 |
13 | 36 | J.ミル | スズキ | 39 |
14 | 41 | A.エスパルガロ | アプリリア | 33 |
15 | 88 | M.オリベイラ | KTM | 26 |
16 | 63 | F.バニャイア | ドゥカティ | 24 |
17 | 5 | J.ザルコ | KTM | 22 |
18 | 29 | A.イアンノーネ | アプリリア | 21 |
19 | 99 | ホルヘ・ロレンソ | ![]() | 19 |
20 | 6 | ステファン・ブラドル | ![]() | 16 |
21 | 53 | T.ラバト | ドゥカティ | 14 |
22 | 51 | M.ピッロ | ドゥカティ | 9 |
23 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | 4 |
24 | 50 | S.ギュントーリ | スズキ | 3 |
25 | 55 | H.シャーリン | KTM | 3 |
26 | 38 | B.スミス | アプリリア | 0 |
順位 | コンストラクター | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | ![]() | 236 |
2 | ドゥカティ | 202 |
3 | ヤマハ | 179 |
4 | スズキ | 141 |
5 | KTM | 69 |
6 | アプリリア | 47 |
順位 | チーム | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | Ducati Team | 308 |
2 | Repsol Honda Team | 259 |
3 | Monster Energy Yamaha MotoGP | 205 |
4 | Team SUZUKI ECSTAR | 163 |
5 | Petronas Yamaha SRT | 150 |
6 | LCR Honda | 140 |
7 | Pramac Racing | 110 |
8 | Red Bull KTM Factory Racing | 83 |
9 | Aprilia Racing Team Gresini | 54 |
10 | Red Bull KTM Tech 3 | 29 |
11 | Reale Avintia Racing | 18 |