Vol.183 Round 02

波乱が続いたアルゼンチンの戦い

第2戦アルゼンチンGPは、土曜日、日曜日と雨が断続的に降る不安定な天候となりました。そのため、予選、そして決勝と予測のつかない難しい戦いとなりました。

決勝は、選手たちがグリッドに着くためにコースインしたとき、路面コンディションはウエットでした。しかし、グリット上でスタート進行を待つ間に路面はどんどん乾き、ポールポジション(PP)を獲得したジャック・ミラー(ドゥカティ)を除くすべてのライダーがピットへとマシンを移動させ、スリックタイヤを装着したマシンに乗り換えることを決断。ピットスタートを選択しました。その結果、スタートの混乱を避けるためにレースディレクションは、ピットにマシンを移動させた23人のスタート位置を本来より5列後方へと下げ、予定より20分遅れ、25周のレースを24周に減算し、「クイックスタート」で再開させました。

この波乱のスタートとなったレースで優勝したのは、フリー走行、予選と好調だったカル・クラッチロー(LCR Honda CASTROL)でした。ヨハン・ザルコ(ヤマハ)、アレックス・リンス(スズキ)、PPスタートのミラーと4人でトップグループの戦いを制し、2年ぶりの優勝を果たしました。そのクラッチローが、今大会の優勝候補の筆頭に挙げていたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、グリッド上でエンジンがストップ。押し掛けでエンジンを再スタートさせてグリッドに着きましたが、その方法に違反があったとして「ライドスルー」のペナルティーを科せられます。そのため2周目にトップに浮上、6周目には2番手以下に大きなリードを築いたマルケスでしたが、「ライドスルー」を行った7周目に19番手までポジションを落としました。そこから猛列に追い上げますが、その過程でほかのライダーと接触があり、5位でフィニッシュするも30秒のタイム加算のペナルティーで18位に終わりました。

予選2番手、今季初のフロントローから決勝に挑んだダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、好スタートを切りオープニングラップで3番手につけましたが、最終コーナーのセクションで後方からザルコに接触され、その衝撃でオーバーラン、濡れた路面上でハイサイドになり転倒し、リタイアとなりました。

予選はミックスした路面コンディションで、ペドロサは着実に走って2番手。PP候補筆頭のマルケスは6番手、クラッチローは10番手とレインからスリックへと変更する戦略がうまくいかずフロントローを逃しましたが、Honda勢の優勝と表彰台独占が期待されました。その期待に応えてクラッチローが優勝しましたが、Repsol Honda Teamの2人は、不運のレースとなり結果を残せませんでした。

波乱の連続となった第2戦アルゼンチンGPをアルベルト・プーチ監督が振り返ります。

アルゼンチンGPの戦略はどういうものでしたか?

「ダニは1周目に転倒してしまったので戦略の選択はありませんでした。マルクの戦略は、ペナルティーで遅れたために、彼よりずっと遅いすべてのライダーを追い抜こうというものでした」

今大会のポジティブポイントとネガティブポイントを教えて下さい。

「ネガティブなことはダニが転倒したこととチームが0ポイントに終わったことです。ポジティブなことはマルクが明らかにほかのライダーたちより速く、カル・クラッチローが素晴らしいレースをして優勝したことです」

レース中、ピットウォールから見ていた感想をお聞かせ下さい。

「変わりやすい路面コンディションのため、とても難しいレースになりました。唯一スリックタイヤを装着していたジャック・ミラーを除き、ほかのライダーはスタート前にマシンを交換しようとしましたが、彼だけはグリッドに残りました。そのためレースディレクションは最善を尽くし変則グリッドからのスタートとなりました。その中でマルクはグリッド上でマシンに問題が出て、それがすべての始まりとなってしまいました」

今大会のインサイドストーリーを教えて下さい。

「開幕前日の木曜日にダニは中上(貴晶)やドルナCEOのカルメロ・エスペラートとともに、テルマスの新しいゴルフクラブの発表プレイベントに参加しました」

第2戦アルゼンチンGPで残念な結果に終わったRepsol Honda Teamの2人ですが、1週間のインターバルを経て、第3戦アメリカズGPに挑みます。2013年にスタートしたアメリカズGPは、マルケスがこれまで5年連続優勝を果たしており、今季も優勝候補の筆頭。今季初優勝を目指します。

ペドロサは、アルゼンチンGPの転倒で右手首を負傷、決勝レースから2日後の10日(火)にバルセロナ市内の大学病院で手術を受けました。回復の経過を見てアメリカズGPに向けてリハビリを開始する予定です。

» アルゼンチンGP レポート