好天に恵まれたフランスGPの予選は、初日のフリー走行で3番手につけたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が2番手タイムをマーク。2012年のMoto2クラス時代を含め、5年連続ポールポジション(PP)獲得は果たせませんでしたが、開幕から5戦連続でフロントローを獲得しました。
今大会は、セッションをこなすごとに確実にセットアップを進めて前進しましたが、PP獲得には一歩届きませんでした。しかし、アベレージでは優勝争いに加われることは確実で、決勝では2年ぶりの優勝を狙います。そのためには、タイヤ選択を間違えないことが重要です。天候と路面コンディションをしっかり見極め、今季3勝目を目指します。
マルク・マルケス
マルク・マルケス
初日に転倒を喫して12番手だったカル・クラッチロー(LCR Honda)が、3列目スタートとなる9番グリッドを獲得しました。2日目のフリー走行では、周回を重ねるごとにタイムを短縮しました。しかし、予選ではフロントに激しい挙動があり、タイヤとブレーキ周りを交換してアタックに挑みました。完ぺきなできではありませんでしたが、なんとか9番グリッドを獲得。全体的なフィーリングはいいだけに、決勝では追い上げのレースに挑みます。
初日のフリー走行で8番手につけたダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、2日目のフリー走行で6番手に浮上。フリー走行の総合10番手までとQ1の上位2台を加えた12台で行われるQ2では痛恨の転倒を喫し、11番手に終わりました。今季最悪の予選だったと悔しがるペドロサ。その悔しさを決勝にぶつける意気込みです。
カル・クラッチロー
ダニ・ペドロサ
初日18番手のジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、2日目のフリー走行で16番手までポジションを上げましたが、予選では18番手。チームメートのティト・ラバトは、初日のフリー走行と同じ20番グリッドから決勝に挑みます。
ジャック・ミラー
ティト・ラバト
Moto2クラスは、予想通りの大接戦となりました。初日のフリー走行はトップから1秒差以内に11台でしたが、2日目のフリー走行ではトップから1秒差以内に18台という厳しい戦いとなりました。
その中で初日2番手のトーマス・ルティ(Garage Plus Interwetten)が、サーキットベストタイムを塗り替える1分36秒台の好タイムで今季初PPを獲得。昨年の大会で優勝しているルティの2年連続フランスGP制覇の期待が膨らみました。
トーマス・ルティ
トーマス・ルティ
昨年、PPを獲得したアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)が、ルティとわずか0.052秒差で2番手。ルティとリンスの2人が、1分36秒台の快速ラップを刻みました。
ロレンソ・バルダッサーリ(Forward Team)が初フロントロー獲得となる3番手タイムをマークしましたが、予選終了後に、タイヤの空気圧が適正でなかったことから当該タイムが取り消されて7番手へ降格しました。その結果、シモーネ・コルシ(Speed Up Racing)が3番手、初日トップタイムのヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)が4番手、フランコ・モルビデリ(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)が5番手と続き、中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が6番グリッドを獲得と、それぞれ1つグリッドを上げました。
アレックス・リンス
アレックス・リンス
中上は、午前中のフリー走行で転倒を喫し、セッションの大半を無駄に。しかしスタッフの迅速な作業のおかげでフリー走行のセッション終盤にコースに復帰。予選でも着実にタイムを上げて7番手を確保しました。最終的には、目標とする2列目を獲得。大接戦の中で今季初表彰台、初優勝を狙います。
中上貴晶
Moto3クラスは、PPを獲得したニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)から1秒差に23台という大接戦となりました。今シーズン、もっとも厳しい予選を制したアントネッリは、フリー走行で2番手につけると、予選ではさらにタイムを更新して今季初PPを獲得しました。昨年の大会は5位。今年は開幕戦カタールGPで優勝しましたが、第2戦アルゼンチンGPで10位。続く、アメリカズGPとスペインGPではリタイアに終わっているだけに、今大会はその雪辱に挑みます。
ニッコロ・アントネッリ
ニッコロ・アントネッリ
ルーキーのアーロン・カネット(Estrella Galicia 0,0)が、初フロントロー獲得となる3番手につけました。チームメートでPP獲得の期待が寄せられたホルヘ・ナバロは4番手もアベレージでは優勝候補の一角。アントネッリ、カネットも連続ラップで好走をみせており、上位3選手に優勝の期待が膨らみます。
アーロン・カネット
ホルヘ・ナバロ
以下、カイルール・イダム・パウィ(Honda Team Asia)が9番手、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(Gresini Racing Moto3)が10番手、ヤコブ・コーンフェール(Drive M7 SIC Racing Team)が11番手、リビオ・ロイ(RW Racing GP BV)が12番手と大接戦の中で上位につけました。初日6番手と好調なスタートを切った尾野弘樹(Honda Team Asia)は、2日目は思うようにタイムを伸ばせず16番グリッドから追い上げのレースに挑みます。
尾野弘樹
トーマス・ルティ(Moto2 1番手)
「今週はずっとうまくいっているし、今日はすばらしい一日になりました。ル・マンはとても好きです。走っていて楽しいです。観客の雰囲気もよくて、このサーキットとの相性は完ぺきです。今回はすばらしいペースがあります。決勝に向けてとても重要なことです。準備は整っていると思います。すばらしい仕事をしてくれたチームに感謝しています。明日のレースが本当に楽しみです。自信もあります」
アレックス・リンス(Moto2 2番手)
「明日の決勝は、とにかく最後までプッシュしたいです。今週はとてもいい仕事ができています。そして、とてもいいペースがあると思います。序盤にトム(トーマス・ルティ)に引き離されないようにしなければいけません。明日はベストを尽くして表彰台に上がることが目標になります。明日はレースを楽しみたいです」
中上貴晶(Moto2 6番手)
「午前中のフリー走行で転倒してしまったことで予定していたメニューをすべて消化することができませんでした。しかし、今日はスタッフががんばってくれたおかげで、フリー走行のセッション終盤にコースインができたし、予選でも7番手を確保することができました。2列目までという目標は達成できませんでしたが、ル・マンの自己ベストを更新でき、アベレージも悪くないので明日の決勝が楽しみです。予選終了後、しばらくしてからグリッドが1つ上がりました。2列目からのスタートになったので、スタートを失敗せず、しっかりトップグループについていきたいです。そうすればチャンスはあると思います」
ロレンソ・バルダッサーリ(Moto2 3番手 → 7番手)
「フロントローから決勝に挑むのはとても重要なことなので、とてもうれしいです。今シーズンは厳しい結果が続いていたので、こういう結果を必要としていました。ヘレスからどんどん強くなりました。安定性も出てきました。予選では全力でプッシュしました。そしてフロントローを獲得することができました。いいリズムがあり、安定もしているので、明日は序盤からプッシュしたいです。そして優勝争いをしたいです」
ニッコロ・アントネッリ(Moto3 1番手)
「午前も午後もとてもいいセッションになりました。午後の予選は大接戦になりましたが、その厳しい戦いの中でポジションを上げることができました。今日は1列目か2列目を獲得することが目標でした。それがポールポジションを獲得することができて、とてもうれしいです。チームに感謝しています。このサーキットとマシンの相性は、とてもいいです。昨日はちょっとミスをしてしまいましたが、今日はすべてが完ぺきでした。明日はいいレースができるようにがんばります」
アーロン・カネット(Moto3 3番手)
「とてもうれしい予選結果になりました。今日は、午前中のフリー走行、そして午後の予選とステップバイステップで前進することができました。予選では、最初のアタックはコース上が渋滞していてうまくいきませんでしたが、2回目はいいタイミングでコース上に出てフロントローを獲得することができました。明日のレースはいいペースをキープして最後まで走ることを目標に、できるだけ多くのことを学びたいです。明日は初めてフロントローからスタートできます。明日も全力でがんばります」
ホルヘ・ナバロ(Moto3 4番手)
「今日はとてもポジティブな一日でした。昨日から今日に掛けてフロントとリヤのセッティングを変更したのですが、その結果、フィーリングがよくなり、とても気持ちよく乗ることができました。今日は単独で出したタイムなので、4番手ですがとても満足しています。明日の決勝に向けてマシンの状態はとてもよく、アベレージもいいです。明日の決勝は大混戦になると思うのでいいペースをキープしなければいけません。厳しいレースになると思いますが今日の走りが出来ればいい結果を残せると思います」
尾野弘樹(Moto3 16番手)
「昨日は6番手といいスタートを切ることができたのですが、今日はフリー走行でタイムを短縮できず、予選でも最後のアタックで無理をしすぎてタイムにつなげることができませんでした。今年は大接戦になっているのでスタートを決めて、できるだけ前のグループで走りたいです。前回のスペインGPは、序盤にぶつけられて転倒しているので、今回はそんなことがないように、冷静にしっかり走りたいと思います」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|---|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1'31.975 |
2 | 93 | マルク・マルケス | ![]() | 1'32.416 |
3 | 29 | A.イアンノーネ | ドゥカティ | 1'32.469 |
4 | 44 | P.エスパルガロ | ヤマハ | 1'32.502 |
5 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ドゥカティ | 1'32.587 |
6 | 38 | B.スミス | ヤマハ | 1'32.820 |
7 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | 1'32.829 |
8 | 25 | M.ビニャーレス | スズキ | 1'32.933 |
9 | 35 | カル・クラッチロー | ![]() | 1'32.963 |
10 | 9 | D.ペトルッチ | ドゥカティ | 1'33.102 |
11 | 26 | ダニ・ペドロサ | ![]() | 1'33.109 |
12 | 41 | A.エスパルガロ | スズキ | 1'33.115 |
13 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | 1'33.291 |
14 | 45 | S.レディング | ドゥカティ | 1'33.310 |
15 | 68 | Y.ヘルナンデス | ドゥカティ | 1'33.360 |
16 | 50 | E.ラバティ | ドゥカティ | 1'33.452 |
17 | 6 | S.ブラドル | アプリリア | 1'34.003 |
18 | 43 | ジャック・ミラー | ![]() | 1'34.049 |
19 | 19 | A.バウティスタ | アプリリア | 1'34.333 |
20 | 53 | ティト・ラバト | ![]() | 1'34.348 |
21 | 76 | L.バズ | ドゥカティ | 1'34.455 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 12 | トーマス・ルティ | KALEX | 1'36.847 |
2 | 40 | アレックス・リンス | KALEX | +0.052 |
3 | 24 | シモーネ・コルシ | SPEED UP | +0.321 |
4 | 5 | ヨハン・ザルコ | KALEX | +0.333 |
5 | 21 | フランコ・モルビデリ | KALEX | +0.392 |
6 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +0.477 |
7 | 7 | ロレンソ・バルダッサーリ | KALEX | +0.488 |
8 | 94 | ジョナス・フォルガー | KALEX | +0.512 |
9 | 22 | サム・ロース | KALEX | +0.549 |
10 | 10 | ルカ・マリーニ | KALEX | +0.591 |
11 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +0.649 |
12 | 23 | マルセル・シュローター | KALEX | +0.784 |
13 | 77 | ドミニク・エガーター | KALEX | +0.853 |
14 | 44 | ミゲル・オリベイラ | KALEX | +0.917 |
15 | 60 | フリアン・シモン | SPEED UP | +0.965 |
16 | 73 | アレックス・マルケス | KALEX | +1.095 |
17 | 55 | ハフィズ・シャーリン | KALEX | +1.147 |
18 | 39 | ルイス・サロム | KALEX | +1.156 |
19 | 54 | マティア・パシーニ | KALEX | +1.183 |
20 | 19 | ザビエル・シメオン | SPEED UP | +1.244 |
21 | 52 | ダニー・ケント | KALEX | +1.434 |
22 | 97 | チャビ・ビエルゲ | TECH 3 | +1.479 |
23 | 32 | アイザック・ビニャーレス | TECH 3 | +1.703 |
24 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | KALEX | +1.901 |
25 | 70 | ロビン・マルホウザー | KALEX | +2.008 |
26 | 33 | アレッサンドロ・トヌッチ | KALEX | +2.523 |
27 | 2 | イェスコ・ラフィン | KALEX | +3.026 |
28 | 69 | ダニー・エスリック | SUTER | +3.557 |
RT | 11 | サンドロ・コルテセ | KALEX | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 23 | ニッコロ・アントネッリ | ![]() | 1'42.756 |
2 | 41 | B.ビンダー | KTM | +0.067 |
3 | 44 | アーロン・カネット | ![]() | +0.069 |
4 | 9 | ホルヘ・ナバロ | ![]() | +0.086 |
5 | 5 | R.フェナティ | KTM | +0.109 |
6 | 8 | N.ブレガ | KTM | +0.132 |
7 | 58 | J.ゲバラ | KTM | +0.328 |
8 | 20 | F.クアルタラロ | KTM | +0.336 |
9 | 89 | カイルール・イダム・パウィ | ![]() | +0.350 |
10 | 4 | ファビオ・ディ・ジャンアントニオ | ![]() | +0.442 |
11 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | ![]() | +0.458 |
12 | 11 | リビオ・ロイ | ![]() | +0.468 |
13 | 24 | 鈴木竜生 | マヒンドラ | +0.519 |
14 | 55 | A.ロカテリ | KTM | +0.574 |
15 | 10 | A.マスボー | プジョー | +0.597 |
16 | 76 | 尾野弘樹 | ![]() | +0.620 |
17 | 16 | A.ミニョ | KTM | +0.692 |
18 | 65 | P.エッテル | KTM | +0.702 |
19 | 21 | F.バグナイア | マヒンドラ | +0.740 |
20 | 19 | G.ロドリゴ | KTM | +0.887 |
21 | 64 | B.ベンドスナイダー | KTM | +0.931 |
22 | 40 | D.ビンダー | マヒンドラ | +0.969 |
23 | 88 | J.マルティン | マヒンドラ | +0.976 |
24 | 36 | J.ミル | KTM | +1.010 |
25 | 17 | J.マクフィー | プジョー | +1.011 |
26 | 98 | K.ハニカ | マヒンドラ | +1.051 |
27 | 95 | ジュール・ダニーロ | ![]() | +1.300 |
28 | 43 | S.バルトリーニ | マヒンドラ | +1.458 |
29 | 99 | E.ボーラム | KTM | +1.558 |
30 | 6 | M.エレーラ | KTM | +1.622 |
31 | 7 | アダム・ノロディン | ![]() | +2.451 |
32 | 77 | L.ペトラルカ | マヒンドラ | +2.770 |
33 | 3 | F.スピラネッリ | マヒンドラ | +2.847 |
RT | 37 | D.ピッツォリ | KTM | - |
マルク・マルケス(MotoGP 2番手)
「今日はいいラップタイムを刻めたのですが、完ぺきではありませんでした。最初のアタックでは、ユーズドタイヤで走っているときと同じフィーリングにならず、新品タイヤでちょっと苦労しました。プッシュしていくとマシンの挙動がかなりありました。最後は、ライディングスタイルを少し変えることで、ラップタイムを短縮することができました。これでフロントロー獲得という今日一番の目標を達成することができました。ペースは悪くないと思います。最後のフリー走行ではかなり快適でしたが、まだまだホルヘ(ロレンソ)ほど速くはありません。明日の天気と決勝の路面温度がどうなるか様子をみて、できる限りベストな走りをしたいです」
カル・クラッチロー(MotoGP 9番手)
「今日は昨日よりうまくいきました。FP3とFP4では感触がとてもよくて、ペースも悪くありませんでした。でも予選ではフロントの挙動が激しく、その原因がわかりませんでした。そのまま走ることもできたと思いますが、転倒のリスクがあったのでピットに戻ることにしました。今、原因を調べているところです。ピットに戻り、新品タイヤと新しいブレーキでコースに戻りましたが、ブレーキレバーが深く入りすぎるので、ブレーキングを早めたり、ブレーキングが甘い分、コーナリングスピードを上げたりしてみました。最終的に9番グリッドを獲得できました。フロント周りを変えるという思ってもみなかったことが起きてしまいました。こうしたことはたまに起こるものです。同じようなペースのライダーがたくさんいるので、明日は激しいバトルになると思います。いい走りができています。感触もいいのでとても楽しみ。今日のリザルトよりも、いい走りができると思います」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 11番手)
「今日の結果は本当に残念です。今年になって、一番悪い予選でした。あまり話すことはありません。フロントから滑って転倒してしまいました。2度目のアタックも完ぺきにはできませんでした。セカンドマシンでは同じようなフィーリングにならず、タイムを更新することができませんでした。僕のレースペースは最高とは言えないかもしれませんが、悪くはないので、明日は正しいタイヤの選択をして、いいスタートを切りたいです」
ジャック・ミラー(MotoGP 18番手)
「予選ではタイヤを温めるのに苦戦しました。そのためすぐにアタックできませんでした。そしてセッション終盤は、時間が足りませんでした。レースペースには満足しています。力強いスタートをして、ポイントを獲得するためにどんな走りや戦いができるか様子をみたいです」
ティト・ラバト(MotoGP 20番手)
「最初のアタックはとてもうまく行きました。MotoGPマシンで初めてのル・マンとしては満足できるものでした。2回目のアタックではコースがクリアだったのでもっと速く走ろうとしました。しかし、突然渋滞が始まり、リズムが遅くなってしまいました。こうしたことは時にはあるものです。明日は力強いレースをしたいです。ウォームアップでは、ポジションを上げていくためのセットアップをしたいです」