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MotoGP

round 17

SCHEDULE

October 24/25/26 2014 MotoGP Shell Advance Malaysian Motorcycle Grand Prix

マレーシアマレーシアGP

マレーシアGPプレビュー

日本GP、オーストラリアGPに続く3連戦で最後の戦いとなる第17戦マレーシアGPが、10月24日(金)から26日(日)までの3日間、クアラルンプール郊外のセパン・サーキットで開催されます。マレーシアGPは、1991年にシャー・アラムでスタートしました。その後、ジョホールへと舞台を移し、99年からはクアラルンプール国際空港に近いセパン・サーキットで開催されるようになりました。マレーシアGPは今年で24回目、セパンでは16回目の開催となります。

マレーシアGPプレビュー

セパン・サーキットは、一周5.543km。長いストレート2本とバラエティーに富んだコーナーを組み合わせたレイアウトで、MotoGPマシンのテストに適していることから、ウインターテストの舞台として定着しました。マレーシアは熱帯地方に位置し、気候が安定しているため、一年中走行することができます。チーム、選手にとっても、シーズンを通して最もデータが豊富なサーキットであり、初日からレベルの高い走りが繰り広げられます。

日本GPで2年連続チャンピオンを決めているマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、5戦ぶりの優勝を狙います。前戦オーストラリアGPでは、シーズン最多記録タイとなる12度目のポールポジション(PP)からスタートし、トップを独走しましたが、低い気温とタイヤ温度の低下でフロントのグリップを失い、転倒リタイアに終わりました。今大会は、その雪辱に挑みます。

今年は、開幕前にセパンで2回のテストが行われました。1回目のテストではライバルを圧倒したマルケスですが、トレーニング中に負ったケガのために2回目のテストには参加することができませんでした。そのため、ライバルたちに比べてデータが不足しており、初日からセットアップに集中することになります。

昨年の大会はPPを獲得しましたが、決勝はタイトル争いのプレッシャーの中で2位でした。今年はすでにタイトルを獲得しているだけに、シーズン最多記録となる13度目のPPと、シーズン最多優勝タイ記録となる12勝目の期待が寄せられています。昨年、今年と数々の記録を打ち立ててきたマルケスの走りに、世界中が注目しています。

チームメートのダニ・ペドロサも、リタイアに終わった前戦オーストラリア大会の雪辱に挑みます。フィリップアイランドでは、レース序盤に後続車に追突されました。その際にマシンがダメージを受けてリタイアするという悔しいレースでした。今大会は、その雪辱に挑むことになりますが、マレーシアGPでは過去2連勝を達成しています。今年は大会3連覇を目標に、マルケスとの優勝争いが期待されます。

前戦オーストラリアGPで、Hondaは最高峰クラスでは4年連続、通算21度目のコンストラクターズタイトルに王手をかけていました。タイトル獲得は今大会に持ち越されましたが、11位以上でHonda勢がフィニッシュすれば、タイトルが決まります。

総合10位のステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、第14戦アラゴンGPで4位に入って上り調子をアピールしました。そして、3連戦最初の戦いとなった日本GPでは、予選9番手という厳しいグリッドから7位でフィニッシュしました。続くオーストラリアGPは得意とするサーキットでしたが、ブレーキングミスのため、前を走る選手に追突してリタイアに終わりました。昨年の大会は、土曜日のフリー走行で右足を負傷したため、予選と決勝をキャンセルしています。今年は2年ぶりのマレーシアGPとなりますが、決勝では今季ベストリザルトを狙って全力で挑みます。

シーズン中盤戦に入ってリアのトラクション不足に苦しんでいるアルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)は、得意とするセパンでの復活に期待しています。ウインターテストでは好調な走りができただけに、このところ抱えている問題点を再チェック。本来の走りを取り戻す意気込みです。

Hondaの市販レーシングマシン「RCV1000R」勢は、総合12位のスコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)が今季ベストリザルトを狙います。前戦オーストラリアGPでは、今季ベストタイの7位でフィニッシュしています。ウインターテストからどれだけ成長したかを知る絶好のチャンスに、闘志を燃やしています。

総合14位の青山博一(Drive M7 Aspar)も、前戦オーストラリアGPでは今季ベストタイの8位でした。セパンは250ccクラス時代に2勝を挙げている得意のコースだけに、今季ベストリザルトへの期待が膨らんでいます。右手首のケガから復帰4戦目を迎える総合15位のニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)も、右手の回復とともに徐々に調子を上げています。過去3戦リタイアが続いているカレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)は、4戦ぶりの完走に闘志を燃やしています。

Moto2クラスでは、総合首位のエステベ・ラバト(Marc VDS Racing Team)がタイトル王手で今大会を迎えます。チームメートで総合2位のミカ・カリオとの差は41点。ラバトは7位以上でフィニッシュすれば自力チャンピオンが決まります。前戦オーストラリアGPでは優勝争いに加わって3位でした。チャンピオン争いのプレッシャーがのしかかるレースが続いていますが、今大会で決着をつける意気込みです。

総合2位のカリオは、自力チャンピオンの可能性は消滅しましたが、逆転に向けて優勝を目指すことになります。総合3位のマーベリック・ビニャーレス(Paginas Amarilas HP 40)はチャンピオン争いから脱落しましたが、今大会は2連勝と通算4勝目を目指します。

日本人勢は、中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)が今季ベストリザルトを狙います。負傷欠場の長島哲太の代役として出場する小山知良(Teluru Team JiR Webike)は3戦目を迎え、今大会もポイント獲得を目標に戦います。

Moto3クラスも、タイトル争いは上位3選手に絞られ、総合首位のアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0)に、今大会でのタイトル獲得の可能性が生まれました。マルケスは総合2位のジャック・ミラー(KTM)に6点差以上をつけてゴールすれば、念願のタイトルが決まります。総合3位のアレックス・リンス(Estrella Galicia 0,0)は、総合首位のアレックス・マルケスと41点差で今大会を迎えることになります。チャンピオン獲得の可能性はほとんどなくなっただけに、今大会は優勝を目指すことになります。

コメント

マルク・マルケス(MotoGP チャンピオン)
「オーストラリアで起きたことは残念でしたが、違った戦略を試していたところでした。タイトルを獲得したあとのことだったので、ラッキーでした。マレーシアへ向かう途中、Hondaのイベントでインドネシアのジャカルタに行きました。セントゥールでMotoGPマシンを走らせましたが、インドネシアでは初めてのことだったので、いい経験になりました。マレーシアGPが開催されるセパンは好きなサーキットです。昨年はダニが優勝、僕が2位となり、Hondaはいいパフォーマンスを見せました。最良のセットアップを見つけることが非常に重要になってきます。特にブレーキングが重要です。そのため、金曜日と土曜日に一生懸命取り組んで、レースに向けた準備を整えたいです」

ダニ・ペドロサ(MotoGP 総合4位)
「フィリップアイランドのことは忘れて、今週末のマレーシアのレースに集中したいです。このサーキットは、とてもよく知っています。暑くて体力的にはいつも大変なサーキットです。レイアウトはさまざまな要素が少しずつ入っています。高速コーナーや低速コーナー、ハードブレーキングやロングストレートもあります。いいセットアップを見つけて、日曜日のレースではチャンピオンシップの2位争いに戻れるように全力を尽くしたいです」

ステファン・ブラドル(MotoGP 総合10位)
「前回のレースはあまりいいレースではありませんでした。今週はセパンでマレーシアGPがあります。セパンと来月にある最終戦のバレンシアでは全力を尽くさなければなりません。シーズンの最後は、だれだっていい結果で終えたいと思うので、一段と厳しいレースになります。セパンでは、これまであまり運がありませんでした。しかし、サーキットはすばらしいです。再びトップに近づけるように、できることをすべてやりたいと思います」

アルバロ・バウティスタ(MotoGP 総合11位)
「ヨーロッパからの遠征で最後のレースなので、すばらしい結果を出したいと思っています。2月のセパンテストでは、なかなかいいパフォーマンスを発揮したので、今回も同じような感触が得られることを願っています。タイヤに関してはそのときのデータを役立てたいです。最近のレースで起きているトラクションの問題を解決できる、いい機会になることを心から願っています。厳しい時期にもかかわらず、チームのみんなは100%以上の努力をしています。そんな彼らに感謝したいです」

スコット・レディング(MotoGP 総合12位)
「2月にセパンで行われた最初のMotoGPのテストでは、とても楽に走ることができました。そして、今はもっとマシンを理解できるようになっています。経験も積み、自分の走りがさらに分かるようになっています。すべてのレースでなにかを学んできました。特に経験のあるライダーの近くでその走りをよく見られたときは、とても勉強になりました。前戦オーストラリアGPのフィリップアイランドではアルバロの後ろを走りました。セパンに戻って、シーズンを通してどれだけ自分が前進できたのかを実感したいです。とにかく、セパンは、レイアウトと天候面から一年で最も難しいレースの一つだと言われているので、全力で挑みます」

青山博一(MotoGP 総合14位)
「チームのメインスポンサーがマレーシアの会社なので、セパンは重要なレースになります。チームにとっては、ホームレースのようなものです。3連戦のうち2レースが終わりましたが、とても実りのあるものでした。そのためとてもモチベーションが高く、レースへの期待もこれまで以上に高く持って、マレーシアに向かうことができます。セパンはレイアウトも、天候面でも難しいサーキットです。それでも大好きなサーキットです。この数戦はすばらしい仕事ができているし、レベルも上がっています。オーストラリアでは8位でフィニッシュしました。マレーシアではもっといい結果を出したいです」

ニッキー・ヘイデン(MotoGP 総合15位)
「セパンはすばらしいサーキットです。ロングストレートがあり、コース幅もあり、すばらしいレイアウトです。しかし、セッションごとに天候が変わるので、タイヤのグリップの限界を見つけるのがとても難しいです。セパンにはさまざまな種類のコーナーがあります。速いコーナーもあれば、低速コーナーもあります。そのため、速く安全に走るためにはとても正確なセットアップが必要になります。ここは美しいサーキットであり、いつも楽しく乗ることができます。マレーシアGPはチームのメインスポンサーにとってのホームレースになるので、たくさんの応援を受けられると思います。彼らのためにすばらしい週末にできることを願っています」

カレル・アブラハム(MotoGP 総合17位)
「ここ3戦はDNFが続き、とても厳しく残念なレースになっています。今のところ運に見放されているようです。でも、ポジティブにならなければなりません。そして、セパンではベストを尽くさなければなりません。みんなにとっても厳しいレースになると思います。このサーキットは好きです。2012年にトップ10の結果を出したことがあるので、楽しみです。そしてここ数戦のレースを忘れるような結果を残したいです」

エステベ・ラバト(Moto2 総合1位)
「日本とオーストラリアでの走りにはあまり満足していませんが、チャンピオンシップに向けてポイントを獲得できたことはとても重要でした。もちろん、今回のレースでタイトルを獲得するチャンスがあります。チームのみんなが期待していることです。でも、一番の目標はいつものように仕事に取り組み、レースへ向けてマシンのセッティングに集中することです。そして、レースがスタートしたらベストを尽くすことです。これがチャンピオンシップを獲得する正しい方法だと思います」

ミカ・カリオ(Moto2 総合2位)
「シーズンはもう少しで終わりです。ティト(ラバト)はすばらしい仕事をしました。逆転は厳しい状況ですが、タイトル獲得が無理と分かるまでは戦い続けます。いろいろな意味で今週末は重要な週末です。タイトルのプレッシャーもあれば、天候もとても厳しいことが予想されます。昨年のセパンでは4位でした。表彰台までコンマ数秒でした。今回はそれを上回らなければなりません」

マーベリック・ビニャーレス(Moto2 総合3位)
「Moto2のマシンでセパンを走るのは初めてなので、どうなるのか想像がつきません。でも、すばらしいチームで戦っているし、一緒にがんばって、日曜日に向けて完ぺきなマシンを作れると信じています。いつものように自分のライディングスタイルとマシンをコースとコンディションに合わせて、オーストラリアと同様に勝てるよう、全力を尽くしたいです」

中上貴晶(Moto2 総合22位)
「昨年の大会は、予選6番手、決勝8位。フロントの安定性とコーナーの立ち上がりでのスピニングに苦しみました。今年の課題と同じ状態でした。しかし、後半戦に入って、着実にセットアップは進んでいますし、前戦オーストラリアGPでは8台の8位争いの中で久しぶりにバトルをすることができました。マレーシアは日本から応援に来てくれるファンの方々も多いので、いいレースをしたいと思います」

アレックス・マルケス(Moto3 総合1位)
「セパン・サーキットはとても相性がいいと思います。昨年の大会では、Honda勢がいい走りをしていました。チーム一丸となって今シーズンずっとがんばってきたように、今回もがんばりたいです。初日から全力を尽くして、集中してすべてのセッションでベストを尽くします。チャンピオンシップのことよりも、レースのことを考えたいです。日曜日はチャンピオンになるチャンスがあることは分かっていますが、あまりそのことを考えたくありません。ここ最近のレースと同様に仕事に取り組み、ジャック・ミラーとアレックス・リンスの前にいられるようにがんばりたいです」

アレックス・リンス(Moto3 総合3位)
「大好きなサーキットに向かいますが、とても暑いので厳しい週末になります。昨年のセパンで、Honda勢は悪くありませんでした。高速コーナーがいくつかあるサーキットで、今年のHondaはとてもいい走りができると思います。今年のマシンは、どのサーキットでも走らせるのは初めてなので、ベストを尽くしたいです」

エフレン・バスケス(Moto3 総合4位)
「チャンピオンシップでなるべくいい結果を出せるように、できる限り集中してプッシュしたいです。セパンではエンジンが非常に重要になってきます。いいスピードが出せることを期待しています。残り2戦は表彰台に上がり、Honda勢の一員としてミラーと戦えるようにがんばりたいです」