最終戦バレンシアGPが5日、スペインのバレンシアで開幕した。今シーズンの最後を飾るレースで、この数年はもっとも観客を集めるビックイベントとして定着している。この日も、金曜日にもかかわらず、大勢のファンがかけつけた。バレンシアは、シーズンオフにもっともテストが行われるサーキットのひとつ。選手にとっては、走り慣れているサーキットといえる。チームにとっても、データ量が豊富なコースだけに、初日からレベルの高い戦いが繰り広げられた。
その中で、トップタイムをマークしたのは、前戦トルコGPで初優勝を達成したマルコ・メランドリ選手(Team Movistar Honda MotoGP)で、上り調子を強烈にアピールした。2番手にはカルロス・チェカ選手(ドゥカティ)。3番手にセテ・ジベルノー選手(Team Movistar Honda MotoGP)、4番手にニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)と続き、6番手にアレックス・バロス選手(Camel Honda)、8番手にマックス・ビアッジ選手(Repsol Honda Team)、9番手に玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda Team)と、Honda勢が順当にトップ10入りを果たした。負傷欠場のトロイ・ベイリス選手(Camel Honda)の代役として出場した清成龍一選手は、16番手で初日を終えた。
この日のバレンシアは、午前中こそ厚い雲に覆われたが、午後になって徐々に天候が回復。2回目のフリー走行では、青空が広がった。最高気温も21℃と絶好のコンディションとなり、2回目の走行はトップから1秒差以内に11台がせめぎ合う接戦となった。
その中で、前戦トルコGPの優勝で勢いに乗るメランドリ選手がライバルを圧倒した。午前中1回目の走行では、わずかの差で3番手だったが、2回目の走行で一気にトップへ浮上。「トルコGPでバイクのいいセッティングを見つけたが、バレンシアでも好調だ。明日はもっとタイムを更新できる」と、2連勝に向けて絶好のスタートを切った。
3番手につけたジベルノー選手も好調だ。今季、ここまで優勝がないだけに、地元スペインで行われる最終戦に闘志満々。ジベルノー選手にとってバレンシアは、グランプリ初優勝を達成した思い出深いサーキット。シーズン最後の戦いに、初日から気合の入った走りを見せた。
4番手のヘイデン選手も、バレンシアは得意とするサーキット。テストでは素晴らしい走りを披露してきたが、過去2年、本番ではなぜか表彰台に立てていないサーキットだった。それだけに今年は、バレンシア初表彰台と今季2勝目に向けて闘志溢れる走りを披露した。この日は僅差の4番手だったが、不満の表情。転倒しそうなシーンもあっただけに、2日目のフリー走行と予選に向けて闘志をかきたてていた。
6番手のバロス選手も、バレンシアは2002年に優勝を飾っているサーキット。3週間前の第15戦オーストラリアGPの転倒の影響で、前戦トルコGPは不完全燃焼のレースとなっただけに、万全の状態で挑むことになった最終戦にバロス選手は闘志満々。1回目4番手、2回目6番手と、まずまずのタイムで初日を終えた。
8番手のビアッジ選手も、昨年の大会では優勝争いを演じて2位になっている。ジベルノー選手と同様、今季のチャンピオン候補に挙げられながらここまで優勝がないだけに、最終戦は気合満々のスタートとなった。
9番手には玉田選手がつけた。玉田選手は第12戦日本GPで今季初の表彰台に立ち、後半戦の巻き返しが期待された。しかし、マレーシア、カタール、オーストラリアと低迷していた。前戦のトルコGPで復活を感じさせる走りを見せ、最終戦バレンシアGPでは初日から手ごたえのある走りを見せた。1回目の走行では10番手。「ギアが合っていなかった」と苦しいスタートとなったが、午後の走行では9番手に浮上。「ポジションはそれほど良くないが、トップとのタイム差がこれまでに比べてかなり縮まった。トップと比べてどこが遅いかもわかっているので、明日はもっといけるはず」と明るい表情を見せた。
負傷欠場のベイリス選手の代役として出場した清成選手は16番手。2003年には、シーズン途中からMotoGPクラスに参戦したキャリアを持つ。昨年からは、イギリススーパーバイク選手権に参戦。2年目の今年は、シーズン12勝を挙げて総合2位と健闘した。その成長ぶりが認められ、今大会に抜擢された。2年ぶりのMotoGP参戦となった清成選手は、「急に参戦が決まり、緊張している。しかし、この2年間で成長した自分を見てもらいたい」と気合満点。1回目の走行では12番手とまずまずのポジション。2回目の走行ではセッティングの影響で16番手にポジションを落としたが、この2年間で大きく成長したことを感じさせる走りを見せた。
250ccクラスは、ケイシー・ストーナー選手(アプリリア)が暫定PPを獲得。2番手には、すでに2年連続チャンピオンを決めているダニエル・ペドロサ選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)。3番手には、初優勝を狙うヘクトール・バルベラ選手(Team Fortuna Honda)。4番手に青山博一選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)と、Honda勢が上位につけた。6番手にはホルへ・ロレンゾ選手(Team Fortuna Honda)。高橋裕紀選手(Team Scot)が8番手、アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Team Scot)が9番手と、Honda RS250RWに乗る6選手すべてがトップ10内で初日を終えた。
125ccクラスは、マティア・パシーニ選手(アプリリア)が暫定PPを獲得。念願の初タイトルに王手をかけたトーマス・ルシ選手(Honda)は、順調にタイムを伸ばして4番手。3戦連続の表彰台に期待が集まる小山知良選手(Honda)は、初コースながら8番手と期待を膨らませた。
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