HONDA The Power of Dreams

　トルコGP2日目は、3回目のフリー走行と予選が行われ、セテ・ジベルノー選手(Team Movistar Honda MotoGP)が素晴らしい走りで今季4回目のPPを獲得。フリー走行でトップタイムをマークしたマルコ・メランドリ選手(Team Movistar Honda MotoGP)が僅差で2番手。ニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)が3番手に入りHonda勢がフロントローを独占した。以下、玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda Team)7番手、アレックス・バロス選手(Camel Honda)8番手で3列目スタート。クリス・バーミューレン選手(Camel Honda)が11番手、マックス・ビアッジ選手(Repsol Honda Team)は12番手だった。

　トルコGP予選2日目は、朝から青空が広がる絶好のコンディションとなった。気温こそ16℃と低めだったが、フリー走行、予選ともにHonda勢が好走を見せて、第10戦ドイツGP以来、6戦ぶりのフロントロー独占を果たした。

　トップタイムをマークしたジベルノー選手は、フリー走行では、メランドリ選手に続いて2番手だった。この日も、さらに安定した速さを求めて、あらゆる可能性を探る作業を繰り返した。そして完璧な状態に仕上げたジベルノー選手は、予選用タイヤのアタックで素晴らしい走りを披露。ミスのない完璧な走りで、5戦ぶり今季4回目のPPを獲得した。今季、ここまで優勝がないだけに、今大会にかける意気込みが伝わる熱走だった。

　そのジベルノー選手から、わずか0.129秒差でメランドリ選手が続いた。2日間3回におよんだフリー走行では、ライバルを圧倒する走りでトップタイムをマーク。予選でも、終始、ライバルをリードしたが、最後のアタックでスローライダーに引っかかり、ジベルノー選手にPPを譲った。しかし、今季、最高の仕上がり。決勝に想定したロングランではジベルノー選手を上回る走りだっただけに、MotoGP初優勝に向けて大きく前進する一日となった。

　3番手には、成長著しいヘイデン選手。2日間のフリー走行と予選では、満足のいく状態にマシンを仕上げられなかった。しかし、予選タイヤのアタックでは、素晴らしい集中力を発揮して、今季5回目のフロントローを獲得した。「まだ数個所のコーナーでタイムロスをしている」と語るだけに、決勝前のウオームアップまで最後の調整が続きそうだ。過去2戦は、確実に優勝争いに絡み、表彰台に立つ強さを身につけてきた。それだけに、今大会は、ジベルノー選手、メランドリ選手とともに優勝候補の一角。フロントローに並んだHonda勢3人の走りが、大きな注目を集めそうだ。

　玉田選手は7番手。初日は11番手と出遅れたが、2日目の3回目のフリー走行で6番手に浮上。午後の予選でも7番手とまずまずのポジションにつけた。「過去数戦と比べれば、はるかに内容はいい。しかし、相変わらずセッティングはピンポイントで、路面のコンディションが変わると、フィーリングが変わる。特に路面温度が低いときはうまく乗れない。明日は、今日の予選のように、気温と路面温度が上がって欲しい。まだまだ完璧にはほど遠いけれど、確実にいい方向に向かっている」と、復活の兆しに表情は明るかった。

　8番手にはバロス選手。2日間にわたり、できる限りのセッティングを繰り返し、まずまずの状態を見つけた。3列目スタートに、やや不満の表情も、レース用セットに自信を見せるだけに、決勝でのばん回に期待が集まる。11番手には、負傷欠場のトロイ・ベイリス選手(Camel Honda)の代役として、MotoGP2戦目のバーミューレン選手。今大会は、Honda RC211Vにも慣れてきたようで走りもスムーズになってきた。トップとのタイム差も縮まり、今大会の走りに注目が集まりそうだ。12番手のビアッジ選手は、最後までベストセッティングを見つけることができなかった。しかし、本番に強い選手だけに、4列目からの快走に期待だ。

　250ccクラスは、アレックス・デ・アンジェリス選手(アプリリア)がPPを獲得。Honda勢は、青山博一選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)が3番手に入り、今季3回目のフロントロースタート。前戦オーストラリアGPで2年連続チャンピオンを決めたダニエル・ペドロサ選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)が4番手。以下、ヘクトール・バルベラ選手(Team Fortuna Honda)6番手、ホルへ・ロレンゾ選手(Team Fortuna Honda)7番手、アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Team Scot)8番手と続き、高橋裕紀選手(Team Scot)は11番手だった。

　125ccクラスは、タイトル王手のトーマス・ルシ選手(Honda)が今季5回目のPPを獲得。2番手に約0.5秒の大差をつける快走で、今季5勝目とチャンピオン決定に期待が膨らんでいる。6番手にマイク・ディ・ミリオ選手(Honda)。初日3番手の小山知良選手(Honda)は、タイムを伸ばせず7番手にダウンも2戦連続表彰台が期待される。

■セテ・ジベルノー選手(MotoGP 1位)
「このサーキットは、すべての要素が含まれるテクニカルコースで、とても難しいサーキットだ。それだけに、どのセクションでも完璧なセッティングが求められる。今回は、チームが素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、楽しく乗れている。この数レース、自分が見失っていた、速いラップを安定して刻むという走りができている。マシンの状態も良かったし、予選ではPPを狙いに行った。明日はタフで長いレースになると思う。いいスタートを切って、最後まで走り切りたい」

■マルコ・メランドリ選手(MotoGP 2位)
「初日からいいスタートが切れて、セッションを追うごとに前進することができた。フリー走行では3セッションともに制覇できたが、予選ではPPを逃し、残念だった。しかし、バイクの状態はいい。決勝に向けて自信はある。今回は、ミシュランが素晴らしいタイヤを用意してくれた。明日は厳しいレースになると思うが、ランキング2位になるために全力を尽くす」

■ニッキー・ヘイデン選手(MotoGP 3位)
「テレフォニカの2人は素晴らしい走りをしていた。僕もセッションをこなすごとに確実に良くなったが、いくつかのコーナーで問題を抱えていて、タイムをロスしていた。スムーズに乗れていないし、セットアップにもライディングにも満足していない。明日のウオームアップで、もう一度、セッティングを見直したい」

■玉田誠選手(MotoGP 7位)
「何とか3列目をキープしたという感じだ。昨日も今日も、セッションの走り出しの状態で走り続けることができなかった。途中、セッティングを変えて、最終的に最初の状態に戻るという繰り返しだった。このサーキットは、スムーズに走ろうとするとタイムが出ない。ブレーキングもギリギリまで我慢して、高いスピードでコーナーに入っていくとタイムが出る。面白いサーキットだけど、本当に難しい。マレーシア、カタール、オーストラリアに比べればはるかに状態はいい。タイヤのグリップを考えれば、決勝は気温が上がって欲しい」

■アレックス・バロス選手(MotoGP 8位)
「今日はバイクのセッティングが進んで、かなりいい状態になった。昨日よりは、かなりいい感じで乗れるようになった。今日は、ギアリング、サスペンション、電気、など、すべてを少しずつ変更して、レース用のセットには、かなり満足している。予選タイヤのアタックでは、少しだけタイムを短縮できた」

■クリス・バーミューレン選手(MotoGP 11位)
「PPタイムより、1.8秒も遅れているけれど、前回よりかなりタイム差が縮まってきた。バイクをかなりコントロールできるようになってきて、いい感じで乗れている。明日は厳しいレースになる。ここはタフなコースだが、目標はトップ10内でフィニッシュすること。誰かほかのHondaライダーより前でゴールしたい。この2日間は、本当にいい経験ができた。いままでレースをしてきて、こんなに順調にセッティングを進められたことはなかった」

■マックス・ビアッジ選手(MotoGP 12位)
「この2日間の結果には、まったく満足していない。いろいろなセッティングにトライしたが、いいバランスを見つけることができなかった。特にフロントは軽すぎてグリップがない感じだ。こんな状態では、予選用タイヤを履いてもタイムを上げることができない。今回は、とにかくレースを走り切りたい。ここ2レースは最悪だったからね。明日はチャンピオンシップのためにポイントを獲得したい」

■田中誠 Repsol Honda Team 監督
「マルコ(メランドリ選手)とセテ(ジベルノー選手)の仕上がりが良かった。特にマルコ(メランドリ選手)は、本当に素晴らしい走りで安定している。ニッキー(ヘイデン選手)もフロントローに並んだが、安定性では、この2人に比べると、ちょっと劣っているようだ。しかし、最近は決勝に向けて、最後にしっかりと仕上げてくるので期待している。明日は、フロントローに並んだ3人が、レースの主導権を握ることになると思う。しかし、ロッシも当然、優勝争いに加わってくるはずだ。ここはタイヤの消耗がそれほど激しくないが、半面、気温が低いので燃費には厳しいレースになる。ドライコンディションで、いいレースになることを期待している」

■青山博一選手(250cc 3位)
「ベストタイムは、ダニー(ペドロサ選手)の後ろについて出した。ラッキーだった。ただ、今回は、単独でもかなりいいラップを刻んでいるので、いいレースができると思う。欲を言えば、もう少しフロントの安定性が欲しい。走り出しはいいのだが、周回を重ねていくうちに、フロントの滑りが激しくなる。明日はおそらく混戦になるし、タイヤの持ちが勝負を分けると思う。いままでもそうだが、フロントローに並べたときはマシンの状態がいいし、いつも、いいレースができている。ラスト2戦。いい結果を残したい」

■ダニエル・ペドロサ選手(250cc 4位)
「昨日よりかなり良くなったが、4番手だった。ここは1人で走るより誰かに引っ張ってもらった方がタイムは出るのだが、今日は誰もいなかった。しかし、レースに向けて、いいセッティングを見つけたし、タイヤも問題はない。明日は4、5人のグループの戦いになるが、最後まで全力を尽くしたい」

■高橋裕紀選手(250cc 11位)
「初日から抱えているフロントの不安を最後まで解消できなかった。乗り方を変えて、フロントに加重を掛けたり、抜いたりして、少しは良くはなったのだが、根本的な解決にはならなかった。ここは、速い選手の後ろにつくとタイムが出るので、予選では、誰かの後ろにつきたかったのだが、なかなかいい目標になる選手がいなかった。明日はとにかく完走したい。最終戦につながるようなレースにしたい」