シーズン前半戦の締めくくりとなるドイツGPが、29日、ドレスデン近郊のザクセンリンクで開幕した。ザクセンリンクはケムニッツ・ツヴィッカウ工業地帯にあり、1927年に初めて公道を使ってレースが行われた。オートバイのグランプリは、東ドイツ時代の1961〜72年に「東ドイツGP」が開催されている。東西ドイツ統一後の1998年からは、コースが全面的に改修され、同サーキットがドイツGPの舞台となり、今年で8年目を迎える。
1年でもっとも暑い時期に開催されるドイツGP。予選前日には35℃まで上昇。この日も34℃の最高気温を記録した。その暑さの中で、Honda勢が素晴らしい走りを見せた。1回目のフリー走行ではニッキー・ヘイデン選手(Repsol Honda Team)がトップタイムをマーク。2回目の走行ではアレックス・バロス選手(Camel Honda)が首位に浮上、総合タイムでもバロス選手が1日目のトップに立った。2番手にはセテ・ジベルノー選手(Team Movistar Honda MotoGP)。3番手にはヘイデン選手。トップ3台の差はわずか0.187秒と、Honda勢同士の大接戦となった。
このトップ3台のし烈な戦いに象徴されるように、この日は、トップのバロス選手から1秒差以内に15台という今季最高の熱戦となった。その厳しい戦いの中で、6番手に玉田誠選手(KONICA MINOLTA Honda Team)、7番手にマックス・ビアッジ選手(Repsol Honda Team)、8番手にトロイ・ベイリス選手(Camel Honda)、14番手にマルコ・メランドリ選手(Team Movistar Honda MotoGP)と、すべてのHonda勢が1秒差以内で初日を終えた。
トップタイムをマークしたバロス選手は、1回目のフリー走行では7番手と出遅れた。しかし、優勝経験のあるサーキットだけに闘志満々で2回目の走行に挑み、見事トップタイムを刻んだ。バロス選手は、2回目のセッションで2回の転倒を喫し大荒れだったが、元気あふれるバロス選手の走りにファンも大喜びだった。バロス選手は、このサーキットで2000年に優勝、昨年は2位になっている。もっとも得意とするサーキットのひとつだけに、今季2回目のPP、そして2勝目に向けて大きく前進した。
2番手のジベルノー選手も、ザクセンリンクは得意とするサーキットのひとつ。毎年、優勝候補に挙がり、一昨年は優勝している。ジベルノー選手は、1回目のフリー走行でヘイデン選手に続いて2番手タイムをマーク、2回目もバロス選手に続いて2番手につけた。前戦イギリスGPでは、トップを走りながら転倒を喫していた。それだけに、その雪辱に向けて好スタートを切った。3番手にはヘイデン選手で、昨年は3位表彰台に立っている。ヘイデン選手も、2戦前のアメリカGPで優勝したが、前戦イギリスGPでは転倒リタイアと悔しいレースに終わっているだけに、今大会に気合充分。今季2勝目に向けたファイトあふれる豪快な走りでファンを沸かせた。
けがから復帰して6戦目を迎える玉田選手は、1回目のフリー走行こそ15番手と大きく出遅れたが、2回目には一気に6番手に浮上した。右手甲の骨折も順調に回復、レースを追うごとに調子を上げている玉田選手だが、この日の走りは、また一歩前進したことを感じさせる走りだった。1回目は、車体のセットアップに苦しんでタイムを伸ばせなかった。しかし、2回目のセッションに向けてサスペンションのセッティングを変更、これが功を奏して大幅にタイムを縮めることに成功した。
7番手には昨年のウイナーのビアッジ選手。ドイツGP2連覇に向けて好スタートを切った。前戦イギリスGPでは、大雨のレースで転倒リタイアに終わっているだけに、今大会は気合を入れている。ビアッジ選手にとってもザクセンリンクは得意とするサーキットのひとつ。昨年は、ビアッジ選手、バロス選手、ヘイデン選手の3選手が表彰台を独占した。今年もHonda勢の表彰台独占の期待が集まる中で、その真ん中に立つ意気込みだ。そして、8番手にはベイリス選手。アメリカGP、イギリスGPと確実に調子を上げているだけに、今大会の活躍に期待。そして14番手のメランドリ選手も、トップから1秒差以内で1日目を終えているだけに、2日目、そして決勝での巻き返しが期待されている。
250ccクラスは、アレックス・デ・アンジェリス選手(アプリリア)が暫定PP。ホルへ・ロレンゾ選手(Team Fortuna Honda)2番手、ダニエル・ペドロサ選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)3番手とHonda勢が続いた。さらに、5番手に青山博一選手(Team Telefonica Movistar Honda 250cc)、8番手アンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Team Scot)、9番手ヘクトール・バルベラ選手(Team Fortuna Honda)とトップ10にHonda RS250RWに乗る5選手が入り、ルーキー高橋裕紀選手(Team Scot)も13番手につけた。昨年の大会ではペドロサ選手が優勝している。今年も初日3番手と2連覇に向けてまずまずのスタートを切った。ロレンゾ選手、青山選手も好スタートを切っているだけに、250ccクラスも、Honda勢同士の熱い戦いが予想される。
125ccクラスは、マティア・パシーニ選手(アプリリア)が暫定PP。Honda勢ではルーキー小山知良選手(Honda)が4番手と健闘した。トーマス・ルシ選手(Honda)が5番手と続き、2日目のポジションアップに期待が膨らんだ。葛原稔永選手(Honda)は26番手だった。 |