第3戦中国GPが、29日、上海市郊外の上海国際サーキットで開幕した。中国でオートバイのグランプリが開催されるのは今回が初めて。世界で28番目のグランプリ開催国となった。開幕前日には、初開催を記念するイベントが行われ、夜には上海市内でマックス・ビアッジ選手(Repsol
Honda Team)のグランプリ200戦目を記念する祝賀会が行われるなど、昨年のF1グランプリに続くビックイベントに、中国のモータースポーツファンの注目と期待は高まるばかりだった。
上海国際サーキットは1周5.281km。ストレートの長さでは、これまで最長を誇ったイタリア・ムジェロの1.141kmを凌ぐ1.175km。低中速コーナーと長いストレートを組み合わせた現代的なレイアウトが特徴となっている。予選前日は青空が広がり、最高気温は30℃を超えた。4月下旬としては季節外れの暑さとなったが、選手たちはコースの下見を入念に行い、チームは開幕に向けて準備に追われていた。
迎えた1日目。この日は、朝から雲の多い一日となった。そして、午前9時から125ccクラスのフリー走行が予定通り開始されたが、125ccクラスに続くMotoGPクラス1回目のフリー走行は、救護用ヘリコプターの準備が遅れるというハプニングで、予定より2時間遅れてスタートすることになった。
このセッションで、快調な走りを見せたのは、Honda勢だった。開始早々から好タイムをマークしたのはセテ・ジベルノー選手(Team
Movistar Honda MotoGP)で、終始ライバルを圧倒した。しかし、セッション終盤に1コーナーの進入でコースアウトを喫し、グラベルで軽い転倒を喫する。その間にマルコ・メランドリ選手(Team
Movistar Honda MotoGP)がタイムを縮め、さらにニッキー・ヘイデン選手(Repsol
Honda Team)がメランドリ選手を上回る快走を披露してトップに浮上。ヘイデン選手が、注目の1回目のセッションを制した。以下、カルロス・チェカ選手(ドゥカティ)、バレンティーノ・ロッシ選手(ヤマハ)、ロリス・カピロッシ選手(ドゥカティ)と続いた。そして前戦ポルトガルで今季初優勝を達成したアレックス・バロス選手(Camel
Honda)が7番手。ここまでがわずか0.489秒差という大接戦だった。
さらに、開幕戦から徐々に調子を上げているトロイ・ベイリス選手(Camel
Honda)が10番手。このレースがGP200戦目となるビアッジ選手も初コースということで入念にセットアップを続けながら11番手。Hondaエンジンを搭載したモリワキ
MD211VFでスポット参戦の宇川徹選手が17番手、前戦ポルトガルGPの予選で右手を負傷、今大会を欠場の玉田誠選手(KONICA
MINOLTA Honda Team)の代役として出場のユルゲン・ファンデン・グールベルグ選手は20番手だった。
こうして、初セッションから好タイムが続出のMotoGPクラス。ニューサーキットとしてはグリップの良さに好印象を抱いた選手が多かった。そのために午後のセッションでは、さらに大幅なタイム短縮が期待されたが、上海地方は予報通り午後になって雨となり、2回目のフリー走行はウエットコンディションの中で行われた。
このセッションでもHonda勢が、快調な走りを披露する。路面は、フルウエットから、セッション終盤にハーフドライとなる難しいコンディション。フルウエットでは、バロス選手、ジベルノー選手、ビアッジ選手の3人が素晴らしい走りを見せてライバルを圧倒。路面が乾き始めてきた終盤にケニー・ロバーツ選手(スズキ)が、このセッションでのトップタイムをマークしたが、Honda勢は、1回目のドライ、2回目のウエットで素晴らしい走りを見せて、初開催中国GPでの優勝に向けて絶好のスタートを切った。
250ccクラスは、ハーフウエットからドライになる難しいコンディションの中で、ケーシー・ストーナー選手(アプリリア)が暫定PPを獲得。2番手には、前戦ポルトガルGPで250cc初表彰台に立って昇り調子のアンドレア・ドヴィツィオーゾ選手(Team
Scot)。3番手にセバスチャン・ポルト選手(アプリリア)。以下、ダニエル・ペドロサ選手(Team
Telefonica Movistar Honda 250cc)、ホルへ・ロレンゾ選手(Team
Fortuna Honda)、青山博一選手(Team Telefonica
Movistar Honda 250cc)、アレックス・デボン選手(Honda)と続き、10番手にヘクトール・バルベラ選手(Team
Fortuna Honda)と、トップ10にHonda勢が6台。高橋裕紀選手(Team
Scot)は、セッション終盤の転倒が影響して19番手に終わった。高橋選手はセッション中、フリー走行、予選ともに、常にトップ10につける走りを見せたが、不安定なコンディションに翻弄され悔しい一日となった。250ccクラスはワイルドカードを含めて32台が出場。不安定な天候のために、8台が基準タイムを通過できなかった。
125ccクラスは、フリー走行がドライ、予選がウエットとなり、ファブリツィオ・ライ選手(Honda)が暫定PPを獲得。開幕戦から3位、4位と好調のライ選手だが、ここでも好調をキープ。その他のHonda勢では、3番手に15歳のルーキー、アレックス・エスパルガロ選手(Honda)。今季初表彰台の期待が集まる小山知良選手はクリアラップが取れず10番手。葛原稔永選手はウエットに苦戦して31番手だった。125ccクラスも、38台中6台が基準タイムをクリアできない難しい予選となった。 |