「今年はトップ5のライダーに優勝の可能性があると言われていますが、現在ランキング2位のアダム・ラガ選手は、その手足の長さを生かした大きな動きとか、しなやかな動きですとか、本当に美しいライディングですね。バイクをどう走らせていくかというだけではなく、芸術性という意味でもかなり見応えがあります。バイクも世界最軽量といわれているガスガス(スペイン)なので、それを手足のように動かしていく姿というのは、本当に芸術的だと思います」
「そうですね。あとはシェルコ(スペイン)に乗るアルベルト・カベスタニー選手と。今年から久しぶりに出てきたオッサ(スペイン。25年ぶりに参戦)に乗るジェロニ・ファハルド選手、このあたりがどう絡んでくるかという感じですね。とくにオッサは選手にとってもお客さんにとっても未知数のマシンですので、どう走るかというのも魅力でありますし、それぞれのマシンに興味を持っていただくのも面白いと思います」
「トライアルバイクは本当に変わった形をしていて、普通のバイクのようなシートが無かったりとか、後ろの泥よけがすごく跳ね上がっていたりとか、普段は見た事の無いような形をしています。基本形状は時代の流れで決まっていきますが、現在の主流は軽量化ですので、余計な物は外していますし、普通は燃料タンクがハンドルの後ろのポジションにありますが、シェルコのように車体の後ろの方に付いているマシンもあります。よく燃料タンクは『何L入るのか』と聞かれますが、だいたいどのメーカーでも1.5〜2Lくらいで、ガソリンさえも軽量化していこうという考え方で、燃料タンクはどんどん小さいものになっています。世界選手権では、競技途中で給油ができるからです。あとはヨーロッパ車のカラーリングなども日本車にはないものがあると思いますので、それぞれのメーカーのカラーリングも、かなり変わった、なかなか見ないような色を使っています」
昨年の日本GP1日目の表彰台。優勝したボウ選手を挟んで、右がガスガスのアダム・ラガ選手、左が今年からマシンをオッサに乗り換えたジェロニ・ファハルド選手。全員がスペイン出身の選手だ
ボウ、藤波両選手の最大のライバルである、ガスガスのアダム・ラガ選手。今年も先行するボウ選手を追いかけ、藤波選手と激しい2位争いを展開中。05-06年の世界チャンピオンであり、02年から4年連続のインドアトライアル世界チャンピオンも獲得している。昨年の世界ランキング2位
現在26歳のジェロニ・ファハルド選手は、17歳の02年にヨーロッパ選手権のチャンピオンを獲得して世界の舞台に登場した。個性的なライディングとルックスの良さで人気の高いライダーだ。今年はニューマシンのオッサに乗り第2戦で早くも2位になっている。昨年の世界ランキング4位(写真のマシンは10年のシェルコ)