WCTニュース Honda Racing WCT checker
Honda ホームページへ
モータースポーツ
WCT
Honda Racing News Formation
SBKニュース
参戦計画
オフィシャルサイト
セクションを下見する藤波
テクニカルな岩盤のセクションを行く藤波
2日目の表彰式、優勝した藤波(中)、2位ランプキン(左)
1日目優勝したランプキン、2日目には藤波に敗れ2位へ
トライアル世界選手権
EUROPE
[2002.07.14]
WCTレースレポート 
第8戦 ヨーロッパ(フランス)
2002年 7月13〜14日開催  
天候:曇り時々雨/曇り 気温:15℃/15℃ 
観客:3,500人/4,000人

藤波貴久、日曜日に圧勝!
タイトル決定は、最終戦もてぎに持ち越し!

ドギー・ランプキン(montesa HRC)が土曜日の大会で優勝、6度目のタイトルがいよいよ決定かと思われたが、日曜日は藤波貴久(montesa HRC)がランプキンに10点差をつけて圧勝。両者のポイント差は32点で、ランプキンのタイトル決定劇は、最終戦もてぎに持ち越されることになった。アルベルト・カベスタニー(Beta)と藤波はポイント差が30点差となり、藤波がランキング2位をキープするのはほぼ確実となった。

第1日目
会場となったクレルモン・フェランは、日本大会がおこなわれるツインリンクもてぎと同様、ロードレースなどがおこなわれるサーキット。セクションはこの施設内に設営されていた。セクションの8割は人口的に配置した岩や丸太で作られていた。フランスでの世界選手権は今年2回目。今回はヨーロッパ大会としての開催だ。

天候は雨。岩も丸太もよく滑り、セクションの難易度はかなり高くなった。難しいセクションでより走破力を発揮するドギー・ランプキン(montesa HRC)は、好調にセクションを走破していく。

フランス大会の時には、オブザーバーの厳しい判定が話題になった。しかし今度は、まったく正反対。バックしたりマシンを横に振っても5点の判定はとられない。同じフランスでの開催なのに、まったく採点基準がちがう印象となっていた。

トップグループが第1セクションに到着した頃、強い雨が降り始めた。雨は条件を一変させた。各ライダーは、雨がやむのを待ち、天候の様子を窺いながらセクションインしていくことになる。

雨の中、藤波貴久(montesa HRC)が第1セクションにトライする。しかし藤波は、雨でよく滑る岩盤の上で失敗し5点をとってしまった。

藤波の失敗を見届けてからランプキンとグラハム・ジャービス(Sherco)がトライする。岩のグリップは回復したようで、3点で抜ける。ラガは藤波が5点になった難ポイントをキレイに走破した。そのあとのポイントで3点となってしまったが、ラガのパフォーマンスは素晴らしかった。

第2・第3セクションはインドアスタイルだった。岩は、これもよく滑って危険でもあった。悪いスタートをきった藤波だが、その後は好調子を取り戻した。13セクションと最終15セクションで5点となったが、調子は悪くない。

15セクションはスタートのすぐ横にあった。ほとんど不可能と思われる難セクションだ。滑る丸太の組み合わせ。何人かは3点で抜けられたものの、バイクを担ぎ出すような方法でセクションアウトしている。

1ラップ目の結果は、ランプキンがトップで30点。そして藤波とジャービスが32点で続き、ラガの36点と続く。さらにカベスタニーとコボスが38点。

2ラップ目。セクションはさらに悪化してゆく。しかし持ち時間は少なくなっている。悪コンディションの中、ランプキンは、いったん3点の判定を受ければ、あとは5点にならないように手堅くセクションアウトする道を選んでいる。リスクをおさえた賢い走法だ。少ない時間の中、結局減点を最小限に抑えていたのは、ランプキンだ。2ラップ目も33点でトップのスコアである。

1ラップ目に藤波に2点リードされていたラガは、ちょっとナーバスになっていたらしく、オブザーバーの判定に対する抗議も多かった。しかし2ラップ目、奮起したラガは35点で2ラップ目を終えた。

期待の藤波は、第3、第4と立て続けに5点を取り、ややペースを乱し、第9セクションでも5点。41点でゴール。

結局1、2ラップ共ベストスコアを出したランプキンは63点で堂々優勝。ラガが71点で2位、藤波が73点で3位となった。

第2日目
藤波が再び優勝した。今大会でチャンピオン決定の可能性もあったランプキンだが、この優勝で藤波はそれを阻止。勝負はもてぎに持ち越すことになった。これは、わずかではあるが、藤波が世界チャンピオンになる可能性を残しているということだ。

藤波は、前日の失敗を糧とし、自信の集中力を正しくコントロールして2日目に挑んだ。2日目に藤波が優勝するシーンは、前戦イタリアと同じ。しかし今回は、イタリアの時のように、同点クリーン差ではない。藤波は、王者ランプキンより10点も少ない減点数で優勝したのだ。2ラップ目の藤波のパフォーマンスは素晴らしかった。1ラップ目の25点に対して、2ラップ目は13点。この日、20点を切ってラップを回ったのは、藤波ただひとりだ。

序盤、藤波の調子はもちろん悪くなかったが、ラガとランプキンも好調だった。5つのセクションがモディファイされて、スコアは前日よりよくなることが予想された。しかしオブザーバーの採点も前日より厳しくなっているように見えた。前日はバックも振りもOKだったのが一転、この日はちょっとバックしても5点!ルールはその通りなのだが、その変わり身の早さがすごい。ライダーは、みなこの変わりようにびっくりしてしまい、何人かはそれを気にするあまり、自分の走りに集中できなくなっていった。

藤波とて同様だった。1ラップの終わり、15セクションで停止をとられたのには、ずいぶん落胆させられたようだ。それは明らかに、オブザーバーにしか見えない停止だった。

1ラップを終えて、トップはラガで24点。藤波は25点。ランプキンは3位で、28点だった。

2ラップ目に入って、ランプキンががぜん復調した。しかしそれも8セクションまで。ここでランプキンは、ころころ石に足を取られてわずかにバック。その瞬間に、5点が宣告された。さらにランプキンは同じような失敗を喫して、優勝戦線から脱落してしまった。

藤波の強い精神力は、この日の優勝にまったくもってふさわしかった。

3位はマーク・フレイシャ(Sherco)、以下、それぞれ1点差でアルベルト・カベスタニー(Beta)、ラガ、黒山健一(Beta)と続いた。

この大会を終えて、ランプキンと藤波のポイント差は32点。次回に本大会では、初日に藤波が優勝しても、ランプキンが8位に入ればランプキンのタイトルが決定する。一時は藤波に肉薄していたカベスタニーは、フランス大会以降調子を落としてしまい、藤波とのポイント差は30点。藤波は初日に6位以内に入れば、4年連続のランキング2位を確保することになる。デビッド・コボス(montesa HRC)はフレイシャと同点でランキング7位。ランキング5位のジャービスまで2点差なので、日本大会で好成績をあげられれば、ランキング5位を得ることも可能な状況となっている。

DAY 1
D.ランプキン (1位)

両ラップともにベストのスコアを出せてうれしい。セクションは悪くなかった。いくつかのセクションは少しのモディファイが必要かとも思ったが、なかなか走りごたえもあって良かったと思う。今日のような難しいセクションは、現行のルール通りに判定をするのはさまざまな問題があるのではないだろうか。

藤波 貴久 (2位)
雨によってきびしい大会でした。インドアスタイルセクションですが、岩も丸太も実に良く滑りました。しかし、いくつか判定に納得いかない5点をとりました。2ラップ目はそんなこともあって、集中力を失いました。そのあたりが敗因でしょう。明日はとにかくがんばります。ランプキンには、最終戦のもてぎ前にチャンピオンを決定させたくないですから。

DAY 2
D.ランプキン (2位)

今回は、2ラップ目にふたつの失敗をしてしまい、これで優勝を失った。日本では、もし初日にタイトルを決定できたら、2日目はコボスのランキングを引き上げる助けに回りたい。我々のチームは、私と藤波と、そしてコボスがメンバーだからだ。

藤波 貴久 (1位)
今日は高い集中力で、いい調子でスタートできました。これで、ランプキンのタイトル決定劇を母国日本大会に持ち越せることになって、とても満足しています。今日は、何人かのオブザーバーがとっても厳しく、理解不能なものでした。1ラップ目の6セクションでは、わずかなバックで5点を取られてしまっています。

Honda Racing このページの先頭 News Formation