 |
|
 |
 |
 |
トライアル世界選手権
ITALY
[2002.07.07] |
|
第7戦 イタリア |
2002年 7月6〜7日開催 |
|
天候:曇り時々雨のち晴れ/晴れ 気温:25℃/28℃
観客:5,000人/10,000人
|
藤波、2日目に今シーズン2勝目!
ランプキンと勝ちを分ける!
 |

今シーズンもっとも難しい設定となったこの大会、藤波貴久(montesa
HRC)が今シーズン2勝目を挙げた。ランキングトップのドギー・ランプキン(montesa HRC)とは土曜、日曜に渡って1位、2位を分け合ったため、ポイント差は変わらず30ポイント。藤波は同時にアルベルト・カベスタニー(Beta)に対してランキング2位をも守っている。一時は7点だった両者のポイント差は、18点まで広がった。 |
|
第1日目
競技前日の金曜日、セクション下見を終えたライダーから、さまざまな意見が出された。あまりにも難しすぎるのではないかというのが多くの主張だ。しかし難易度は高くても、アンドラやアメリカでのように危険度は高くなく、内容的には世界選手権に相応しいという意見もあった。セクションの泥があまりにグリップが悪いため、走破はほとんど不可能なのではないかという意見があったのも、また事実だ。
ハードなトライアルが予想される中、1日目がスタートした。難セクションに輪をかけて、残念ながら土曜日の天候は悪かった。スタートの頃はまだ曇り空だったが、降り出した雨は時間の経過とともに激しさを増し、セクション群はみるみる状況が悪化していった。
第1と第2セクションは川沿いに設営されたロックセクションで、以降第3から第12セクションまでは森の中に設定されていた。グリップに問題のある難セクションは、森の中のものだった。ここの泥が、難物なのだ。
雨のために悪化するセクションに、ほとんどが5点。トップクラスのみがかろうじて3点で抜けられるという状況である。その中から抜け出すには、真の実力が問われる内容でもあった。
1ラップ目のトップはドギー・ランプキン(montesa HRC)の35点。藤波貴久(montesa HRC)は39点。ランプキンと藤波のこの1ラップ目のスコアは素晴らしかった。
そして3番手が45点の田中太一(GasGas)だった。今季の田中はR5アンドラ大会で自己最高位の8位を記録したばかり。上り調子である。
ラガが田中と同点で並び、続いてマーク・コロメ(GasGas)とグラハム・ジャービス(Sherco)が46点、前回フランス大会で優勝しているアルベルト・カベスタニー(Beta)が49点と続いた。
いつもの通り、1ラップ目に比べて早いペースで進行する2ラップ目。ランプキンが引き続きいつもの素晴らしいパフォーマンスを発揮した。その減点はたった37点。これに及ぶ者はいなかった。
藤波は、2ラップ目にはミスが目立って50点をマークしてしまった。しかしそれでも、藤波は2位の座を守ることができた。
期待された好調の田中は、たった1点差で表彰台をジャービスに譲ることになったものの、自己最高の4位入賞の快挙を果たした。
今シーズン、最も難しい世界選手権となった。ランプキンは、このハードなトライアルで優勝したことにより、世界の最強ライダーとしての地位を、さらに揺るぎないものとした。そして6度目のタイトル獲得をより現実的なものとしたのだった。
第2日目
前日の難度の高さを目の当たりにして、主催者は多くのセクションに手直しをした。レギュレーションでは、セクションのモディファイは5つまでと限られている。しかし開けてみれば、11個ものセクションに修正が加えられていたのだった。公式には、セクション変更は5個と報告されている。
セクションはやさしくなったが、日曜日は前日とは変わって、太陽が輝いていた。今シーズン最も難しいセクションは、どうやら一転して、シーズン中最も簡単な大会のひとつとなりそうな予感だった。
こういう展開は、トップライダーには歓迎すべきことではない。セクションがやさしくなると、ひとつのミスが勝負を決定的にしてしまうことがある。
1万人の観客は素晴らしかった。どこのセクションでも、ライダーの素晴らしい走りには、惜しみない拍手が送られていた。観客の声援で、技量の劣るライダーも、なんとかセクションを最後まで走り切らされてしまったりした。
藤波とランプキンのふたりは、その他のライダーにはわずかなアドバンテージを持っていた。ふたりの一騎打ちということだ。カベスタニーは第2セクションの5点で脱落していたし、アダム・ラガ(GasGas)とジャービスは、3点をいくつかとって、やはり自滅に近い形となっていた。
前日、自己最高位のポジションを得た田中は、さらに上位を狙おうというプレッシャーからか、つまらないミスが目立って、表彰台獲得はそうそうに夢と消えてしまった。
1ラップが終わって、藤波は7点、ランプキンは9点。3位のカベスタニーは11点だ。4位のマーク・フレイシャ(Sherco)になると14点。勝利の権利は、ほとんど上位ふたりに絞られてしまった。
2ラップ目、藤波とランプキンの減点はタイに並んだ。どちらが勝利をつかむのか、その行方は混沌としてきた。勝利を決定づけたのは、両者のクリーン数。藤波はクリーン18で、ランプキンは17。クリーン数ひとつの差で、藤波は再びチャンピオンを破ることに成功した。
ラガは2ラップ目によく復調したものの、クリーン数の差でカベスタニーを破るまでにはいたらず、表彰台を逃すことになった。コロメは1ラップ目に起きた小さなマシントラブルをよく克服して6位。素晴らしい結果といってよい。
DAY 1
D.ランプキン (1位)
難しかった。セクションをあともう少しだけ修正すれば完璧なものだったと思うが、このようなハードなセクション設営には賛成だ。難しいセクションと成績とは関係がないものだ。今日は自分自身満足のいく走りと成績を出すことができて嬉しい。オブザーバーも厳しかったが公平だった。
藤波 貴久 (2位)
とてもハードな一日でした。だけどこのようなハードなセクションは大好きです。1ラップ目はちょっとだけミスがありましたが調子が良かったんです。でも2ラップ目に多くのミスをしてしまいました。時間に追われたこともその原因のひとつですね。確かに2位続きで悔しいのですが、今日は納得できる2位だったと思います。
DAY 2
D.ランプキン (2位)
セクションの変更が多すぎた。おかげで、すっかり簡単な大会になってしまった。それでオブザーバーはよりタイトな採点をすることにしたようで、いくつか理解できない減点を頂戴することになった。それはすべて1ラップ目のことで、それでずいぶん失望しながらセクションを回ることになってしまった。とはいえ、今日のこの成績は、とってもいい結果だったといえるよ。
藤波 貴久 (1位)
優勝は、とってもうれしい。でも、ぼく自身は昨日の大会の方がよかった。というのは、もちろんセクションの難易度のことだ。今日の大会は、ちょっと簡単すぎた。この会場はとっても素晴らしかったし、オーガナイザーも素晴らしかった。どこでもかしこでも、歓声を上げる観客から、たくさんの拍手を受けることができた。いい大会だったとは思う。
|
|