HONDA The Power of Dreams

「ハチロクが岡山であるからヨロシク」とゴッツから監督代理を申しつけられた編集部(あ)です。

今回はスプリント、それも第2戦で2位という結果を残しているヴィッツレーサー渡辺がドライバーなので監督と言ってもやることありません。

それではつまらないのでセッティングに口出ししてみました。

リヤのバネレートを大幅に下げてダンパーにはバンプラバーを追加します。

狙いはアンダー対策。リヤのロール剛性を下げた上でバンプラバーを使ってストロークを規制すれば、リヤが出てくれるだろうというのが狙いです。

土曜日の練習走行で渡辺のコメントは「リヤが軟らかくて自分好みです」というもの。バランスはいいみたいです。

でもこの時点でトップタイムをマークしていた宿敵ピストン西沢さんとはおよそ1秒差。

第2戦のスプリントで渡辺に予選で負け、決勝でも抜かれたピストンさんは雪辱に燃え、金曜からテストを重ね、セット確認はFFの神様、渡辺明大先生にご登場願うという万全の態勢。

「ふっ、ふっ、最後は真面目にやっているヤツが勝つんだよ」と高らかにリベンジ宣言してピストンさんの鼻息はとても荒いです。

「だいたい第2戦はエンジン壊れてたし」。

トラブルがあったのは本当のよう。エンジンもオーバーホールしてスキがありません。果たして渡辺は太刀打ちできるのか？

分かれたタイヤ選択

「まあこんなもんか……」

「やっぱりピストンかな」

「計測2周したからタイヤのピークも終了だね」

「ん!? おっおー!(一同)」。

日曜朝の予選で渡辺は会心の一撃を繰り出しました。1周目1分44秒7、2周目44秒9ときたあと3周目に44秒1!

前日の練習では一度だけ44秒台に入れただけであとは45〜46秒で周回していたのに、一気にコンマ9秒短縮とはカッコよ過ぎるぞ渡辺。

この時点でピストンさんは44秒3。ピットからの指示で周回を重ねてタイムを詰めますがコンマ02秒及ばず2番手。渡辺が見事PPを獲得したのでした。

「1回クーリングしようかと思ったんですけど、スマホでセクター1のタイムを見たら更新していたので、そのままアタックしました。ショートカット(フラットでS字状になっている)でブレーキを残すといつまでもGが抜けないんですけど、早めにブレーキを離してスロットル入れながら切り込むと曲がることを発見したのがよかったですね。あと5コーナーで早くスロットルを開けられるように早めにブレーキしたのも効きました。予選だと、やっぱりスイッチが入るんですよ」。

ライバルチームからは練習は三味線か？と疑われたものの、本人は練習と予選とは別と考えているようです。

ニュータイヤでのアタックでブレーキを手前にするというのも気合が入ると簡単にできることでありません。

「うちのタイヤは『ハード』だから5周目以降もタレないんだよ、フッフッ」。

ピストンさんのタイヤチョイスはポテンザRE11Sの185/55タイプRH、これに対して我がチームは同タイヤの195/50タイプRSと幅広サイズでソフト。

この差が決勝でどう出るのか注目されましたが、10周レースの6周目からなんと雨が……。

当然、雨ならソフトが有利。

5周目までコンマ差でインにノーズをねじ込むチャンスをうかがっていたピストンさんは意気消沈、渡辺が優勝をさらったのでした。

週末にセットもタイヤ選択も一度も悩むことなし。勝てるときはあっけないものです。

セッティングの幅広さやタイヤ選択があるのはN1規定ならでは。もし雨がなかったらどんな展開になったのかも気になるな……。