開幕2戦を3位と2位で終えた小川友幸(TEAM MITANI Honda)が必勝の構えでやってきたのが、関東大会のツインリンクもてぎ。ここで全日本選手権が開催されるのは、今年が初めてとなります。
2週間前に開催されたトライアル世界選手権と同じ会場ですが、パドックはセクションにより近いパーキングに設けられ、ツインリンク内舗装路に面した一列に10セクションとSS(スペシャル・セクション)が設けられていて、よりコンパクトな会場設営で、より観戦しやすくなっていました。
セクションは、一部は世界選手権でも使われたものですが、設定は全日本選手権用にアレンジされています。とはいえ、金曜日の大雨に濡れたもてぎの大地はつるつる。初めてここを走るライダーを苦しませることになりました。
第1セクション、小川は1回の足つきでここを抜け、関東大会の戦いをスタートさせました。今回の優勝争いのライバル、そしてチャンピオン争いのライバルの野崎史高(ヤマハ)はここをクリーンしていたので、1点のビハインドで追い上げることになりました。
ところが小川は、名物セクションである岩盤の第4セクションで2点、続く第5セクションで1点と、なかなか小川本来の美しい走りを発揮できません。ライバルの野崎も細かい失点はあるので、僅差の接戦であることには違いありませんが、追い上げなければいけない局面で、なかなかそれが叶いません。
登りにくい岩から次の岩に飛び乗る設定の第6セクション。ここで小川は美しいクリーン。これが、小川のライディングに火をつけました。第7、第8、第9、第10と、1ラップ目後半はすべてクリーンでまとめました。一方、ライバルの野崎は第8で1点、これで小川と野崎が同点で並ぶことになりました。さらに第9では5点。ついにこの日初めて、小川がトップに立ちました。
1ラップ目、小川の減点は4点で、野崎に5点差でトップ。3位の小川毅士(ベータ)が15点ですから、トップ2人だけが抜きんでて優勝争いをしていることになりました。
2ラップ目、逃げきりたい小川友幸、追い上げ逆転したい野崎。両者とも、すべてのセクションをクリーンする決意でセクションに臨みます。しかし、野崎には1点が2つ、小川には2点が一つのミスがありました。2ラップ目の結果は、両者ともに2点。点差は5点のまま、最後に用意されたSSで勝敗を決することになります。
今回のSSは、岩盤下の観戦がしやすい位置に並べられたコンクリートブロックを走破するもので、SS1は北方向に、SS2は逆順に南方向にトライしていきます。SS1では最初に置かれていた2段のコンクリートブロックが、SS2では最後の3段のブロックとなり、ここがSSを走るライダーの鬼門となっていました。
SS第1、小川、野崎ともにクリーン。その差は変わりません。しかし、1セクションを残してその差が5点、クリーン数では小川の方が勝っているため、SS第2で小川が5点となり、野崎がクリーンした場合でも減点数は同点で、クリーンの数で小川が勝利する計算となります。ただ、勝負はあくまでゴールをして決まるもの。最後のSS第2を抜け出るまでは、やはり気を抜くわけにはいきません。
SS第2、小川の前を走るすべてのライダーが最後の3段を登れずに5点。野崎も5点となり、その点差は決定的となりました。
最後のトライとなった小川は、だれも抜けられないこの難セクションを、見事なクリーンで決めて、優勝に花を添えたのでした。このクリーンで、終わってみれば小川は2位に10点差をつけての勝利となりました。
開幕2戦で少し苦しい戦いを強いられた小川の見事な復活。そしてポイントランキングでも野崎に同点となり、小川の7連覇実現への兆しがうかがえる大会となりました。
小川友幸(優勝)
「ようやく、このポジションに戻ってこられました。今日も序盤は不本意な減点があって、決して調子がいいとは言えなかったのですが、我慢のトライアルを続けて、後半、徐々に調子を取り戻してきて、だれも抜けられていなかった最後のSSをクリーンして試合を終えることができました。これでランキングもイーブンに戻して、ようやくここからが始まりです。楽な戦いではないと思いますが、新たな連覇に向けて、ここから調子を上げていきたいと思います」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム減点 | 総減点 | クリーン数 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 小川友幸 | ![]() |
0 | 6 | 18 |
2 | 2 | 野崎史高 | ヤマハ | 0 | 16 | 15 |
3 | 5 | 小川毅士 | ベータ | 0 | 32 | 12 |
4 | 6 | 氏川政哉 | ガスガス | 0 | 42 | 9 |
5 | 4 | 柴田暁 | ヴェルティゴ | 0 | 46 | 6 |
6 | 7 | 斎藤晶夫 | ![]() |
0 | 60 | 4 |
7 | 18 | 武井誠也 | ![]() |
0 | 71 | 4 |
14 | 16 | 砂田真彦 | ![]() |
0 | 81 | 1 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 小川友幸 | ![]() |
52 |
2 | 野崎史高 | ヤマハ | 52 |
3 | 小川毅士 | ベータ | 41 |
4 | 黒山健一 | ヤマハ | 37 |
5 | 柴田暁 | ヴェルティゴ | 33 |
6 | 氏川政哉 | ガスガス | 32 |
7 | 斎藤晶夫 | ![]() |
26 |
10 | 武井誠也 | ![]() |
16 |
17 | 砂田真彦 | ![]() |
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