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team HRC現場レポート

Vol.08

確実な前進、決勝レースは惜敗も
単独ランキング2位に浮上

鈴鹿8耐を終えて、3週間後に行なわれた全日本ロードレース第6戦。耐久で乗り込んだマシンの、そして自身の走りの感覚が残っているうちにシリーズ後半戦がスタート。チャンピオン防衛に向けての負けられない戦いが、再び始まりました。

高橋巧

1周の速さよりもアベレージで

「今回は手応えがありましたね。勝てるかもしれない、そう思いました」
TeamHRCの監督を務める宇川徹は、ピットを離れるわけにはいかない公式予選や決勝レースを除いて、金曜の合同走行やフリープラクティスなどでは、高橋巧の走りをコースサイドで見るようにしている。

その宇川が決勝日朝のフリー走行で見た高橋の走りが光っていたと振り返る。

宇川徹「朝フリーは、巧は文句なく速かった。予選タイムを更新したライダーって、巧くらいじゃないですか? それ以外も、予選の進め方やタイムのそろい方が、ほかのライダーの中でもいちばん安定していたと思います」

結果だけ見れば、高橋は淡々と、いつものように、決勝レースへ向けてのマシンのセットアップを続けていた。金曜の合同走行では1回目3番手、2回目4番手。タイムも少しずつ、確実に縮め、ノックアウト方式で行なわれた土曜日の公式予選では、Q1、Q2どちらも3番手につけ、決勝レースは野左根航汰選手(ヤマハ)、中須賀克行選手(ヤマハ)に続くフロントロー3番グリッドを獲得。金曜の走り出しから見れば、1秒4ものタイムアップを果たしていたのだ。

高橋巧(以下、高橋)「金曜の合同走行で軽く転倒してしまって、流れをうまくつなげられなかったんですが、調子よく走れています。もてぎは、春の大会に続いて2度目だし、前回はまだ手を負傷していて本調子じゃなかった。あれからマシンも少しずつ進化しているし、自分の走りもニューマシンに合わせられ始めていると思います」

全日本ロードレースは、ここまで4戦7レースを終了。高橋は渡辺一馬選手(カワサキ)と同ポイントでランキング2位につけて、ランキングトップの中須賀克行選手(ヤマハ)を34ポイント差で追っている。今年は、新たにTeamHRC所属となったことや、マシンをCBR1000RRWに乗り換えたことなど新たな環境でスタートしたが、しかしシーズンイン直前のトレーニング中にケガを負ったことで、シーズン序盤から本来の調子を出せないでいたが、鈴鹿8耐と、その前のテストでマシンに乗り込んだことで、ようやくマシンと自分がフィットしてきた。

高橋「今回のレースは、野左根君が調子よさそう。地元コースだし、自分でも得意と言っています。けれど、僕もコンスタントにタイムを出せているし、アベレージがいいです。後半戦のチャンピオン争いに踏みとどまる意味でも、ここはきちんと勝負したいレース」

よくライダーが口にする「アベレージタイム」とは、レース全体のペースのこと。たとえば予選で、1周だけがむしゃらに走って好タイムを出すことができたとしても、レースは規定周回数を一番早く走り終えたライダーの勝ち。つまり、1周を無理やり1分00秒で走っても、次周からタイヤのグリップを使い果たして、タイムを1分01秒02秒03秒…と、どんどん落としてしまっては勝負にならないのだ。

高橋「決勝朝のフリー走行では、路面温度も下がってタイムが出しやすい条件でしたよね。トップタイムは獲りましたが、それ以上にユーズドタイヤで安定して速く走れるようになったことの方がいい調子だと思います」

決勝レース、高橋は絶好のスタートでホールショットを奪う。高橋の今シーズンのスタートはすばらしく、この8レース目で早くも7つ目のホールショットだ。唯一ホールショットを獲り逃がしたのが開幕戦もてぎのレース2で、他車に接触されてマシンが破損、ピットインからの再スタートを余儀なくされてしまったのだった。

高橋「スタートはもともと得意じゃなかったんですが、ニューマシンになって、スタートと、そこからのローギアの伸びが速くなりました」

好スタートを切った高橋に続くのは、津田拓也選手(スズキ)、野左根選手、渡辺一樹選手(スズキ)、中須賀選手といったメンバー。1周目から速いペースで先頭を行く高橋は、早くも2番手以降に0秒7ほどの差をつけて後方を引き離そうとする。

「序盤にペースを上げて、トップグループの台数を絞ろうと思ったんです。そうすれば、自分のコントロールでペースを作って、終盤に勝負できる」というのは、高橋のいつもの戦略。事実この日も、トップを行く高橋についてこれるライダーは、1台減り、2台減り、3周目にはほぼ高橋と中須賀選手、野左根選手の3人に絞られた。

高橋の背後に中須賀選手、少し間を開けて野左根選手、というトップ3。この3人から、レース中盤には野左根選手がペースを上げ、14周目に中須賀選手をかわして2番手に、さらに15周目には高橋をもかわしてトップに浮上。すぐに抜き返した高橋だったが、再び野左根選手にかわされ、これでトップ3は野左根選手‐高橋‐中須賀選手の順。

さらに17周目には、中須賀選手が高橋、野左根選手をかわしてトップに浮上すると、そのまま逃げきりにかかろうとする。

高橋「序盤は前に出て、トップグループの台数を絞って行けたのは予定通りでした。でも、朝のフリー走行の時と比べて、かなりコンディションが変わっていて、あのペースを再現できなかった。レース前半はペースを抑えて、レースをコントロールできていたんですが、そこから一度ペースを上げてみたとき、それでも後ろの2人はついてきたので、厳しいな、勝負は終盤だな、と思っていました」

コンディションの変化というのは、朝の時間帯よりも気温が上昇し、路面温度が10℃近くも上昇してしまったこと、さらに2&4レースということもあって、4輪のレーシングタイヤで走行したあとに残るラバーグリップが影響してしまったのだという。

高橋のレース中のベストラップは13周目。そのタイムは1分48秒900と、13周走ったタイヤでさえ、予選タイムを更新。しかし、この「一度タイムを上げてみた」タイミングでも、中須賀選手と野左根選手は離れず、15周目に野左根選手に、16周目に中須賀選手にかわされてしまう。

結局、レース終盤に高橋がペースを盛り返すこともなく、中須賀選手、野左根選手に続いて3位でゴール。今シーズン8レースで6回目の表彰台を獲得し、ランキングも単独2位に浮上。しかし、まだ優勝が、ない。

高橋「終盤、2人に抜かれたあとはもうなす術なく、という感じでした。」

シーズン序盤からは、セットアップも詰まって、自分の乗り方もうまくニューマシンに合わせられている、と高橋は言う。それでも勝ち切れないところに、現在の全日本ロードレースのレベルの高さがある。

高橋「次は2週間後に、もうオートポリス大会です。オートポリスは相性がいいし、好きなサーキットなので、今度こそマシンを仕上げて、優勝できるようにがんばります」

高橋の視線は、もう次のレースに向いているのだ。


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