全9戦で争われる今シーズン、そのちょうど折り返し点に位置しているのが、今回の第5戦東北大会です。会場の藤沢スポーツランドは、全日本モトクロスの開催地における有数のサンドコースで、林間を駆け巡るアップダウンに富んだレイアウトを特徴としています。
予選が行われた土曜日は快晴でしたが、決勝日の空は朝から雲に覆われ、午後になると時折り強く降る雨の影響でマディコンディションとなりました。サンドコースの中にも部分的に硬質土があり、ウエットで滑りやすい路面へと変化しました。
ヒート1では、第3戦で負ったケガの影響で前戦を欠場した田中雅己(TEAM NAKAKI Honda)がホールショット。しかし田中は、ミスで大きく後退しました。Team HRC勢はやや出遅れるも、混戦の中で積極的に順位を上げ、成田亮が4番手、山本鯨が6番手で1周目をクリアしました。すると2周目には、山本が星野優位(KTM)をパスし、成田に次ぐ5番手にポジションを上げました。
レース序盤、トップの小方誠(カワサキ)から山本までの5台が、6番手以下を引き離しながら縦に長いトップグループを形成。この中で成田は、3番手の平田優(ヤマハ)に迫り、山本はなかなか前との距離を縮められずに順位をキープしました。そして6周目、成田が平田をパス。勢いに乗るとさらに、2番手の新井宏彰(カワサキ)に近づきました。
8周目、成田は新井を抜いて2番手に浮上。しかしこの段階で、トップの小方には約9秒のリードを築かれてしまっていました。レース後半、山本はペースが落ち始めた新井と平田をパスして、ラスト4周となった14周目には3番手に。この間に、成田は約8秒先行しました。そしてレースは、優勝の小方に次いで成田が2位、山本が3位となりました。
雨の影響を受け、路面コンディションがかなり悪化した状態でスタートしたヒート2では、成田が好スタートを決めました。さらに山本が続き、両者が最終ラップまで激しいバトルを演じた予選レースと同じように、Team HRCが1-2態勢を築きました。2周目、成田と山本はほぼ同じペースで走り、両者の差は約2.5秒。この2人に追従できたのは平田だけで、4番手以下は大きく遅れました。
3周目、成田はこのヒートの最速ラップタイムを叩き出し、リードを約4秒に拡大。しかし、次周は山本の方が速く、再び両車の間隔は約3秒に縮まりました。5周目あたりから平田が大きくペースを落とし、これで成田と山本のマッチレースに。5周目には山本がさらに距離を縮めるも、次周にミスで大きくタイムを落とし、成田のリードは約8秒となりました。
7周目以降、悪い路面コンディションが影響して成田も大きくタイムを落とす周回が多く、10周目には山本が2秒以内まで近づきました。そして、2人がこの差をほぼキープして迎えたラスト2周の12周目、成田がまさかの転倒。これにより山本が先行して勝利を収め、復帰に時間を要した成田は4位でゴールしました。なおポイントランキングでは、小方が今大会のヒート2で9位に終わったため、山本がトップに立ちました。
山本鯨(IA1 3位/優勝)
「いろんな条件が重なり、ヒート1はいいライディングができませんでしたが、そういう状態でも表彰台圏内までは追い上げられました。ヒート2はマディのレースとなり、ラインを探る上では後ろを走っている方が圧倒的に有利な状況でした。そのため、成田選手の後方で様子を見ていたら、成田選手の思わぬ転倒でラッキーな勝利を得ました。そのままの状況だったら、最終ラップで勝負を挑むつもりでした。3カ所ほどを勝負ポイントに想定していました。前戦からのインターバルで、チーム一丸となって勝てる流れを作ってくれたことに感謝しています。今大会の結果や走りに満足しているわけではないので、次戦までのインターバルを有効に使って、勝てるライダーになりたいです」
成田亮(IA1 2位/4位)
「今大会の会場では多くの人に、身体が締まったというようなことを言われました。確かに、前戦からのインターバルには石垣島で自転車に乗ったりしていましたが、自分としてはあまり変わった意識はありません。それよりも、マシンの仕様を大きく見直したことで、楽に乗れるようになり、これで勝てると思っていました。ヒート1は、スタートで出遅れたのが敗因と明確だったので、ヒート2ではスタートを決めて、絶対にこの大会で全日本通算150勝を達成しようと思っていました。そしてスタートが決まり、トップを走れていたのに、自分のミスで恥ずかしい結果になってしまいました。次戦までまた1カ月以上の間があるので、いろんなことを楽しみながら取り組んで、地元大会の両ヒートで勝ちます」
芹沢勝樹 | Team HRC監督
「前戦から1カ月以上のインターバルを利用して、勝利を得るための課題にチーム一丸となって取り組んできました。予選で成田と山本がトップ争いを演じて1-2となったことで、まずはその取り組みが間違っていなかったことを実感しました。ヒート1はスタートの出遅れが響きましたが、ヒート2では山本が勝利を収め、ラスト2周まで再び1-2で走れました。成田の転倒は残念でしたが、内容は悪くなかったと思います。また今大会では、第3戦に続いてIA2に勝谷武史をスポット参戦させました。新型マシンのプロトタイプの実戦テストが目的でした。ヒート2では、飛び石が当たって負傷したようで、本人はすぐに病院へ検査に向かいましたが、ヒート1の優勝により、第3戦のようなハード路面だけでなく。今回のコースのようなソフト路面でも、マシンポテンシャルが高いことを確認できました」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 17 | 33'19.565 |
2 | 1 | 成田亮 | ![]() | 17 | +00'08.470 |
3 | 400 | 山本鯨 | ![]() | 17 | +00'24.390 |
4 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 17 | +00'26.870 |
5 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 17 | +00'30.848 |
6 | 166 | 星野優位 | KTM | 17 | +00'58.454 |
7 | 45 | 大塚豪太 | ![]() | 17 | +01'01.629 |
8 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 17 | +01'04.134 |
9 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 17 | +01'39.109 |
10 | 113 | 田中雅己 | ![]() | 17 | +01'46.275 |
14 | 09 | 小野千成 | ![]() | 16 | +1Lap |
16 | 19 | 長門健一 | ![]() | 16 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 400 | 山本鯨 | ![]() |
13 | 32'58.793 |
2 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 13 | +00'06.528 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 13 | +00'10.761 |
4 | 1 | 成田亮 | ![]() | 13 | +01'06.375 |
5 | 166 | 星野優位 | KTM | 13 | +01'23.888 |
6 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 13 | +02'05.086 |
7 | 15 | 鈴木正明 | スズキ | 13 | +02'08.312 |
8 | 45 | 大塚豪太 | ![]() | 13 | +02'14.049 |
9 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 13 | +02'20.887 |
10 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 13 | +02'30.862 |
11 | 113 | 田中雅己 | ![]() | 12 | +1Lap |
13 | 19 | 長門健一 | ![]() | 11 | +2Laps |
15 | 09 | 小野千成 | ![]() | 10 | +3Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 400 | 山本鯨 | ![]() | 209 | |
2 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 206 | |
3 | 1 | 成田亮 | ![]() | 201 | |
4 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 176 | |
5 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 146 | |
6 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 133 | |
7 | 166 | 星野優位 | KTM | 132 | |
8 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 121 | |
9 | 45 | 大塚豪太 | ![]() | 115 | |
10 | 15 | 鈴木正明 | スズキ | 88 | |
13 | 117 | 馬場大貴 | ![]() | 67 | |
14 | 113 | 田中雅己 | ![]() | 65 | |
16 | 19 | 長門健一 | ![]() | 52 | |
18 | 09 | 小野千成 | ![]() | 36 | |
21 | 72 | 村上洸太 | ![]() | 23 |