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inside HPD〜語り継がれるアメリカン・ホンダ・レーシング・スピリット
vol.4堀内大資(Daisuke Horiuchi)Hondaパフォーマンス・ディベロップメント(HPD)チーフ・エンジニア
「刺激的な栃木研究所でのトレーニング」

エンジン開発のために採用した新しいスタッフを指導したのは、私を含めて栃木研究所でCARTのエンジン開発に携わってきた3人の日本人でした。毎日一緒に仕事をしながらHondaのやり方を学んでもらったわけですが、ある程度解ってきたところで、その時々に必要なメンバーをトレーニングのために栃木研究所へ連れて行きました。

CARTをやっていた頃にも、エンジンの組み立てやテストの仕方を勉強してもらうためにHPDから栃木へ行ってもらいましたし、海外の他の研究所や工場でも同じように日本へ行って学ぶ機会があるんです。もちろん、ほとんどのスタッフは初めての日本で、Hondaで最大の研究所ということもあり、かなり刺激になるのは言うまでもありません。

CART時代からスタッフが栃木研究所へトレーニングに行っていました。(写真はHPD内部) CART時代からスタッフが栃木研究所へトレーニングに行っていました。(写真はHPD内部)

本人には必ずテーマを与えて、ひとつの開発の仕方を学んでくることになるのですが、トレーニングとはいえ、ただ話を聞きに行くだけではギブ・アンド・テイクにならない。そこで、こちらで考えていることを栃木のスタッフに説明して、ディスカッションをやって初めて勉強になると説明します。我々は引率するだけ。着いたらあとはお任せです!(笑)。

だいたい1週間か2週間にわたって、日本の伝統的なやり方を学んでもらうのですが、おもしろいことに栃木のスタッフにも刺激を与えることができるんです。なにしろ、日本の研究所はなかなか外の物を入れられないというか、その世界だけで物を作りがちになってしまう。そこへ考え方が違うアメリカ人が突然入ると、全く違う発想が出てきたりします。

僕自身も、新しいスタッフに指導しながら、ずいぶん多くのことを学びました。「あ、こういう見方や、考え方があるんだ」ということで、日本人ではなかなか思いつかないようなことがたくさんありました。そういったアメリカと日本の交流が始まってから、すでに5〜6年は経っているので、これも大きな成果のひとつになっていると思いますね。

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