モータースポーツ IRL インディカー・シリーズ松浦孝亮のだからインディはおもしろい!
松浦孝亮の「実感篇 だからインディはおもしろい!」

vol2
最大で体重の5倍の力が右下ばかりにかかる。
だから体の片側だけが筋肉痛になる。

フェニックスなんかのショートオーバル(全長1マイル、およそ1.6km)では、体にかかる遠心力(横G)が5Gにもなる(1Gで体重と同じ重さがかかるため、5Gでは体重の5倍の重さがかかる。体重50kgの人で250kgのお相撲さんに乗っかられているのと同じことになる)。
オーバルコースは内側へ向かってバンク(傾斜)がついていて、そこを張り付くように走るので、遠心力が真横ではなく右下にかかる感じ。このGのかかり方は今まで経験がないものだった。
F1の横Gもすごいけど、コーナーを抜けるのはほとんど一瞬だからね。インディは、F1の最大クラスのGがF1より長く、しかも長いコーナーでは常にかかる。だから、Gを受けながらの操作が長いし、接戦が多く周囲に他のマシンが近くにいることが多いから、風が乱れて急にハンドリングが乱されたりする。そんな状況で闘っているので、思わぬアクシデントも起こりやすいんだ。
また、レースの翌日、体の片側だけが筋肉痛になってしまうのもインディの過酷なところ。首などはパッドをあてがってはいるけど、自分でも支えるので筋肉痛になる。あと、ステアリングを左にばかり切るので右の腕だけ凝ったり、体を支える右の腿が張ったりする。だから、他のレース以上に体を鍛え抜かないととうていやっていられない。インディは過酷なレースだよ。
強烈なGを、バンク走行中ずっと受けながら、たとえばマシンが2〜3台並んでいる間を、タイヤとタイヤが接触しそうになりながらすり抜けていく。肉体的に過酷な条件下で、そんな繊細なドライビングが必要になるところがインディの厳しさで、レースを観る側にとってのおもしろさなんだ。


  BACK page1page2page3 NEXT
モータースポーツ IRL インディカー・シリーズ松浦孝亮のだからインディはおもしろい!
INDEX