インディカーシリーズ第3戦はアメリカ南部のアラバマ州バーミンガムでのHondaグランプリオブアラバマです。10回目の開催となるレースは、もう随分と地元に定着し、緑豊かなアップダウンに富むバーバーモータースポーツパークには今年もとても多くのファンが集まりました。
雨の心配もされた週末でしたが、予選、レースを含め、インディカーの走行はすべてドライコンディションで行われました。全長2.3マイルのテクニカルなサーキットを90周する決勝レースでポールポジションからスタートした佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は、最初のコーナーに到達するまでに予選2位だったチームメイトのグレアム・レイホールに十分な差をつけてトップを守り、そこからのレースを完全に支配下に置きました。
3ストップ作戦を選んだ佐藤琢磨は、ライバル勢より明らかに速かった上に、非常に安定した走りを続け、2回のピットストップを終えた後もトップを維持。その後に1台のマシンによるアクシデントで出されたフルコースコーションは彼にとっては少し早いタイミングでしたが、それが大きな不利として作用することはなく、最後のリスタートをレースリーダーとして迎えることとなりました。そして、そこからゴールまでの25周は燃費をセーブしながらハイペースで走り続ける非常に難しい戦いとなりましたが、佐藤琢磨はトップを守り続け、チェッカーフラッグを受けました。90周のレースの74周でトップを走っての圧勝で今シーズン初、キャリア4回目の優勝を記録しました。この勝利で佐藤琢磨はシリーズポイントランキングの3番手に浮上しています。
佐藤琢磨は現在42歳で、2019年のインディカーシリーズに出場しているドライバーの中では上から2番目の年齢です。彼の勝利は、同じくHondaドライバーのコルトン・ハータが18歳で最年少ウインを記録した2週間後に達成されました。
2位でゴールしたのは予選3位だったスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)、3位は予選5位から2ストップ作戦を採用したセバスチャン・ブルデー(Dale Coyne Racing with Vasser-Sullivan)でした。2人のベテランによるバトルはゴール直前の10ラップで激しさを増しましたが、ディクソンがポジションを守り抜き、今シーズン早くも2回目の2位でフィニッシュしました。バーバーモータースポーツパークでのインディカーレース10戦すベてに出場しているディクソンは、今回が実に6回目の2位フィニッシュとなりました。そして、今季2回目の表彰台フィニッシュにより、シリーズポイントランキングは2番手を保っています。
佐藤、ディクソン、ブルデーのHondaドライバー3人がHondaグランプリオブアラバマで1-2-3フィニッシュを飾り、表彰台独占を果たしました。Hondaにとって、この勝利はサーキット・オブ・ジ・アメリカズでの第2戦に続く2連勝ともなりました。アレクサンダー・ロッシ(Andretti Autosport)は5位、ジェームズ・ヒンチクリフ(Arrow Schmidt Peterson Motorsports)は6位でゴールし、ヒンチクリフのチームメイトでルーキーのマーカス・エリクソンは7位、ライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)が8位でフィニッシュし、ゴール間近になってからパワー(シボレー)をパスしたルーキーのフェリックス・ローゼンクビスト(Chip Ganassi Racing)は3戦目にして2回目のトップ10入りとなる10位でレースを終えました。
次戦は今週末、舞台を西海岸のカリフォルニア州ロングビーチのストリートコースに移してのACURAグランプリオブロングビーチです。2013年に佐藤琢磨がインディカー初勝利を飾ったコースは、2017年にヒンチクリフ、2018年にロッシとHondaドライバーが2年連続優勝しており、ACURAがタイトルスポンサーになった本年も活躍が期待されます。
佐藤琢磨(優勝)
「今日の勝利を私に実現させてくれたチームオーナーたち、ボビー・レイホール、デイビッド・レターマン、マイク・ラニガンに深く感謝します。常に協力をし合って働いているチームメートのグレアム・レイホールにも同じく感謝します。今日は私たち2人のどちらもが高い競争力を発揮すると分かっていました。グレアムにトラブルが起こってしまったのは残念でなりません。しかし、こうして私が優勝できたので、チームにとっては素晴らしいレースとなりました。1回目のピットストップは少し時間がかかりました。それは私たちのカーナンバー30に新しいクルーがいて、彼らがまだ作業に完全に慣れていないところがあるからです。レースではこのようなことが起こる時もあります。私もミスをすることはあります。ミスをしてもいいんです。私たちは、あの後もトップでコースに戻ることができましたからね。そして、今日はマシンが本当に素晴らしかった。自分としては、ちょっとプッシュし過ぎた走りになっていたかもしれません。とても緊張感に満ちたバトルが続いており、私はとてもいいレースを戦うことができました」
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 30 | 佐藤琢磨 | ![]() | 90 | 1:55'46.8076 |
2 | 9 | スコット・ディクソン | ![]() | 90 | +2.3874 |
3 | 18 | セバスチャン・ブルデー | ![]() | 90 | +2.7933 |
4 | 2 | J.ニューガーデン | シボレー | 90 | +7.9721 |
5 | 27 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 90 | +8.8518 |
6 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 90 | +9.4356 |
7 | 7 | マーカス・エリクソン | ![]() | 90 | +13.7580 |
8 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 90 | +15.2506 |
9 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 90 | +22.7848 |
10 | 10 | フェリックス・ローゼンクビスト | ![]() | 90 | +26.2450 |
12 | 26 | ザック・ヴィーチ | ![]() | 90 | +33.9035 |
13 | 60 | ジャック・ハーヴェイ | ![]() | 90 | +34.9655 |
14 | 98 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 90 | +39.3119 |
15 | 19 | サンティノ・フェルッチ | ![]() | 90 | +40.0094 |
23 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 55 | +35Laps |
24 | 88 | コルトン・ハータ | ![]() | 51 | +39Laps |
順位 | ドライバー | エンジン | 総合ポイント | ||
---|---|---|---|---|---|
1 | J.ニューガーデン | シボレー | 125 | ||
2 | スコット・ディクソン | ![]() | 98 | ||
3 | 佐藤琢磨 | ![]() | 91 | ||
4 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 84 | ||
5 | コルトン・ハータ | ![]() | 81 | ||
6 | セバスチャン・ブルデー | ![]() | 72 | ||
7 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 71 | ||
8 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 66 | ||
9 | W.パワー | シボレー | 66 | ||
10 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 61 | ||
11 | フェリックス・ローゼンクビスト | ![]() | 60 | ||
13 | グレアム・レイホール | ![]() | 58 | ||
14 | ジャック・ハーヴェイ | ![]() | 57 | ||
15 | マーカス・エリクソン | ![]() | 51 | ||
17 | サンティノ・フェルッチ | ![]() | 47 | ||
19 | ザック・ヴィーチ | ![]() | 42 |