圧倒的なパワーフィールや力強いトルク感と高いレスポンス、そして常用域での扱いやすさを追求した599cm3・水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒エンジン。高回転化技術や吸排気効率の追求などの高出力化テクノロジーやスロットルバイワイヤシステムなどにより、コントローラブルな特性を実現し、さらに最新の排出ガス規制*にも適合させつつ89kW/14,250rpmの最高出力を達成している。
*平成32年(令和2年)排出ガス規制。
排気効率向上を図るために、排気管各部のパイプサイズを最適化し高回転高出力化に寄与。排出ガス浄化にあたり必要となるキャタライザーは、リアサスペンションなど周辺部品の搭載位置や形状を成立させながら環境性能も追求。さらに排気管各部の板厚を適正化することで重量増を最小限に抑えている。
アシスト機能がクラッチレバー操作荷重の軽減に貢献するとともに、スリッパー機能がシフトダウン時に発生するエンジンブレーキによるショックをやわらげるアシスト&スリッパー®クラッチ*を採用。トルクを伝える側と受け取る側双方のアシストカムをアルミダイキャスト製とすることで軽量化に寄与するとともに、双方のカム間のクリアランスを最適化し、クラッチレバーの操作フィーリングを追求している。
*「アシスト&スリッパ―」は株式会社エフ・シー・シーの登録商標です。
緻密な車体コントロールを実現するため、車体姿勢推定システムを搭載。BOSCH製6軸IMU(Inertial Measurement Unit)で、車体の角速度、加速度を検出し、Honda独自のアルゴリズムによる車体姿勢角演算を1秒間に100回というスピードで行い、車体姿勢推定の精度を追求。車体姿勢情報をABS、HSTC(Honda セレクタブル トルク コントロール)と組み合わせることで、走行状況に応じた「操る歓び」を提供する。
スロットルグリップの操作に連動するアクセルポジションセンサーを右側ハンドルスイッチハウジングに内蔵。アクセルポジションセンサー内のリターンスプリングとフリクション発生機構により、従来のケーブル式スロットルの自然な操作フィーリングを再現。違和感のない緻密なスロットル操作を可能としている。
走行状況やライダーの好みに応じた、走行フィーリングが選択可能なライディングモード。パワーセレクター(P)、HSTC(T)、ウイリー挙動制御(W)、セレクタブルエンジンブレーキ(EB)の各制御レベルを、あらかじめ設定された3モードに加え、ユーザー側が組み合わせを任意に設定できる2モードの中から選択可能。この「ライディングモード」は、路面状況の変化などに素早く対応できるよう走行中でも切り替えが可能としている。
ライダーのスロットル操作に対する出力特性を任意に選択できる5段階のパワーセレクター。スロットル開け始めのトラクションが掛かるまでの扱いやすさは各段階とも同じとし、さらに加速する際の出力特性を5段階で設定。6速全てのギアでピーク出力まで引き出せるレベル1から、各ギアでの出力を制御し、加速時の出力、レスポンスを最も穏やかにすることでスロットルのコントロール性をスムーズにしたレベル5までを設定している。
サーキットにおけるコーナーの立ち上がりなどでのアグレッシブなライディングに貢献するHSTC。介入レベルはライダーの好みに応じて9段階の切り替えとOFFが可能。レベル1から9の順に、トルクコントロール介入度が大きくなり車体挙動を穏やかにする設定としている。
●HSTCによる後輪スリップ緩和制御
車輪速センサーからの前後輪回転速度比率よりECUが後輪スリップレートとスリップ率を算出、スロットルバルブ開度をコントロールすることでスリップを緩和。旋回時のように車体姿勢が直進と異なる場合は、IMUの車体ロール角検出に基づきスリップをより緩和する方向にトルクをコントロール。また、ライダーがスロットルグリップを大きく開けて加速したい時は、グリップ開度情報に基づきスリップを許容する方向にトルクをコントロール。これらにより、ライダーのイメージに沿いながらも、安心感あるライディングに寄与している。
●HSTCによるウイリー挙動緩和制御
前後輪部にそれぞれ配置した車輪速センサーの信号から、ウイリー中に起こるフロントホイールの減速とリアホイールの加速を検知した場合、ECUはフロントタイヤが接地し車輪速が加速状態に転じるまでスロットルバルブ開度を下げてトルクを低減することでウイリーを緩和させる。
●セレクタブルエンジンブレーキ
ライダーが走行中にスロットルをもどし減速する際の、エンジンブレーキの強さを3段階から選択できる機能を搭載。
※HSTCはスリップやウイリー挙動をなくすためのシステムではありません。あくまでもライダーのアクセル操作を補助するシステムです。したがって、HSTCを装備していない車両と同様に、無理な運転までは対応できません。運転するときは急なアクセル操作を避け、安全運転をお願いします。
クラッチレバーの操作不要で、シフトアップ/ダウンができるクイックシフターを標準装備。オートブリップ機能によりスムーズで素早いシフトチェンジを可能とし、長距離運転でのライダーのストレス低減にも貢献する。