Moto3ジュニア世界選手権エストリルのパルクフェルメでの記念撮影。左が2位の真崎、右が3位の小椋。彼らはMotoGPルーキーズカップでも活躍している

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アジア・タレント・カップの次に位置するMoto3ジュニア世界選手権
世界グランプリMoto3クラスの登竜門として位置づけられており
アジア・タレントチームが参戦している
エストリルで開催された第5戦ポルトガルラウンドでは
アジア・タレントチームのニ人のライダーが表彰台を獲得した

イデミツ・アジア・タレント・カップ(IATC)で優秀な成績を収めたライダーの次の舞台がMoto3ジュニア世界選手権だ。アジア・タレント・カップがスタートした翌年より、アジア・タレントチームが結成された。

現在のMoto3ジュニア世界選手権は、その名のとおり、世界グランプリMoto3クラス直下のシリーズとして、世界を目指す優秀な若手ライダーが参戦し、レベルの高い戦いを繰り広げている。そのため、グランプリレベルのワークスマシンでないと勝負にならないのが現状でもある。アジア・タレントチームにはホンダのワークスマシン、NSF250RWが供給され、チームスタッフも経験豊富な外国人スタッフがそろっており、グランプリを目指す環境が整っている。

アジア・タレント・カップ初代チャンピオンの鳥羽海渡、2代目チャンピオンの佐々木歩夢の2人は、アジア・タレントチームよりMoto3ジュニア世界選手権に参戦すると、優秀な成績を収め、今年から世界グランプリのMoto3クラスにフル参戦のチャンスをつかんだ。

今年のMoto3ジュニア世界選手権にはアジア・タレントチームから、真崎一輝(16歳/日本)、小椋藍(16歳/日本)、國井勇輝(14歳/日本)、ソムチャット・チャントラ(18歳/タイ)、アンディ・イズディハール(20歳/インドネシア)の5人のライダーが参戦中。彼らはスペインを中心にヨーロッパ各地を転戦しながら、世界グランプリ参戦に向けて経験を積んでいる。

ここまで5戦が終了したMoto3ジュニア世界選手権だが、7月23日にポルトガルのエストリルで開催された第5戦で、真崎が2位、小椋が3位と、共にMoto3ジュニア世界選手権で初表彰台を獲得した。Moto3ジュニア世界選手権では2016年に鳥羽が優勝、佐々木が表彰台を獲得した経験を持つが、IATC出身のニ人のライダーがそろって表彰台に立ったのは初めてのこと。國井はトップ集団で戦いながら転倒リタイア、ケガを負ってしまったが、3人がIATCで積んだ経験が、次のステップでも通用することを証明している。

Moto3ジュニア世界選手権は残り3戦5レース。IATC出身ライダーの活躍に期待がかかる。

IATC第4戦 マレーシアセパン・インターナショナル・サーキット 2017年7月27日-30日

レース1を独走、初優勝を飾ったカン・オンジュ。レース2も勝ち2連勝。MotoGPルーキーズカップでも活躍中のトルコ人ライダーだ

レース1を独走、初優勝を飾ったカン・オンジュ。レース2も勝ち2連勝。MotoGPルーキーズカップでも活躍中のトルコ人ライダーだ

  • レース1を独走、初優勝を飾ったカン・オンジュ。レース2も勝ち2連勝。MotoGPルーキーズカップでも活躍中のトルコ人ライダーだ

    レース1を独走、初優勝を飾ったカン・オンジュ。レース2も勝ち2連勝。MotoGPルーキーズカップでも活躍中のトルコ人ライダーだ

  • レース1の表彰台。左から2位のアヌア、優勝のカン・オンジュ、3位のサリム。カン・オンジュはIATC初優勝

    レース1の表彰台。左から2位のアヌア、優勝のカン・オンジュ、3位のサリム。カン・オンジュはIATC初優勝

  • レース2の表彰台。左から2位のデェニス・オンジュ、優勝のカン・オンジュ、3位の山中。オンジュ兄弟がワンツーを達成

    レース2の表彰台。左から2位のデェニス・オンジュ、優勝のカン・オンジュ、3位の山中。オンジュ兄弟がワンツーを達成

  • レース2はスタート直前に雨でディレイ。イコールコンディションを保つため、全車レインタイヤに履き替えてスタートを切った

    レース2はスタート直前に雨でディレイ。イコールコンディションを保つため、全車レインタイヤに履き替えてスタートを切った

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イデミツ・アジア・タレント・カップ第4戦マレーシアが、マレーシアのセパンサーキットで開催された。予選でポールポジションを獲得したのはトルコ人ライダーのカン・オンジュ。オンジュは土曜日に開催されたレース1で2位以下に4秒412の大差をつけてIATC初優勝を達成した。

2位にマレーシア人ライダーのアズロイ・アヌア、3位にインドネシア人ライダーのゲリー・サリムが入賞。日曜日に開催されたレース2はスタート直前にウエットとなり、全車レインタイヤに履き替えてスタート。カン・オンジュが2連勝を飾り、2位に双子の兄弟であるデェニス・オンジュが入賞、レース1で5位だった山中琉星が3位表彰台を獲得した。

チャンピオン争いでは埜口遥希がポイントリーダーをキープ。9ポイント差でデェニス・オンジュ、13ポイント差で山中が続く。國井勇輝はMoto3ジュニア世界選手権エストリルで負ったケガのため、今レースを欠場した。

第4戦 マレーシア レースリザルト

IATC出身ライダーたちの活躍を追う

今年の世界グランプリMoto3クラスには、IATC出身の4人のライダーが参戦している。

鳥羽 海渡と佐々木 歩夢、ナカリン・アティラプワパはアジア・タレント・カップ1年目から参戦したライダーで、鳥羽が初代、佐々木が2代目チャンピオン。アティラプワパは2013年のADC(アジア・ドリームカップ)参戦を経て、2015年にアジア・タレント・カップランキング4位を獲得。2016年のMoto3ジュニア世界選手権ではランキング17位に終わったが、鳥羽、佐々木と共に今年から世界グランプリ参戦のチャンスをつかんだ。鳥羽とアティラプワパはホンダチームアジアから参戦している。

ひと足先に世界グランプリフル参戦を果たしたノロディンは、2014年と2015年にアジア・タレント・カップに参戦。2015年はMoto3ジュニア世界選手権ランキング30位。2016年より世界グランプリMoto3クラスにフル参戦し、ランキング28位を得た。今年は佐々木のチームメイトでもある。

ルーキーが入賞圏内でフィニッシュすることすら難しいと言われる現在のMoto3クラス。オーストリアGPではノロディンがグランプリベストの8位入賞を達成。鳥羽、佐々木、アティラプワパの3人は最終ラップまで入賞圏内の15位を激しく争い、鳥羽が僅差で今シーズン2度目のポイントを獲得した。

第11戦オーストリアGP終了時点で、ノロディンがランキング19位、佐々木がランキング21位、アティラプワパがランキング22位、鳥羽がランキング24位と全員がポイントを獲得、佐々木がルーキー・オブ・ザ・イヤーのトップに立っている。

オーストリアGP決勝の9人による15位争いの接戦。27番が鳥羽、71番が佐々木、41番がアティラプバパト

オーストリアGP決勝の9人による15位争いの接戦。27番が鳥羽、71番が佐々木、41番がアティラプワパ