2017年のIATC上位ランカーの3名。左からランキング2位の埜口遥希、チャンピオンのデェニス・オンジュ、ランキング3位のカン・オンジュ。2018年は次のステップにも挑戦している

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今回はIATC卒業生の2017年の活動を報告しよう
IATCは世界で活躍するアジア人ライダーの育成を目指している
すでに4シーズンを終えて、IATC卒業生たちは
世界各地のレースで活躍を収めている
彼らの2017年の活躍を振り返ってみよう

IATC(イデミツ・アジア・タレント・カップ)は10月に行われたマレーシアラウンドでシーズンを終了しているが、IATCの先へと続くステップであるMoto3ジュニア世界選手権、世界グランプリもようやく長いシーズンを終了した。

2017年シーズンは、ATC初代チャンピオンの鳥羽海渡、2代目チャンピオンの佐々木歩夢が世界グランプリにフル参戦を開始したことが、IATCにとっての大きなトピックだった。

ATCシリーズ創設の目標が、世界に通用するアジア人ライダーを育てることにあり、CEV Moto3ジュニア世界選手権、MotoGPルーキーズ・カップを経て世界グランプリに到達したATC第一世代である2人の歩みは、なによりもATCが世界へとつながるレースであることを証明している。

さすがに世界最高峰のレースの1年目のシーズンは、ルーキーの2人にとって山あり谷ありの厳しいレースが続いたが、佐々木がベストリザルト7位、ランキング20位でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。鳥羽もベストリザルト10位、ランキング30位を獲得した。

この結果もCEV Moto3ジュニア世界選手権、MotoGPルーキーズ・カップで世界グランプリのコースを経験することができるIATCの育成プログラムの効果だろう。

そして、彼らに続くATC第二世代である真崎一輝、小椋藍もMotoGPルーキーズ・カップ、CEV Moto3ジュニア世界選手権で活躍を収め、真崎はルーキーズ・カップでチャンピオンを獲得。

これでルーキーズ・カップでは、2年連続IATC出身の日本人ライダーがチャンピオンとなった。また、真崎はバレンシアGPのMoto3クラスにワイルドカード参戦すると、グランプリデビュー戦で10位入賞という好記録を残した。

小椋はMoto3ジュニア世界選手権で1勝を記録、さらに2017年シーズンからCEV Moto3ジュニア世界選手権に参戦したIATC第三世代の國井勇輝もルーキーとして活躍を収めた。

2014年に始まり、4シーズンを終えたATC。第四世代とも言える2017年の上位ランカーたちは、先達が歩んだ同じルートで世界を目指す。そして、2018年、継続参戦に新規参戦のライダーが加わり、ATCは新たな歴史とライダーを育てていく。

グランプリで活躍するATC出身ライダーたち

世界グランプリMoto3クラスにはATC出身の4人のライダーがフル参戦。この内3人がルーキーとして1年目のシーズンを戦い終えた。フル参戦2年目のアダム・ノロディンがランキング17位と、ATC出身ライダーとしては最上位。ノロディンは18戦中7戦で入賞し、前年度のランキング28位から大きく前進した。ルーキーの佐々木歩夢はランキング20位を獲得。18戦中8戦で入賞し、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。ナカリン・アティラプワパは18戦中4戦で入賞しランキング25位。鳥羽海渡は2戦目にトップ10フィニッシュと好スタートを切ったが、中盤以降苦戦、入賞2回にとどまり、ランキング30位で1年目を終えた。4人のライダーは2018年シーズンもMoto3クラスに引き続き参戦しており、2年目、3年目のシーズンは飛躍の年となるはずだ。

佐々木歩夢

佐々木歩夢
ランキング20位(ルーキー・オブ・ザ・イヤー)
ベストリザルト7位(オーストラリアGP)

アダム・ノロディン

アダム・ノロディン

ランキング17位
ベストリザルト8位(オーストラリアGP)

鳥羽海渡

鳥羽海渡
ランキング30位
ベストリザルト10位(アルゼンチンGP)

ナカリン・アティラプワパ

ナカリン・アティラプワパ

ランキング25位
ベストリザルト10位(チェコGP)

ワイルドカード参戦の真崎が10位入賞

ワイルドカード参戦の真崎が10位入賞

真崎一輝が最終戦バレンシアGPにワイルドカードから参戦、真崎は2017年のMotoGPルーキーズ・カップ・タイトルを獲得、CEV Moto3ジュニア世界選手権でも活躍を収め、グランプリデビューのチャンスを得た。バレンシアでは18番グリッドからスタート、2番手争いの集団に加わり周回を重ね、グランプリデビュー戦で10位入賞を果たした。

CEV Moto3ジュニア世界選手権でもアジア・タレント・チームが活躍

CEV Moto3ジュニア世界選手権にはアジア・タレント・チームから真崎一輝、小椋藍、國井勇輝の3名に加えて、エーピー・ホンダ・レーシング・タイランドのソムキャット・チャントラ、アストラ・ホンダ・レーシング・チームのアンディ・イズディハールの計5名のATC出身ライダーが参戦。

真崎は、トップ争いの常連となり、勝利こそなかったものの2位1回、3位2回と計3度の表彰台に立ち、ランキング6位を獲得。並行して参戦したMotoGPルーキーズ・カップではチャンピオンを獲得した。

小椋はMoto3ジュニアでは1勝を記録するも、ケガによる欠場が響きランキング8位。國井もベストリザルト4位を記録するも、ケガによる欠場が響き、ランキング11位でMoto3ジュニア世界選手権参戦1年目を終えた。

イズディハールは5位がベストリザルトでランキング17位。2016年IATCチャンピオンのチャントラはケガによる欠場もあり、ランキング20位にとどまった。

小椋藍

小椋藍

ランキング8位

真崎一輝

真崎一輝
ランキング6位

國井勇輝

國井勇輝
ランキング11位

AP250ではCBR250RRを駆るサリムが王者に


AP250ではCBR250RRを駆るサリムが王者に

アジア選手権AP250クラスでは、インドネシア人ライダーのゲリー・サリムがタイトルを獲得、デビューイヤーでCBR250RRがチャンピオンに輝いた。サリムは2017年もIATCに参戦したが、メインのシリーズとなったのはAP250クラス。CBR250RRを生産するインドネシアのアストラ・ホンダのチームに所属するサリムにとって、CBR250RRをチャンピオンマシンとすることが、2017年の最大の使命だった。

サリムはADC(アジア・ドリーム・カップ)、全日本J-GP3、アジア選手権SS600、そしてIATCとさまざまなカテゴリーでレース経験を積んできた20歳のライダーだが、2017年シーズンは開幕3連勝、全6戦12レース中7勝を記録して、チャンピオンを獲得した。IATCではアジア選手権とスケジュールのバッティングしない11戦中9戦に参戦、2位1回、3位1回の表彰台を獲得し、ランキング7位となった。