アジアロードレース選手権(ARRC)の最終戦がタイのチャーン・インターナショナル・サーキットで開催されました。ここでの戦いがタイトル決定戦となり、スーパースポーツ600(SS600)はザクワン・ザイディ(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)が138点でランキングトップ。伊藤勇樹(ヤマハ)と羽田太河(RAMA Honda by NTS T.Pro Ten 10.)がともに4点差で追う展開に。また、4位のアズラン・シャー・カマルザマン(カワサキ)が10点差、アハマド・ユディスティラ(カワサキ)が28点差で続き、この4名にタイトルの可能性が残っていました。決勝は2レースが行われ、優勝者には25点、2位は20点、3位には16点が加算されます。
タイは乾季に入り、朝夕は過ごしやすいものの、日中は強い日差しが照りつけます。最終戦ということで、通常は金曜日からの走行が木曜日から行われ、各チームとライダーが、決勝に向けて精力的に走行を繰り返しました。結果、ポールポジションはアピワット・ウォンタナノン(ヤマハ)が獲得。ザイディはショートカットをしてピットに戻ったことから、ペナルティーとしてベストタイムが抹消。セカンドタイムが有効となったことで、8番手となってしまいます。9番手にラタポン・ウィライロー(A.P.Honda Racing Thailand)、10番手に羽田、11番手に名越哲平(MuSASHi Boon Siew Honda Racing)。13番手に山口辰也(A.P.Honda Racing Thailand)、16番手に山田誓己(RAMA Honda by NTS T.Pro Ten 10.)となりました。
レース1の決勝は、風の強いコンディションの中でスタートが切られました。カマルザマンが好スタートを切り、そのままホールショットを奪ってレースをリード。2番手にはウォンタナノンがつけ、チャランポン・ポラマイ(ヤマハ)、ティティポン・ワロコーン(カワサキ)が追いかけました。
2ラップ目、ウォンタナノンがトップに立ち、それをカマルザマン、ポラマイ、ワロコーン、アンソニー・ウェスト(ヤマハ)が追い、トップ集団を形成。その後方のセカンド集団では伊藤勇樹(ヤマハ)、デチャ・クライサルト(ヤマハ)、芳賀紀行(ヤマハ)、羽田、ユディスティラ、ザイディ、ウィライローが6番手争いを繰り広げました。やがて、この争いからクライサルトが抜け出し、7番手を争う芳賀、伊藤、羽田、ユディスティラ、ザイディ、ウィライローが接近戦をみせます。
終盤になると、トップ争いは激しさを増し、ライダーたちがその座を入れ替えながら周回を重ねます。また、セカンド集団もトップ集団に迫る勢いで、激しくポジションを入れ替えました。トップに立ったワロコーンが逃げますが、それをウェスト、ウォンタナノン、ポラマイ、カマルザマンが追いかけます。最終ラップ、最終コーナーで展開した激しい攻防で競り勝ったのはウォンタナノン。2位にウェスト、3位にワロコーンとなり、表彰台に上がりました。Honda勢はウィライローが8位、羽田は9位、ザイディは10位でチェッカー。山田は13位、山口は14位、名越はレース中盤に転倒、リタイアとなりました。
こうしてランキングトップはザイディ、2位が羽田でその差は3点、3位がカマルザマンでトップから5点差、14周目に転倒リタイアの伊藤は10点差の4位となり、タイトル決定戦となるレース2に挑みました。
レース2で飛び出したのはウォンタナノンで、それを追うのがポラマイ、カマルザマン、ワロコーン。序盤からウォンタナノンは逃げていき、2番手のポラマイに1秒の差をつけます。上位の3台はそれぞれ単独走行となりますが、後方からウェストがカマルザマンに迫ると3番手争いを展開し、さらにワロコーンと伊藤が加わりました。
最終的にはウォンタナノンが優勝。2位にウェスト、3位にカマルザマンが入りました。ザイディは7位、羽田は8位でした。そのほかのHonda勢は名越が13位、山田が14位、山口が15位となりました。
タイトル争いでは、ポイントを155点に伸ばしたカマルザマンがトップに。ザイディは153点で惜しくも2位、羽田は149点でランキング3位となりました。名越は11位、山口は12位、山田は13位でシーズンを終えました。
羽田太河(スーパースポーツ600cc 9位/8位)
「今回はタイトル争いがかかった大事なレースでした。日本で自分がやれると思うことはすべてやってきました。いつもよりもトレーニング量を増やして追い込んだつもりです。だから緊張はなかったし、いつものようにレースに挑めたつもりです。今回のレースは、タイトル争いに絡んでいないライダーたちがとても速かったです。でも、自分がやるべきは精一杯走ることだけでした。マシンセットを、いろいろと試行錯誤して詰めていきました。やるだけやったという気持ちなので、後悔はないです。もちろん、とても悔しいですが、チャンピオン争いができたことに感謝しています。それもチームのおかげです。ありがとうございました」
名越哲平(スーパースポーツ600cc リタイア/13位)
「フロントへの不安が消えずに、それを解消しようとレースウイークで取り組んできました。どこまで攻めていいのかをつかめない。そのインフォメーションを得られないことに悩んでいました。全日本ではブリヂストン、アジアではダンロップと、それぞれの特性を学んできました。それを考えた上でセットアップを進めて、いいペースで走れるようになったのですが、レース1で単独転倒をしてしまいました。なのでレース2は、いいペースだった予選のセットに戻して走ったのですが、やっぱり行ききれず、思うように走れませんでした。このシリーズを走らせてもらい、多くを経験できました。結果に結びつけることができなかったのが残念ですが、これを活かしていきたいです。ありがとうございました」
山田誓己(スーパースポーツ600cc 13位/14位)
「決勝日の朝のウォームアップまで順調にベストタイムを更新できていたので、今季最高のリザルトを残したいと思っていましたが、予選の順位の悪さが最後まで響き、ばん回できませんでした。自分なりに、路面コンディションやマシンの状態に合わせてライディングをアジャストしていったのですが、思うように順位を上げられませんでした。それでも、アジアロードのマシンやレースが分かるようになり、ここから自分の走りができるような気がするので、終わってしまうことがとても残念です。一年間、走らせていただき、ありがとうございました。感謝しています」
山口辰也(スーパースポーツ600cc 14位/15位)
「アジアロードレースへの参戦はA.P.Honda Racingさんやモリワキさんたちのおかげでかないました。自分のレースへの取り組みをチームのメンバーに見せ、また、メカニックさんのスキルアップに役立たせることが目的でしたが、市販マシンにスリックタイヤというマッチングに、一年間悩むことになりました。この難しいバランスのマシンで、なんとか上位にいきたいと、自分なりにさまざまな取り組みをしました。結果には残っていませんが、それによって、メカニックさんをはじめ、メンバーになにか得るものが残せたのならいいな、と思います。自分の経験という意味でも大きな一年だったと思います。この機会を与えていただいことに感謝しています。ありがとうございました」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 22 | A.ウォンタナノン | ヤマハ | 18 | 29'58.173 |
2 | 13 | A.ウェスト | ヤマハ | 18 | +0.180 |
3 | 100 | T.ワロコーン | カワサキ | 18 | +0.315 |
4 | 65 | C.ポラマイ | ヤマハ | 18 | +0.497 |
5 | 25 | A.シャー・カマルザマン | カワサキ | 18 | +1.391 |
6 | 24 | D.クライサルト | ヤマハ | 18 | +2.602 |
8 | 59 | ラタポン・ウィライロー | Honda | 18 | +13.026 |
9 | 23 | 羽田太河 | Honda | 18 | +13.134 |
10 | 21 | ザクゥアン・ザイディ | Honda | 18 | +13.443 |
13 | 17 | 山田誓己 | Honda | 18 | +29.525 |
14 | 104 | 山口辰也 | Honda | 18 | +29.877 |
15 | 16 | イルファン・アルディアンシャー | Honda | 18 | +42.695 |
16 | 123 | パサーウィト・ティチバーク | Honda | 18 | +56.435 |
17 | 14 | ブロック・パーソン | Honda | 18 | +1'13.219 |
18 | 69 | サラス・シャンカル・クマ | Honda | 18 | +1'32.137 |
DNF | 634 | 名越哲平 | Honda | 11 | +7Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 22 | A.ウォンタナノン | ヤマハ | 18 | 29'53.158 |
2 | 13 | A.ウェスト | ヤマハ | 18 | +2.391 |
3 | 25 | A.シャー・カマルザマン | カワサキ | 18 | +5.902 |
4 | 65 | C.ポラマイ | ヤマハ | 18 | +6.385 |
5 | 100 | T.ワロコーン | カワサキ | 18 | +6.498 |
6 | 24 | D.クライサルト | ヤマハ | 18 | +15.868 |
7 | 21 | ザクゥアン・ザイディ | Honda | 18 | +16.087 |
8 | 23 | 羽田太河 | Honda | 18 | +16.321 |
11 | 59 | ラタポン・ウイライロー | Honda | 18 | +20.653 |
13 | 634 | 名越哲平 | Honda | 18 | +35.831 |
14 | 17 | 山田誓己 | Honda | 18 | +36.079 |
15 | 104 | 山口辰也 | Honda | 18 | +36.980 |
17 | 14 | ブロック・パーソン | Honda | 18 | +1'22.210 |
18 | 69 | サラス・シャンカル・クマ | Honda | 18 | +1'32.063 |
19 | 123 | パサーウィト・ティチバーク | Honda | 17 | +1Laps |
20 | 16 | イルファン・アルディアンシャー | Honda | 15 | +3Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 25 | A.シャー・カマルザマン | カワサキ | 155 |
2 | 21 | ザクゥアン・ザイディ | Honda | 153 |
3 | 23 | 羽田太河 | Honda | 149 |
4 | 76 | 伊藤勇樹 | ヤマハ | 141 |
5 | 33 | A.ユディスティラ | カワサキ | 125 |
6 | 13 | A.ウェスト | ヤマハ | 110 |
9 | 59 | ラタポン・ウイライロー | Honda | 77 |
11 | 634 | 名越哲平 | Honda | 62 |
12 | 104 | 山口辰也 | Honda | 58 |
13 | 17 | 山田誓己 | Honda | 56 |
15 | 16 | イルファン・アルディアンシャー | Honda | 49 |
16 | 20 | ディマス・エッキー・プラタマ | Honda | 38 |
20 | 32 | 榎戸育寛 | Honda | 20 |
22 | 69 | サラス・シャンカル・クマ | Honda | 16 |
23 | 45 | シティサック・オンチャウィアン | Honda | 14 |
30 | 14 | ブロック・パーソン | Honda | 0 |
32 | 123 | パサーウィト・ティチバーク | Honda | 0 |