Round09アトランタ
2019年3月2日(土)・決勝
会場 : Mercedes-Benz Stadium
MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権第9戦が、アトランタで行われました。メルセデスベンツ・スタジアムは、昨年スーパークロスが初開催されたばかりの最新鋭施設。名勝負の場として語り継がれてきた、フルトン・カウンティ・スタジアム(1977年~92年)、ジョージア・ドーム(93年~2017年)に続く3世代目の会場になります。
昨年までは隣接するワールド・コングレス・センターが屋内パドックとして機能していましたが、今年からはジョージア・ドームを解体した跡地にチームのトランスポーターが並び、開放的なピット設営が可能となりました。Team Honda HRCを筆頭にSmartop/Bullfrog Spas/MotoConcepts Hondaなど、トップチームがそろう光景は壮観でした。今大会は250SXクラスがショーダウン(東西交流戦)として行われたため、Geico Hondaのテントにはウエストシリーズに参戦中のCRF250Rも並んでいました。
アトランタ特有の赤土で造成されたコースは、非常に深いフープスが難所でした。現地時間正午に始まったフリープラクティスからタイムドプラクティスに至るまで、ライダーたちはフープス攻略に腐心しながらペースアップを試みました。ケン・ロクスン(Team Honda HRC)は48秒524、チームメートのコール・シーリーは48秒755でナイトプログラムに駒を進めました。
前戦デトロイト大会の計時予選中に飛び石を受けて出走を見合わせたシーリーですが、今大会は予選ヒート2でトップ通過を果たしました。スタート・トゥ・フィニッシュというレース運びは、決勝への期待を募らせる会心のスタイルでした。
メインレースでは、ホールショットを決めたクーパー・ウェブ(KTM)に続き、ロクスンが2番手で1コーナーを立ち上がりました。そのあとのリズムセクションでタイミングを崩したロクスンは、1周目6番手に後退しましたが、レース中盤はトップ5を走行。前走者の転倒によってポジションを上げると、終盤は単独走行となり4位でフィニッシュしました。
シーリーはメインレースのスタートに失敗し、ほぼ最後尾からのばん回を強いられました。ゲートから1コーナーまでストレートが長いレイアウトでしたが、1コーナーのアウトにスピードを乗せて入ったロクスンとは対照的に、シーリーは隣りのマシンと接触して出遅れたため、早めのブレーキングでインを突こうとしました。差が広がり、わだちが増えた路面状況を読みながら、慎重に追い上げたシーリーは、10位でチェッカーを受けました。
全17戦からなるシリーズのちょうど折り返しにあたる今大会を終え、ロクスンはポイントランキング2位を維持しています。次戦はデイトナですが、ライダーが住むフロリダ州クレアモントにチームスタッフ全員が集まり、1週間かけてマシンテストを行う予定です。
ケン・ロクスン(4位)
「風邪を引いていたこの2週間と比べると、アトランタに来てからはずいぶん体調がよくなりました。今回はサスペンションセッティングを少し変えてみたので、実戦で試すことを楽しみにしていたのですが、それにしてはコースが難しすぎました。軟質の路面にはたくさんのわだちができてしまい、マシンの挙動を100%読みきれないときに、なにか新しいことを試すのはリスキーでした。予選ヒートレースのスタートはまあまあでしたが、1コーナーで挟まれて取り乱してしまい、7位でフィニッシュするのが精一杯でした。メインレースでは外寄りのグリッドからうまくスタートできましたが、最初のリズムセクションでほかのライダーと同じような飛び方をすることができず、6番手までポジションを失ったのです。5番手まで上がったあとは、アーロン・プレシンガーの攻略に手こずり、時間をかけすぎました。彼が転倒してからはトップ3との間隔が離れていて、なにもできませんでした。ただ4位のポジションを守り、手堅く走り切りました。次週はデイトナですが、久しぶりの出場になるので楽しみにしています」
コール・シーリー(10位)
「先週は本当にたいへんでした。飛んできた大きな石が当たり、胸が腫れていたのです。胸の筋肉を使おうとすると痛みがひどくなり、とても走れる状態ではありませんでした。家に帰ってから3日続けて治療を受けましたが、その中でも冷凍療法が効果的だったようで、腫れも痛みも引いて身体を動かせるようになりました。火曜日にはバイクに乗れましたが、確認する程度の軽いライディングにとどめ、水曜日に思いきり練習しました。今日はいろいろとポジティブな収穫がありました。予選ヒートレースでは好スタートのあと、早めに全員をかわすことができたのでうまくいきました。コースがトリッキーでしたので、ミスをしないことが大事だと考え、ベストラップにチャレンジし続けることに集中しました。すべてはメインレースに備えた心がけです。決勝のスタートでは、気持ちのスイッチがなかなか入らなくて苦労しました。昨年の大ケガからちょうど1年ということで神経質になっていたのかもしれませんが、普段の自分だったらそれをモチベーションに変えられます。ただ今夜に限っては、レース前の元気が足りなかったようです。スタートではディーン・ウィルソンと接触したあとにうまく加速できず、最初の2周は最悪でした。あちこちでミスを連発しましたし、まるで自分を相手に戦っているようでした。サインエリアに戻ってきて、P-19と書かれたボードを見たとき、これは何とかしないとまずいと思って、ひとまず10位を目指すことにしました。ペースを上げてトップグループと同等のタイムを出せるようになると、とにかく集中して可能な限り前にいるライダーを抜きました。10位に到達したあとは時間切れでそこまででした。それでもハッピーです。普段なら終盤になると勢いを失いがちなのに、今夜は最後まで集中を切らさずに走り切れたからです。レース序盤の弱点を見つめ直して、パズルを最後の一片まで完成させることができたら、もっと好成績を残せるだろうと信じています」
エリック・キーホー(Team Honda HRC監督)
「どういう訳かケニーは元気がありませんでした。なぜかわかりませんが、今日は早い段階から不調で勢いがないように感じました。メインレースでは巻き返して4位に入り、ランキングでは2位につけています。だから我々はそこをポジティブに捉えないといけません。コールは非常に乗れていました。走りは10位というリザルト以上の内容でした。ヒートレースの勝利で自信をつけ、メインでも力強いパッシングを繰り返しました。来週はデイトナですが、我々はカリフォルニアに帰らずフロリダにとどまってテストをします。以前のデイトナはコースのほとんどがサンドでしたが、最近は硬めの粘土を搬入するようになりましたので、通常のスーパークロスコースの土質に近くなりました。以前はデイトナに備えた専用セッティングが必要でしたが、最近はそうでもありません。来週のテストでは新しいことをいくつか試しますが、それほど大きな変更にはならないだろうと思います」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | C.ウェブ | KTM | 21'04.957 |
2 | 4 | B.バゲット | KTM | +01.167 |
3 | 25 | M.ムスキャン | KTM | +02.141 |
4 | 94 | ケン・ロクスン | +18.325 | |
5 | 7 | A.プレッシンガー | ヤマハ | +20.418 |
6 | 3 | E.トーマック | カワサキ | +23.935 |
7 | 10 | ジャスティン・ブレイトン | +34.863 | |
10 | 14 | コール・シーリー | +1Lap | |
16 | 800 | マイク・アレッシ | +1Lap | |
18 | 41 | ベン・ラメイ | +2Laps | |
21 | 412 | ジャレド・レッシャー | +5Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | C.ウェブ | KTM | 199 |
2 | 94 | ケン・ロクスン | 186 | |
3 | 25 | M.ムスキャン | KTM | 182 |
4 | 3 | E.トーマック | カワサキ | 177 |
5 | 4 | B.バゲット | KTM | 142 |
6 | 15 | D.ウィルソン | ハスクバーナ | 137 |
10 | 10 | ジャスティン・ブレイトン | 113 | |
11 | 14 | コール・シーリー | 107 | |
15 | 42 | ビンス・フリージー | 65 | |
18 | 41 | ベン・ラメイ | 47 | |
22 | 805 | カーレン・ガードナー | 26 | |
23 | 27 | マルコム・スチュワート | 17 | |
29 | 800 | マイク・アレッシ | 7 | |
34 | 941 | アンジェロ・ペレグリーニ | 4 | |
36 | 99 | オースティン・ポリテッリ | 3 | |
38 | 412 | ジャレド・レッシャー | 2 |