OWNER'S  REPORT

杣夫の末裔 さん

(20代/男性/愛媛県)
2010年2月21日 投稿
PCからの投稿

車種名:S2000
タイプ/グレード:
購入年度:2008
[総合評価]
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S2000S2000
テーマ1 走行性能
購入し、実際に走らせてみると、考えていた以上に走行性能は過激であり、私の手には余るものがあった。しかし、予想通り、オープンにしてハイカムを駆使して走る気持ち良さは、何物にも代えられないものがあった。応答性の高いダイレクトな操縦性からもたらされるその快感は購入から今に至るまで変わらない。
少しずつ車に慣れてくると、この車を操縦するコツは一にも二にも、丁寧な操作を行い、車が嫌がるような操作を行わない事だと悟った。必要最小限のアシストデバイスしか付属していないため、私が下手な操作を行うと、容赦なく車の方が「下手くそ!」と拒否してくるため、理想的な安定操縦を目指す努力は続いている。

最初はエンジンの性能に目を奪われがちだったが、乗っていくうちに、もちろんエンジンは凄いがそれと同等に、車体の造りやトランスミッションを含む駆動部の剛性が高い走行性能を支えているという事に気付いた。
ある時の同乗者をして「気味悪いぐらいコーナーリングが安定している車」と言わしめた性能の源泉は、ビハインドアクスルレイアウトを軸とした理想的な重量配分と、ハイエックスボーンフレームを中心とした車体性能によるものと言っていいだろう。

この車は尋常ではないエンジニアの拘りをもって造られたであろう機械機構の集合体であり、それを以って光と大気を五感で感じながら走行することができる。その走行は何時でも瑞々しく刺激的だ。これからも大切にメンテナンスを行い、動かなくなるまで何処までも一緒に走ろうと思う。
テーマ2 外観
デザイナーの方にはかなり失礼になるが、購入前はオーソドックスで特徴がないのが特徴のフォルムなのかと思っていた。しかし、いざ実車を見て驚き反省した。遠目には分からないが接近してみるとディテールは精緻で各部のデザインは到底、単純なプレス成形では実現不可能と思われるメリハリに富んだものだったからだ。
特に、フロントフェンダーからドアを通ってリアへ向かっていくラインの造詣の美しさは見事なものがある。後にTDラインの映像が公開され、製作模様が分かって再び驚く事になるのだが、製作にあたった技師の皆様には本当に有難うございましたと言いたい。

純正ハードトップもボディと合わせた意匠のキャラクターラインが入っており、このアルミの成形は実は大変なのではと思っていたが、これもまた職人の方の手によって作られたものであることが分かり驚いた。走行する時は外す事が大半ではあるが、大切にしていきたい。
そして、塗装であるが、実は当初私は青系のカラーが欲しいと思っていたのだが、シルバーストーンメタリックの車体を試しに見に行って、その魅力に一発でノックダウンされてしまった。とにかく色が深い。シルバーで吸い込まれそうな色と思うなんてそうは無い。前述のデザインといい、如何にも日本的な奥ゆかしさを秘めた美しさだ。それだけに、S2000はカタログを含め、写真写りで損をしていると思う。
テーマ3 燃費/経済性
燃費に関しては、購入からこの方、普通に乗っている分には常にカタログ値同等以上の数値をマークしている。ハイカムを使わずに走って、15km/Lで走った事もある。これだけの性能を秘めたエンジンで、しかもハイグリップタイヤを使用しているのに、ハイオク仕様ではあるが通常の2Lエンジンと大差ない燃費をマークするのは流石はVTECである。
ただ、一度乗ると何処までも乗って行きたい気分になり、走行距離がついつい伸びてしまいがちなので、自制に苦労している。

ただ維持に関しては、タイヤはそれなりのグレードのものを履かせているし、走行距離に関わらず最低半年毎にエンジンオイルは交換している。消耗品代は普通の乗用車より高く付くし、何より任意保険の料率が高止まりしている(ハンドリングは素直で、走安性も十分に担保されていると思うのだが、何故だろうか)。
何はともあれ、経済性は良いに越した事は無いが、私はマニュアルトランスミッションで走りが良くなければ車として認められない。経済性に全く関係ないことで申し訳ないが、男子に生まれたからには、リアルスポーツカーのステアリングを一度は手に取るべきだと主張しておく。
ご購入される前にこのクルマにどんなイメージをお持ちでしたか?デザイン、性能等で期待されていたことを含め、お聞かせください。
S2000という車は、大量生産メーカーが作成している車としては、良い意味で常識外れの部分ばかりだという印象を持っていた。
車体は殆ど専用設計のパーツで構成されており、しかも、それらを組み立てるのはロボットラインではなく、熟練した技師達である事。そして、直列4気筒エンジンを搭載するオープンスポーツとしては破格の性能を持っているという事に強く魅力を感じていた。

丁度、私が大学入学年度に発売された車だったが、当時は乗ってみたいと思ったものの、価格の面で厳しく、こんな車には到底乗れないだろうなという印象だった。しかし、社会に出て失敗を重ねつつも無我夢中で駆け抜け5年が経ち、ふと振り返ると買えない車ではなくなっていた。スポーツカーに乗りたいという学生の時の情熱が蘇り、購入を決意した。

購入検討時、AP1の後期モデルが欲しいと思っていたのだが、実際はひょんな事で出会った不思議なぐらい綺麗な最初期型に一目惚れしてしまい、買ってしまった。9000rpmを許容するエンジンの性能とソリッドな設定の足回りを持つ型でルーフを開け放って走行すれば、気持ち良いのは間違いないとも思ったからだ。
デザインに関しては、オーソドックスなウェッジシェイプでもう少しアグレッシブさがあっても良いのではと思っていたが、長く乗るなら却って飽きが来なくて良いかも知れないとも考えていた。