OCEAN MASTER STORY

世界のプロが選んだHonda

世界で活躍するHonda船外機の
知られざるストーリー

2016.01.25
海を走るレーシングカーデザイナー

こだわりのボートライフを楽しむ、
由良拓也氏。

さて釣りの話だ。
用宗フィッシャリーナを出て15分。
BF250の出力が絞られ、由良氏の目が愛用するLOWRANCE(ローランス)のGPS魚探に向けられた。
同乗するのは由良氏の釣り仲間の原俊彦氏(44)。ふたりでポジションを確認し合い、満を持して自作タイラバが登場。
「深さは50〜60mくらい。底までタイラバを落として、ゆっくりと巻き上げてくる。エンジンはアイドリングで、船は潮任せ」と由良氏から説明があった。さらにタイラバは、縄張り意識の強い鯛の習性を利用した釣りであることも教えられた。
「自分の縄張りに変なやつが侵入してきたと鯛を振り返らせれば、こっちの勝ち」なのだそうだ。腰ミノを巻いた目玉おやじにしか見えないタイラバだが、水中で曳かれると妖怪然とした不気味な魚に見えるから面白い。
由良氏がこの日使ったタイラバ。
原氏がしとめた40センチほどの真鯛。立派なサイズだ。
最初に真鯛を揚げたのは原氏だった。40センチほどの魚体で、食卓に乗ればかなり立派なやつだ。 その原氏からプロフィールをお聴きし、驚いた。
ラジコンレース界の名手としてその名は世界に知られ、元バスプロとしてトーナメントに記録を残している人だった。現在はバスプロを引退し、海釣りに転向。同時に用宗に船を置き、釣りを楽しんでいる。ルアーやロッドなどを製作するジャッカルという会社のテスターでもある。由良氏も「原さんは海を碁盤の目状に区切って、どのポイントにどういう魚がいるかデータを持っていますからね。凄いですよ」と脱帽。
「そのポイントに魚がいるとわかっても、絶対に釣り切ってしまわない」というのが原氏の釣り方のこだわりだ。
まず原氏に当たりがきた。
「きた!」と叫んだ由良氏のロッドが、大きくしなった。
ツナタワーのステップ周りが由良氏の釣りのポジション。コンソールのGPS魚探を覗き込めるし、ステアリングやスロットルにもすぐ手が伸ばせる。
みごと、立て続けに62センチ、60センチの二匹の巨大真鯛を釣り上げた由良氏。
その原氏に続けざまに真鯛がきた後だった。 潮に流された船の位置を修正した由良氏の竿が大きくしなり、同時にラインがもの凄い勢いで走った。
「きた!」と叫んだ由良氏の竿の先から流れ出るラインに目を凝らしていると、藍色の海の底から橙と白に塗り分けられたような魚体が上がってくるのが確認できた。真鯛だった。
魚体をメジャーで計ってみれば、なんと62センチ。驚いたことに、さらにこのあと由良氏は60センチほどの真鯛を釣り上げた。
全釣果は、由良氏が「生涯最大サイズ」の巨大真鯛を2匹。
原氏が30センチから40センチの真鯛を5匹とマハタを一匹。二人で8匹。時間にして3時間ちょっとの釣行の結果だ。レーシングカーデザインにおいては、その空力設計の素晴らしさから「彼には空気が見える」と評価される由良氏だが、連続して大物2匹を釣り上げるところを見せられた同乗者から、こんな囁きが聞こえた。「彼には泳ぐ魚が見える」と。
釣果、全8匹。左下の真鯛とその上の真鯛が由良氏の獲物。
短時間で生涯最大サイズの真鯛をゲットして、笑顔の由良氏。
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