VT250 - 1982.05

VT250F
VT250F
 
主な機構と装備

■バイスターター式スラント型VDキャブレター
スリムで高出力のV型エンジンにベストフィットする新設計、小型軽量のバイスターター式VDキャブレターを採用。フロート室内のジェット配置に工夫をこらし、制動、加速などの油面変化の影響を受けず、安定した性能を発揮します。さらにVDキャブレターならではの扱い易さ、低燃費も実現。
また、キャブレターのインテークポートからエンジンまでのエアの流れを直線的にし、優れた吸入効率を得ています。
 
★バイスターター機構
バイスターターレバーを作動させるとバイスターターバルブが開きます。スロットルバルブを閉じてエンジンを始動すると、バイスターター通路にエアが流れ、バイスタータージェットがガスを吸い上げ、マニホールドに吸入されます。
エンジン始動後、スロットルバルブを開くとメインエアジェットにかかる圧力は、バイスターター通路を通じてマニホールド側が負圧となります。メインエアジェットからのメイン通路へのエアの流れがなくなり、メイン系からの吐出されるガスは濃い状態となって、冷機時のリッチ化を補います。この結果始動直後の発進、加速もスムーズに行えます。
1] バキュームピストンはダイヤフラム式を採用
ダイヤフラムには、耐久性と温度変化により作動差の少ない0.3mmの特殊薄膜を使用。さらに、ダイヤフラムの破損を防ぐ保護機構も採用。
2] 特殊リンク機構により、従来の2連キャブと同等の同調性能を確保。
3] 転倒時にも、キャブ内ガソリンの流出を防ぐ、アンチガスフローシステムを採用。

バイスターター式スラント型VDキャブレター


■プロリンクサスペンション
リアサスペンションは理想的なサスペンション特性の得られるプロリンクサスペンション機構を採用。
 
★プロリンクサスペンションの作動と効果
プロリンク式リアサスペンションの作動は、リアアクスル部のストローク量に比較してクッションストローク量の変化割合が大きくなる特長があります。つまりクッションアームとコンロッドの作動により、リアアクスル部の動きが少ない範囲ではクッションストローク量が少なくなりますが、リアアクスル部の動きが大きい範囲になるにつれてクッションストローク量が大きくなるプログレッシブ(漸増的)な特性が得られる機構となっています。
また、リアフォークには高張力鋼板を使用した角形断面構造のものを使用し、高剛性を得ています。
プロリンクサスペンション
★バネ特性
従来構造のリアアクスル部におけるバネ特性は、荷重に対するアクスルストロークが比例した直線形となります。プロリンク式では2次曲線形のバネ特性となり、ストロークの小さい時は柔かく、ストロークの大きな時はより硬く作用します。
バネ特性
★減衰力特性
リアアクスルの動きに対するダンパーピストン速度の関係は、従来構造がほぼ一定の関係なのに対し、プロリンク式ではリンク機構を介することにより2次曲線形の特性となります。
アクスルストロークの小さい時は、ピストン速度が遅く減衰力が小さく作用し、アクスルストロークが大きい時は、ピストン速度が速くなり、減衰力が大きく作用します。
従ってアクスル位置におけるサスペンション特性は、軽負荷時のソフト性と強いショックを受けた時の耐ボトム性を両立させる理想的なサスペンション特性が得られます。また、プロリンク式サスペンションはショックアブソーバユニットの取付位置による効果があります。
 
(1)バネ下重量軽減効果となり、サスペンション特性と相まってホイールの路面追従性が向上します。
(2)重量物が車体中心に集中するため、ヨー方向の慣性モーメントが減少し、操縦特性が向上します。
(3)車体がスリムにできるためライディングポジションの向上が可能となります。
減衰力特性   減衰力特性



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