VT250 - 1982.05

VT250F
VT250F
 
主な機構と装備

■遊星ギア式チェンジ機構
従来のレバー方式やセクタ方式と比較して、機構全体をコンパクトにまとめることが可能となり、スリムなエンジン設計に寄与しています。

遊星ギア式チェンジ機構

★作動
本機構の特長としてシフトスピンドル←→ドラムシフター←→ギアシフトアームが同軸上に並ぶため、作動説明図では、シフトスピンドルを省略した形となっています。
シフトスピンドルは遊星ギア3個を持ったギアシフトアームおよび、自在に回転するシフトドラムストッパープレートと一体となってシフトスピンドルCOMP.を形成しています。そのため、シフトスピンドルの回転は、インターナルシフトギアプレートの歯とかみ合う遊星ギア3個を通してドラムシフターと一体のサンギアを回転させる運動に即座に変換されます。
ここでは、トランスミッションの6速→5速へのシフトダウンを例として作動説明を行います。
遊星ギア式チェンジ機構

●シフト開始
シフトペダルを押し下げる運動はリンクを介してシフトスピンドルを左回転させます。シフトスピンドルCOMP.は、シフトスピンドルを軸として左回転するため、3個の遊星ギアによってサンギアが左回転し、サンギアと一体のドラムシフターも同一の動きを示します。ドラムシフターの2個のラチエットパウルは、リングスプリングで外側へ押されているため、右側のラチエットパウルはシフトドラムの溝部にかかり、シフトドラムを左回転させます。左側のラチエットパウルはラチエットガイドプレートにより内側へ追い込まれます。
シフト開始

●シフト終了
右側ラチエットにより回転させられたシフトドラムは、ギア比の関係よりシフトスピンドル回転角度の4.75倍の回転角度をもって回転し、シフトを終了します。
シフトドラムは、ドラムストッパーアームにより動きを止めるとともに、シフトドラムストッパープレートにより凸部を止められるため、シフトの飛び越えを防止します。
シフト終了

●リターン行程

シフト終了後、シフトペダルを放すとシフトスピンドルCOMP.は、リターンスプリングで左回転をします。遊星ギアによってサンギアは右回転し、サンギアと一体のドラムシフターも同一の動きをします。シフトドラムは動きを止められているため、右側のラチエットパウルは溝部を外れ、左側のラチエットパウルはラチエットガイドプレートに沿って元の位置へ戻ります。

シフトアップの場合は左右のラチエットの動きが逆となり、同様の動きでシフトドラムを右回転させます。
リターン行程



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