MDX FACT BOOK
MDX 2003.2.27
All-Road Performance


あらゆる路面で優れた操縦安定性を発揮する、インテリジェント駆動力コントロールシステム 「VTM-4+VSA」。
オンロードでもオフロードでも走りが楽しめる、
新開発、電子制御可変トルク配分4WD「VTM-4」。
(Variable Torque Management 4WD system)
Hondaはこれまで4WDにおいては、軽量・コンパクトで燃費にも優れたリアルタイム式4WDを開発してきました。MDXでは、この「リアルタイム式」の優位性を活かしながら、「フルタイム式」や「パートタイム式」のメリットをも融合し革新的に進化させた、電子制御による高知能な4WDシステム「VTM-4」を開発。これにより、オンロードでの軽快な走りはもちろんのこと、オフロードでのハイレベルな走破性も獲得しました。さらに、VSAとの協調制御により、全天候、オールロードでの操縦安定性をいっそう高めています。
リアルタイムで知能的に前後輪への駆動力をコントロールし、
しかもフルタイム式やパートタイム式の長所を持つ、独自の4WDシステム。
定速走行時はFF状態で走り、加速時や滑りやすい路面に侵入した時などは後輪にも適切な駆動力を自動的に判断して伝達。一方、滑りやすい路面で発進する場合などには、走り出した瞬間に理想的な駆動力を後輪にも伝え、フルタイム4WDのような安定した走りを実現。こうした前後輪への駆動力配分を電子制御によってリアルタイムで行うため、必要に応じた駆動力が常に得られ、同時に低燃費にも大いに貢献します。さらに、ぬかるみなどの路面状況では、ドライバーがデフロックを選択することで、パートタイム4WDのように直結4WDの状態となり、力強い走破性を得ることができます。また、システム全体でとてもシンプルな構造を実現したため、重量を抑えることができ、低燃費にも貢献しています。
センターデフを用いない、電子制御可変トルク・ツインクラッチ機構。
VTM-4は、さまざまなセンサーなどからエンジントルク、シフトポジション、車輪速度などを常に検知し走行状況を判断。後左右輪に必要なトルクを瞬時に算出し、リアデファレンシャルケース内の左右に配置した電子制御可変トルククラッチに伝達します。電子制御可変トルククラッチには、後輪に駆動力を配分しながら前後輪の差動を抑えるセンターLSD機能と、後左右輪の差動を抑え確実に駆動力を伝えるリアLSD機能を同時に持たせており、電磁クラッチによって湿式多板クラッチ圧を無段階に制御することで、適切な駆動力を配分します。この結果、常に安定したトラクション性能を獲得しています。
VTM-4 リアデファレンシャルユニット構造図
VTM-4 システム概念図
前後輪それぞれに割り当てられたABSセンサーが検知する走行状況をもとに、センターLSD+ロック機能およびリアLSD+ロック機能などを備える「電子制御可変トルク・ツインクラッチ」が、前後輪の駆動力を最適に制御します。
あらゆる走行状況、路面状況での優れた操縦安定性を実現。
VTM-4は、FFを基本に前後輪の駆動力配分を100:0〜50:50までの間で自動制御。しかも後左右輪の駆動力を常に最適にコントロールすることにより、砂利道や雪路などの低μ路での登坂においても充分な駆動力を確保しています。あらゆる走行状況において高い操縦安定性を実現しています。さらに、駆動力の配分を前後輪でほぼ50:50で固定するロックモードも備え、ぬかるみなどからの脱出にも威力を発揮します。
Auto mode
定速走行時:FF状態で走行し、優れた燃費性能を発揮します。[リアルタイム式の長所]
発進・加速時:前輪で引っ張りながら後輪で後押しするように、バランスよく駆動力を配分し路面をしっかりとグリップ。スムーズな発進・加速が得られます。[フルタイム式の長所]
登坂時:登坂時には、後輪に車重がかかり前輪は空転しやすくなります。そこで、坂道発進などで前輪が駆動力を充分に伝えきれなくなると、瞬時に後輪にも駆動力を配分。力強い走りが得られます。
低μ路走行時:前2輪と後1輪が低μ路上にある場合、残る1輪に大きな駆動力を配分。さらに、低μ路側車輪のスリップを抑え安定した走りが得られます。
Lock mode
ATセレクトレバーを12Rのいずれかに選択し、ロックスイッチを入れると、駆動力の配分を前後輪でほぼ50:50で固定。ぬかるみなど駆動輪の片側が完全に空転してしまう状況でも、グリップしている車輪に駆動力が伝わるため脱出性が向上します。[パートタイム式の長所]
VTM-4との組み合わせによって、挙動安定性を
より高めた「VSA(車両挙動安定化制御システム)」。
ABS、TCSに加え、オーバーステアやアンダーステアなどの横滑りを抑制するVSAをVTM-4と組み合わせました。ブレーキ制御を4輪制御とし、きめ細かにコントロール。よりスムーズなコーナリングを可能としています。また、エンジントルク制御は、DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)によるスロットル制御によりなめらかな作動フィールを獲得。VTM-4により最適な駆動力配分を得たことで、より高い車両コントロール性を発揮します。
[オーバーステア抑制]ステアリングの急な切り過ぎなどで後輪スリップによる車両の巻き込みが発生した場合、外側車輪にブレーキをかけることで車両を安定化。
[アンダーステア抑制]旋回時に前輪がスリップし軌跡がはらんだ場合、エンジントルクを低減し、内側車輪にブレーキをかけることでトレース性を向上。
[発進制御]発進時などに左右輪の路面状況が異なる場合、エンジントルクとブレーキ力を最適制御するとともに、VTM-4により駆動力を最適配分。ホイールスピンを抑制することで、4WDの発進性と安定性をさらに向上。



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