NSX - 1997.02

NSX
NSX
97NSXの新技術

世界の先端をいくNSXのオールアルミ・モノコックボディをさらに洗練。
ベークハード性を向上させ、強度アップと軽量化を実現。

世界第一級の運動性能を実現するためのキーテクノロジーとなったのが、量産世界初の軽量オールアルミ・モノコックボディです。
鋼板を使用した場合より車両重量を約200kg軽減でき、大幅に運動性能を向上させることができるオールアルミ・モノコックボディは、アルミ専用のスポット溶接機の開発やベークハード(塗装焼き付け時の熱を利用して材料を硬化させる技術)など、さまざまなホンダ独自の技術革新の上に量産化に成功したものです。このたび、合金組成研究、熱処理研究の成果により、ベークハード性と成形性を進化。外板の強度アップを図るとともに2kgのウエイトダウンを実現しました。

ベークハード時の硬化率を従来の2倍に高め、成形性もアップ
ホンダは、NSX開発に当たり、長年の基礎研究や専用工場設置によって得たアルミ化に関する様々な技術を進化すべく、その後も研究に取り組み続けてきました。
このたび、NSX誕生時に新開発した合金の組成、熱処理に関する研究の進化により、ベークハード性の硬化率を約2倍高めた上、成形性も向上させた新アルミ合金を開発しました。これにより、材料強度を高めながら、ボディ単体で2kgの軽量化を実現しました。
鉄でNSXのボディを製作した場合との比較
新アルミ材の材料特性(従来アルミ合金比較)
ホワイトボディ重量 従来車 '97 NSX
210kg 208kg
塗装前 耐力
引張強さ
伸び
93MPa
194MPa
28%
110MPa
215MPa
33%
塗装後 塗装後耐力
△ベークハード
153MPa
60MPa
210MPa
100MPa
△ベークハード:塗装焼き付け加熱前後での耐力差

新アルミ材使用概念図

NSXならではのDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ=電子スロットル)技術を活かし、よりスポーティなAT制御をFマチックで実現。(ATモデル)
アクセルペダルの開度を電気的に感知し、ステップモーターでスロットルを開閉するDBW。NSXが'95年に搭載した先進のアクセリングシステムを活かし、Fマチックのシフトダウンショックをより低減。さらに積極的にスポーツドライビングを楽しめる設定としました。

DBWで回転同期させ、スムーズな減速シフトダウンを実現
スロットルの開閉をコンピュータで制御可能なDBWと、TCS(トラクション・コントロール・システム)との連携によって、新たなAT制御を実現しました。
現在の車速から変速終了時点のエンジン回転数を予測。TCSのリアルタイムな加減速判断を利用し、シフトダウン後に過大なエンジンブレーキがかからないようスロットル開度を指示。瞬時に回転を合わせて減速時のシフトダウンを行う制御です。これにより、スムーズなシフトダウンを実現するとともに、レスポンスを向上。ステアリングコラムのレバーによるシフトで、ハンドリングに集中しながらマニュアル操作を楽しむFマチックの走りを、よりスムーズなものとしました。
トラクション・コントロール・システム
減速シフトダウン終了までにかかる時間の比較
  '96 AT '97 AT
3→2速 0.7秒 0.5秒
4→3速 0.5秒 0.4秒

DBWとTCSに連携したAT制御の概念図



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